『文芸・小説、歴史、集英社文芸単行本、1円~』の電子書籍一覧
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【第35回小説すばる新人賞受賞作】
一九四一年、日本占領下の福建省廈門。
大阪松島遊廓から逃走して、上海、広州、香港と渡り歩き、廈門に辿り着いたリリーは、抗日活動家の楊に従い、カフェーで女給として働きながら諜報活動をしていた。あるとき、楊から日本軍諜報員の暗殺を指示され、その実行者として、琥珀色の瞳と蛇の刺青が印象的なヤンファという女性を紹介される。
中秋節の晩をきっかけに強くヤンファに惹かれていくリリーにとって、彼女と過ごす時間だけが生への実感を持てるひとときになっていた。
しかし、楊から秘密裏に課されていた指令は、暗殺に失敗した場合はヤンファを殺せというものだった……。
戦時下の中国・廈門を舞台に流転する女性たちの愛と葛藤を描く、圧巻の熱量を放つ第35回小説すばる新人賞受賞作。 -
今村翔吾氏 推薦!
「たおやかな筆致で描かれる、苛烈な愛のゆくえ。この作品を書く感性をまぶしく思う」
最初に父親から教えられたのは自害の作法……細川忠興は愛を知らなかった。
玉(ガラシャ)は、妻として忠興に寄り添いたいと思う。
しかし父・明智光秀の謀反により、夫婦の運命は暗転。
謀反人の娘となって幽閉された玉は、やがてキリスト教の愛に惹かれていく。
一方、忠興は玉の心を失う孤独と恐怖から、刃を振り上げ――。
本当に大切にすべきものは何だったのか。
物語は歴史上もっとも美しいラストシーンへ。
細川ガラシャと忠興、日本史上もっとも歪んだ純愛を描いた歴史小説。 -
ユーラシア大陸に拡がる人類史上最大の帝国、その礎を築いたチンギス・カン。波乱に満ちたその生涯と、彼と出会った様々な英雄たちの生きざまを描く、新たな歴史大長編、ついに開幕! 12世紀、テムジン(のちのチンギス・カン)は、草原に暮らすモンゴル族のキャト氏に生まれた。10歳のとき、モンゴル族を束ねるはずだった父イェスゲイが、タタル族に殺害されてしまう。テムジンのキャト氏は衰退し、同じモンゴル族のタイチウト氏のタルグダイとトドエン・ギルテが台頭、テムジンたちに敵対し始める。危機的な状況のもとで、テムジンは、ある事情から異母弟ベクテルを討ったのち、独りいったん南へと向かった……。草原の遊牧民として生まれ、のちに世界を震撼させることになる男は、はじめに何を見たのか? 人類史を一変させた男の激動の生涯、そこに関わった人間たちの物語を描く新シリーズ、待望の第一巻。
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時は十二世紀――。
モンゴル高原では、様々な部族、氏族が覇権を競い合っていた。モンゴル族の有力氏族キャト氏の長の嫡男として生まれたテムジン(のちのチンギス・カン)。父がタタル族に討たれ、後継となるはずが、十三歳のとき、ある理由から異母弟を討つことに。対立するタイチウト氏に追われることとなったテムジンは一人砂漠を越えて南へと向かう。放浪中に人と出会い、経験を積んだテムジンは再び故郷へ戻り、十五歳にしてキャト氏の長となる。タイチウト氏との苛烈な戦い、ジャンダラン氏の長・ジャムカとの運命的な出会い……。
テムジンはまずモンゴル族統一のため、旗を掲げ、仲間と共に原野を駈ける!
チンギスの波乱の生涯を描く歴史大河小説全17冊を収録した電子合本版。 -
繰り返されるパンデミック、戦争、格差社会……。
ホモ・サピエンスは三千年間、まったく変わっていない!?
漫画家・文筆家・画家のヤマザキマリが、大英博物館の「マンガ展」担当キュレーターで美術史家のニコル・クーリッジ・ルマニエールを相棒に、歴史をひもときながら現代社会を明るく生きるヒントを探る、対談&エッセイ集。
「人類が三千年間変わらないのは業を持っていること」「不条理と孤独が人を育てる」「ユーモアにこそ知性が必要」など、ともに十代で異国での孤独を味わい、世界各地で歴史とアートを縦横無尽に学び続ける二人が導き出した、力強く普遍的なメッセージが満載。
単行本未収録の漫画「美術館のパルミラ」(ルーヴル美術館特別展「ルーヴルNo.9~漫画、9番目の芸術~」発表作品)も収録。
【目次】
Prologue 人類三千年の旅への招待状 ヤマザキマリ
Dialogue 失敗や破綻はすべて過去に書いてある ヤマザキマリ×ニコル・クーリッジ・ルマニエール
第一章 困難なときほど人類三千年の知性に刮目せよ
第二章 時代の先駆者は、いつの世も孤高にして不遇
第三章 人類の歴史で普遍的なのは、笑いの精神
第四章 想像力をすり減らす同調圧力
第五章 失敗や破綻はすべて過去に書いてある
Manga 美術館のパルミラ
Essay 人類を救う(かもしれない)ヤマザキマリの七つのヒント
Epilogue ヤマザキマリさんは右脳と左脳の間に立つ人 ニコル・クーリッジ・ルマニエール -
この恋は、地獄につながっている――。
女はなぜ、男のために火付けをし、火あぶりになったのか(「八百屋お七」)。
女はなぜ、道ならぬ恋におぼれ、自ら鉋(かんな)で胸を突いたのか(「樽屋おせん」)。
女はなぜ、ふしだらな下男と駆け落ちし、心を喪ったのか(「お夏清十郎」)。
江戸時代の人々の注目の的になった恋の事件の裏には、
悲しい“まこと”と、優しい“ほら”があった――
心中、駆け落ち、不義密通。
江戸のスキャンダルをまとめた井原西鶴の代表作『好色五人女』を大胆に新解釈した、胸に刺さる悲恋時代小説。 -
逆光に置かれても挫けずに我が子へ愛を注ぐ母と、その愛を受けて健やかに成長する子の姿を描き、今もなお愛され続ける名作児童文学『小公子』。
この物語を日本で初めて翻訳したのは、明治の女性文学者、若松賤子(しずこ)だった。
江戸末期、会津藩士の父のもとに生まれたカシ(のちの賤子)は、幼子の頃、戊辰戦争で九死に一生を得るが、のちに母を亡くし、横浜の生糸問屋へ養子に出されて孤独な少女時代を過ごす。
転機となったのは、明治八年。
養家を離れ、十一歳でアメリカ人女性宣教師メアリー・キダーが創立した女子寄宿学校フェリス・セミナリーへ入学。
新しい校舎、新しい仲間たち、新しい学び。
そこはカシにとって、会津を離れて以来、初めての心安らぐ「ホーム」となっていく。
「わたしは、翼を広げ、空を駆けるように飛ぶための準備をしなければならない」
カシは、女性の自立と子どもの幸福こそがこの国の未来を照らすと信じ、命を燃やしていく――。
一人の女性として、妻として、そして三人の子の母として。
激動の明治を懸命に生ききった三十一年の生涯に新たな光をあてる渾身長編! -
【第25回大藪春彦賞受賞】
寛文六年、豊後国・竹田藩で城代一族二十四人殺しという凄惨な事件が起きた。
一人逃げ延びた城代の次男・次郎丸は復讐のため、江戸で剣の腕を磨き、名を変え、義理の叔父で下手人である現城代・玉田巧座衛門がいる竹田の地を十四年ぶりに踏んだ。長い時を経て再会した巧座衛門は、兇行を目の当たりにした当時の印象と違い、みすぼらしい容姿で、高位にありながら地位や名誉に関心がない変わり者と周囲から噂されていた。
そして次郎丸は竹田小町と評判の巧座衛門の娘・英里と出会い、予期せず惹かれていく。恋か復讐か、千々に乱れる心を抱きながらも、煮え滾る復讐心を支えに必ずや叔父を討つと心に誓うのだが……。 -
時は戦国。茶々(淀殿)は幼い頃、住んでいた城を信長に落とされた。父が自害に追いやられるも、生まれた時から共に育ってきた大野治長に守られ、逃げることができた。治長は茶々を一生守ると誓い、茶々も彼にそばに居てもらいたいと願う。その後、ふたりは柴田勝家の元に身を寄せたが、今度は秀吉に城を攻められ、茶々の母が自害する。そして二度目の落城を経験した茶々は、秀吉に側室になれと言われてしまい……。二度の落城。許されぬ裏切り。家康の脅威。運命に翻弄されながらも、互いを思い合う茶々と大野治長の姿を描く、歴史恋愛小説。
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永禄11年、織田信長が足利義昭を奉じて上洛する。貿易による富で自治を貫く堺の納屋衆、中でも今井宗久、千宗易、津田宗及は天下の趨勢を見定めようとしていた。納屋衆内では、新興勢力である信長に賭けることに反対の声もあがったが、次第にその実力を認めていく。一方、今井、千、津田は信長から茶堂衆に任じられ、茶の席で武将たちの情勢を探り、鉄炮や硝石の手配を一手に握るようになっていた。天正8年、石山本願寺を降伏させることに成功した信長の天下は、目前に迫っていた。しかし、徳川家康の腹心で一向宗徒の本多弥八郎が怪しい動きを見せはじめ……。堺商人たちが辿り着いた、「本能寺の変」の驚くべき真相とは――。茶室を舞台に繰り広げられる、圧巻の戦国交渉小説。歴史時代小説の第一線を走り続ける著者渾身の快作!
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日本近代建築の雄、妻木頼黄(よりなか)。幼くして幕臣の父を疫病で亡くし、維新後に天涯孤独の身となり、17歳で単身渡米。のちにコーネル大学で学んだ異才は、帰国後にその力量を買われ、井上馨の「官庁集中計画」に参加。以来、官吏として圧倒的な才能と情熱で走り続ける妻木の胸には常に、幼い日に目にした、美しい江戸の町並みへの愛情があふれていた。闇雲に欧化するのではなく、西欧の技術を用いた江戸の再興を。そう心に誓う妻木は、大審院、広島臨時仮議院、日本勧業銀行、日本橋の装飾意匠をはじめ、数多くの国の礎となる建築に挑み続ける。やがて、数々の批判や難局を乗り越え、この国の未来を討議する場、国会議事堂の建設へと心血を注ぎこんでいくが……。外務大臣・井上馨、大工の鎗田作造、助手を務めた建築家の武田五一、妻のミナをはじめ、彼と交わった人々の眼差しから多面的に描き出す、妻木頼黄という孤高の存在。その強く折れない矜持と信念が胸を熱くする渾身作、誕生!
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日中戦争の拡大を受け、東京オリンピックの返上が決まった1938年。大日本体育協会は、オリンピックに代わる国際大会の開催を画策していた。立教大学野球部出身で、末広の秘書を務める石崎は、体協幹部や陸軍などの政治的な思惑に疑念を抱きながらも、平和の象徴としての代替大会を開催するべく「面従腹背」な面々と交渉を重ねていく。一方、ハワイにある日系人野球チーム「ハワイ朝日」のマネージャー・澤山の元に、旧知の石崎から電報が届く。返上された東京オリンピックの代わりとして開かれる「東亜競技大会」に、野球のハワイ代表として参加してくれないか、という招請状だった――。幻に終わった1940年東京オリンピック。代わりに計画された、新たな国際競技大会。その実現と参加に向け、海を越えた友情を信じて奔走する二人の若者がいた。知られざる歴史を浮かび上がらせる圧巻の交渉小説!
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越前・一乗谷城は織田信長に落とされた。幼き匡介(きょうすけ)はその際に父母と妹を喪い、逃げる途中に石垣職人の源斎(げんさい)に助けられる。匡介は源斎を頭目とする穴太衆(あのうしゅう)(=石垣作りの職人集団)の飛田屋で育てられ、やがて後継者と目されるようになる。匡介は絶対に破られない「最強の楯」である石垣を作れば、戦を無くせると考えていた。両親や妹のような人をこれ以上出したくないと願い、石積みの技を磨き続ける。秀吉が病死し、戦乱の気配が近づく中、匡介は京極高次(きょうごくたかつぐ)より琵琶湖畔にある大津城の石垣の改修を任される。一方、そこを攻めようとしている毛利元康は、国友衆(くにともしゅう)に鉄砲作りを依頼した。「至高の矛」たる鉄砲を作って皆に恐怖を植え付けることこそ、戦の抑止力になると信じる国友衆の次期頭目・彦九郎(げんくろう)は、「飛田屋を叩き潰す」と宣言する。大軍に囲まれ絶体絶命の大津城を舞台に、宿命の対決が幕を開ける――。どんな攻めをも、はね返す石垣。どんな守りをも、打ち破る鉄砲。「最強の楯」と「至高の矛」の対決を描く、究極の戦国小説!
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時は幕末。江戸城下、大久保の地。長く泰平の世が続き、代々この地を守ってきた鉄砲同心たちは火薬の原料を転用したつつじ栽培の内職に励み、時季には美しい花々を求めて多くの人が集まる江戸名所となっていた。礫家は鉄砲同心の御役に固執する頑固者の老父・徳右衛門、つつじ作りに類まれな才を発揮する息子・丈一郎、物忘れが多くなってきた祖母・登代乃、温和な母・広江、勝気な嫁・みどり、生真面目な孫・市松の六人暮らし。喧嘩も笑いも絶えない一家が大小様々な事件に巻き込まれて――。温かな“お江戸家族小説”。
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結寿(ゆず)は、十七の娘盛り。元火盗改の祖父と麻布狸穴で暮らしている。新春、ムジナを探す八丁堀同心・妻木と出会う。精悍だがどこか飄然とした佇まいに、ほのかな恋心を抱く結寿。だが、火盗改方と同心は、手柄を競い合う仇敵関係だ。その頃、夜道で金品を奪う“ムジナ”が出没し……。二人は、祖父に内緒で、狸穴界隈で起こる不思議な事件の謎を解いていく。恋と捕り物の行方を温かな人情のなかに描く連作時代小説。
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江戸時代、薬屋ながら副業として公事(裁判)の相談に乗る時次郎の下には、一筋縄ではいかない事件ばかりが持ち込まれ…?
江戸時代、薬屋ながら副業として公事(裁判)の相談に乗る時次郎。そこそこ儲かっているが、高い書物を買うので余裕はあまりない。それと子作りに熱心でない事を恋女房からは責められ通しだ。おまけに持ち込まれるもめ事は、一筋縄ではいかないものばかり。不貞を働いたとして殺された夫の潔白を証明したい、息子が呪い殺されたのでそのことをお上に訴えたい、破産したのに財産を隠していた相手から金を取り戻したい――。さて、次はどんな厄介な事件が舞い込んでくるのやら?
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