『文芸・小説、NovelJam、小野寺ひかり、1円~』の電子書籍一覧
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人生すごろくからドロップアウトした墨坂玲は
誰にも言えない秘密を抱えていた。
生殖機能を失った玲は自らの手で「自分の子」を生み出すことに苦心していたのだ。
きっかけはささいなことだった。
「子供がいれば、すごろくも逆転できる」、たったそれだけのこと。
マンションの一室で培養液と精子と卵子から受精卵を生み出した。
きっと、ビニール袋の子供は世界を変えてしまうだろう。
生命のタブーに挑戦した意欲作。
菊池健氏に「鬼才漫画家のタガが外れていく現場に遭遇した」とも言わせた超展開、刮目あれ。 -
その日、ふと訪れた喫茶店を「終の棲家」と決めた。
法医学者の私にとって、「死」は誰にも平等に訪れるとても当たり前だったのに。
「不治の病」を宣告されたその時から、死はなんだかリアル。
死臭とは違う、香り豊かなコーヒー。
マスターの雰囲気があたりの居心地の良い場にしてくれる。
――突如場の空気を割いた、カップルの痴話喧嘩。
静まり返った店内をヒール音とともに去る女性とみじめに泣く男性を情けなく眺めながらも、私は人間の脂肪に似た卵サンドをほおばった。
生きている間は、お腹だって減る。
今だけは心から愛する純喫茶で、コーヒーの香りと、ささやかなBGMに身を委ね、そして友人とのおしゃべりを楽しもう。
運命の歯車はいつから回っていたのだろう。
あのさ、私の最期は泣けるのかな、笑えるのかな。 -
現代アラサー男子による新型任侠道、平成の世に新たに誕生!
日光エンゾー20歳。彼は、世にまったく名前を知られていない一人の俳優に憧れていた。その俳優の名は、奥野平次。35歳。役者兼レンタルビデオ屋の店員。映画出演本数は10本程度。映画クレジットに己の名前が登場したことはない。平次は、彼が心から憧れる昭和の任侠映画スター“健さん”と風貌が瓜二つ。だが、歩んだキャリアは天国と地獄。そんな平次に、最後にして最高のチャンスが訪れる。映画制作会社に勤める親友・久野新八が方々に頭を下げ、根回しし、ようやく取ってきた“主役”の座。しかしその裏で、新八は自分の上司の不正を知る。裏金、裏接待、裏社会とのつながり……。口封じのため、重傷を負わされた新八。友の出世のために身を犠牲にした新八の姿に、平次は自分が「本当になりたかったものはなんだったのか」を問い直す。夢を破いて、悪事を撃破する、うだつの上がらない平成男児が人間としての殻を突き破る、平成版痛快任侠劇!
Novel Jam 2017 出場作品
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