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『ライトノベル(ラノベ)、ミステリー・推理・サスペンス、いづみ書房』の電子書籍一覧

1 ~1件目/全1件

  • 2048年に政府が作ったクローン人間の街、政府による特別成育区域(グロースタウン)の秘密、2050年にはクローンの世界が実現するのか?

    二〇四八年我が国は経済不況と少子高齢化で人口も八千万人まで減少。経済的に二人以上の子どもを育てるのは不可能となった。人工受精の頻度が増し、多胎数が増加、政府は打開策として巨大成育施設(グロースタウン)を建設。統括者は中川宏、厚労省事務次官。双子や多胎で生まれ経済的困窮である場合は、子ども一人を残し、残りはグロースタウンに預け成育させる法案を成立させた。 久光結衣は一卵性双生児の一人として出生。東大法学部へ入学。もう一人の片割れはグロースタウンに預けられた阿藤真木。偶然にも成長後、東大法学部へ入学。卒業後、結衣は検察官、真木は弁護士になった。同年十一月、児童養護施設で入所者十二名の殺傷事件が発生。犯人の竹内は「障害者は生産性もなく、世の中のためにならない」との自説を展開。翌年四月、特養で三十二人の終末期老人が施設長の内村の指示で薬物により安楽死させられた。この二つの事件はいずれもグロースタウンの優生思想から生じていた。裁判で結衣は検察側、真木は弁護側として法廷で戦ったが、竹内も内村も死刑判決を受けた。 一方、グロースタウンでは中川統括の指示でヒトクローンを作製し、百九十八人のクローンが作られた。結衣らの調査でクローンの約三十%にミトコンドリア病が発症していたことが判明し、マスコミに報道された。しかし、政府は配偶者間クローン作製法案を成立させた。結衣と真木はクローン作製でのミトコンドリア病の発生頻度が高く、法案の廃止を申し立て、訴訟を起こした。原因はドナー核DNAとレシピエントのミトコンドリアDNAの不一致から生じることが示唆され、最高裁での最終判決は原告側の申し立ては棄却。 中川統括は責任をとり自殺。告別式では黒い上下のスーツと黒いネクタイをして、皆同じ顔と身体付きをした十歳から二十歳の男八人が横並びで焼香していた。まるでロシア人形のマトリーシカのようであった。結衣と真木はそれを見てぞっとした。やはりクローンは普通ではないと思った。

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