『実用、歴史、講談社学術文庫、501円~800円』の電子書籍一覧
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海賊さながらに武装する商人、巨大化するガレー船、移住する地主と小作人、都市・農村行政を支える公証人……。
古文書館に眠る証書や帳簿、登記簿などの史料を丹念に掘り起こし、中世イタリア都市社会・地中海世界を生き生きと再構成。のちの中世イタリア史研究の芽はすべてここにあるとも形容される、稀代の中世社会史学者の到達点。
(解説:池上俊一)
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[本書の内容]
1 地中海商業と海賊
2 ジェノヴァ・キオス・イングランド
3 地中海貿易とガレー船
4 イタリア中世都市の「市民」と「非市民」
5 中世末期イタリアにおける職人・労働者の移動
6 中世末期イタリアにおける公証人の活動
7 イタリア中世都市論再考
8 イタリア中世都市論再考――清水廣一郎氏遺稿
解説 かけがえのない細部を慈しむ 池上俊一 -
1867(慶応3)年、パリ万国博覧会が開催された。日本が初めて参加した国際博覧会であり、幕府は徳川慶喜の弟である昭武を公使として派遣した。使節団には幕臣となっていた渋沢栄一が随行。帰国後、渋沢は、外国奉行支配調役として同行した杉村譲(愛蔵)とともに、全6巻の詳細な渡欧記録をまとめ、1871年(明治4)に刊行した。
この記録には、フランスの繁栄を誇ったパリ万国博での見聞のほか、ナポレオン3世やイタリアのヴィットリオ・エマヌエレ2世、オランダ国王ウィレム3世ら欧州要人たちと徳川昭武の謁見、産業革命のただなかにあったイギリスの工業化や、政治・経済のシステムへの驚きなどが、生々しく描写されている。
従来、この日記は、渋沢の単著として扱われてきたが、近年の研究により、旅の前半を幕臣として同行し、後に明治政府の官僚となった杉村譲の日記と渋沢の日記から編纂・執筆されたものであることがわかってきた。こうした旧幕臣の体験と知識が、その後の近代化に大きく生かされたのである。
文庫化にあたっては、『世界ノンフィクション全集14』(筑摩書房、1962年)所収の大江志乃夫現代語訳を原本とし、「付録」として、一行の帰国の事情と帰国後の動向を記した、渋沢栄一談/小貫修一郎編著『渋沢栄一自叙伝』(渋沢翁頌徳会、1937年刊)の13章1節から4節までを収録した。 -
ヘロドトスとトゥキュディデスは、ともに紀元前5世紀のギリシア、最盛期のアテナイに生きた歴史家である。しかし二人はいずれも、自らを「歴史家」とみなしてはいなかった。この時代、まだ歴史というジャンルは存在しなかったからである。ギリシアの文学的伝統のなかから「歴史叙述」という新たなジャンルを創設し、さらに「歴史学」への一歩を踏みだした二人の実像を描き、今後の課題を考える歴史学への入門書。
ペルシア戦争を主題として、ギリシアからオリエントの地理・歴史と伝承を網羅し、「歴史の父」と呼ばれるヘロドトスの著述は、東地中海世界を自由に飛翔するかのように想像をふくらませ、時に荒唐無稽なエピソードも盛り込まれる。一方、ヘロドトスより一世代ほど若いトゥキュディデスは、「先輩」のこうした手法を批判し、近代歴史学にも通じる史料批判で確かな事実を重ねて、アテナイとスパルタが覇権を争ったペロポネソス戦争を記録した。しかし、ヘロドトスは本当に、後世の歴史家が批判するように「嘘つき」だったのか? そして、トゥキュディデスが書かなかった事柄のなかには、どんな史実が隠されているのだろうか? 個性豊かな二人の天才歴史家に、再び教えを請うべき時が来ている。
[原本:『ヘロドトスとトゥキュディデス――歴史学の始まり』山川出版社2006年刊]
目次
1 二人の歴史家と二つの戦争
2 ヘロドトスは嘘つきか?
3 新しいヘロドトス像
4 ヘロドトスの描いた史実
5 トゥキュディデスの「ヘロドトス批判」
6 トゥキュディデスが書かなかったこと
7 歴史叙述から歴史学へ
あとがき
学術文庫版あとがき -
「地獄というものも、これほどひどくはないだろう」――
その日、山に、村に、何が起こったのか? 史料と発掘調査で甦る、埋もれた歴史の真実!
天明三(一七八三)年旧暦七月、浅間山は空前絶後の大爆発を起こす。大地は鳴動し、黒煙は天を覆い、火砕流・溶岩流が麓の村々を焼き尽くし埋め尽くした。この未曽有の事態に、人々はいかに対したのか。史料と埋没集落・鎌原村の発掘調査から、当時の村の社会状況、噴火の被害の実態、そして人々が生きた現実を再現する、驚天動地の歴史ドキュメント!
[目次]
第一章 近世の埋没集落
第二章 天明三年の大噴火
第三章 浅間大噴火の被害
第四章 浅間大噴火の影響
第五章 浅間山鎌原村
第六章 鎌原村の発掘
「天明三年の悲劇の日、人々はわれ先にと必死になって観音堂めがけて駆けつけたはずである。もちろん無事駆け上がった人もあるが、いま一歩というところで、背後からおしよせた火砕流に呑まれた人もあるはずである。この埋った石段のどこかにそんな人がいるのではないか……。」――「第六章 鎌原村の発掘」より -
本書は、ジャーナリストとしてのカール・マルクス(1818-83年)が執筆した代表作、待望の新訳です。書名にあるルイ・ボナパルト(1808-73年)は、よく知られているとおり、ナポレオン1世の甥にあたります。1836年に武装蜂起を起こしたものの失敗して国外追放処分を受けたルイは、4年後にもクーデタを試みて失敗、終身禁固の刑を宣告されました。6年後の1846年に脱獄してイギリスに亡命しましたが、そこに勃発したのがヨーロッパ全土を巻き込む1848年の革命でした。
急遽フランスに帰国したルイは、同年9月には憲法制定議会の議員に選出され、貧困層のあいだに根強く残るナポレオン崇拝を利用して、12月には大統領選挙で勝利します。そうして、3年後の1851年12月2日にはクーデタを起こし、反対派の議員を逮捕して議会を解散、国民投票で圧倒的な支持を得ると、ついに翌1852年12月には皇帝に即位し、ナポレオン3世(在位1852-70年)として第二帝政を開始することになるのです。
本書は、この過程をジャーナリストとしてつぶさに見ていたマルクスが、1848年の革命から1851年のクーデタに至る歴史を追いながら、何が起きたのか、なぜナポレオンは次々にみずからの野望を実現することができたのかを分析したもので、ルイが皇帝になった1852年に雑誌で発表されました。ここに見られるのは、巧みに民意を利用して選挙に大勝し、政治と憲法をほしいままにしていくプロセスにほかなりません。同じ光景は、それから150年以上を経た今日、さまざまな国で再現されているものだと言えるでしょう。
――こうした背景を踏まえつつ、数多くの巧みな翻訳を送り出してきた訳者が「慣れない畑」にもかかわらず育て上げた豊かな果実が、この新しい翻訳です。底本は、1869年にハンブルクで単行本として出版された改訂第2版を用いました。
本書の日本語訳としては岩波文庫(1954年)と平凡社ライブラリー(2008年)のものが広く親しまれてきましたが、第2版の翻訳である前者はいかんせん古いと言わざるをえず、後者は新しいものの第1版の翻訳で、必ずしも一般的とは言えません。そのような状況が長らく続いてきた中、練達の訳者による第2版の新訳、たくさんの人たちのニーズに応える、まさに待望の1冊になることでしょう。
[本書の内容]
政治党派一覧
関連年表
はじめに
ルイ・ボナパルトのブリュメール18日
訳者あとがき -
1841年、嵐に襲われた土佐の漁師・万次郎は、アメリカ捕鯨船に救われ合衆国本土での生活を経験し、帰国を果たす。その10年にわたる奇跡と苦闘を、万次郎はいかに語ったか? 民主的な大統領選出などの近代市民社会のありようや鉄道などの文物など、幕末維新の人々に西洋近代のイメージを残したと言われる証言の記録。信頼性が高い写本をベースにした、読みやすい訳文での文庫訳し下ろし。
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北条得宗家の執政体制下、幕府は武士の支持を失い、朝廷は大覚寺統と持明院統の対立と両統迭立(てつりつ)の中にあった鎌倉時代後期に出現した公家一統体制。それは復古反動か、封建王政か? 延喜(えんぎ)・天暦(てんりゃく)の治を理想とする天皇の政権はどのように誕生し、どんな構成と性格を有し、短期間で滅んでいったのか。史料の精緻な読みを通し、後醍醐の夢と挫折を解明する。
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1923(大正12)年9月1日、11時58分44秒。東京を襲った大地震は10万を超える人命を奪い、近代国家・日本に深い爪痕を残した。しかし、そこでは被害の拡大を阻止すべく奮闘した人々の姿があった。消防、医療、ボランティア、そして情報。今日、注目を集める災害時の人的活動を通して都市型災害の全貌を追い、共有すべき歴史の教訓を読みなおす。
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日本中世史の諸説に様々な疑問を提出した小論集。「平民の自由」「民衆の生活史」「東国と西国」「百姓」「海民」など、著者が現在も徹底して追究し、多くの成果をあげている、数多くの研究主題の原点が提示されている。常民文化研究所で著者に強い影響を与えた民俗学者、宮本常一に関する論考も収録。
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12世紀、ヨーロッパを席巻した冥界巡り譚「聖パトリキウスの煉獄」「トゥヌクダルスの幻視」を収録。2人の騎士は臨死体験を通して、異界を訪問する。無数の悪霊の襲来から始まり、灼熱、悪臭、寒冷、虫、蛇、猛獣が跋扈する煉獄で、執拗な拷問と懲罰を受けた後、甘美にして至福の天国を見学し、現世へと帰還する。中世人の死生観を熟読玩味する。
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明治20年から15年間、東京帝国大学で教鞭をとった著者による、日本回想録。ルートヴィッヒ・リースは、ベルリン大学でランケに師事し、実証的な歴史学の方法を日本に伝えたことから、「日本近代歴史学の父」とされる。その内容は、大津事件や日露戦争勃発などさまざまな社会的事件に関する見聞、日本の政治家や軍人らの人物像、旧武士身分の封建的体質への批判から、一般家庭の生活、迷信や伝統行事など多岐にわたる。(講談社学術文庫)
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「乳の生化学」の第一人者が明かす、チーズの起源と分類法、そしてそれらを育んだ風土。栄養価が高く保存性に優れたチーズを、各地の部族は、その存亡をかけて育ててきた。モンゴルのホロート、古代ローマのチーズ菓子、フランスのカマンベール、日本の酥(そ)など、古今東西の文献を渉猟し、乳文化を実地に探訪。「人類にとっての食文化」に考察は及ぶ。(講談社学術文庫)
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十七世紀末、西鶴、近松、芭蕉、光琳、師宣らを輩出した元禄文化が花開く。文学、絵画、工芸のみならず、町人が主役となり、奢侈の風俗を生んだ。遊里に入り浸る新興商人、芸事に溺れ身を滅ぼす二代目、芝居に憂き身をやつす人々。生産と消費の外部にある第三の領域=「遊び」という視点から、太平の世の町人文化の深層に迫る。(講談社学術文庫)
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近代日本の歴史学は、江戸期の漢学の流れと、国学・水戸学の流れ、そこに洋学が結合し、摩擦しながら、「新しい日本の自画像」を描くべく成立した。鎖国下の平賀源内や荻生徂徠、明治期の福沢諭吉、森鴎外らの歴史観、ドイツから来日したリースの働きなどから、「国史」誕生の経過を描く。さらに、久米邦武筆禍事件、南北朝正閏論争など、「天皇制」との軋轢のなかで近代歴史学が挫折し、鍛えられていく過程をたどる。(講談社学術文庫)
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平和と繁栄を極めた古代ローマ。そこに溢れる過剰な欲望と、淫靡な乱行の裏には、どんな意識が潜んでいたのだろうか。そして、そうしたいとなみを「頽廃」や「堕落」と断罪する感性は、どのように生まれてきたのだろうか。「性愛」と「結婚」、そして「家族」をめぐる意識の変化は、人々の規範をどのように規定し、社会を変容させたのだろうか。社会の変貌の底にある「愛」と「性」のかたちを描き、歴史の深層をとらえる。(講談社学術文庫)
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今日、イギリスから学ぶべきは、勃興の理由ではなく、成熟期以後の経済のあり方と、衰退の中身である――。産業革命を支えたカリブ海の砂糖プランテーション。資本主義を担ったジェントルマンの非合理性。英語、生活様式という文化遺産……。世界システム論を日本に紹介した碩学が、大英帝国の内側を解き、歴史における「衰退」を考えるエッセイ。(講談社学術文庫)
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