『新書、思想、哲学、学問、1円~』の電子書籍一覧
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認知症もガンも、いい〈香り〉で治療する
時代がやってきた!
視覚、味覚、聴覚などと並び、非常に身近な感覚でありながら、科学的にまだ謎が多く残る分野――それが「嗅覚」である。重度の認知症患者の症状を改善したり、がんの終末期の疼痛を和らげる〈香り〉。これまでの西洋医学では太刀打ちできなかった病状の治療方法として、いま注目されているメディカルアロマセラピーを、嗅覚のメカニズムや最先端の臨床例からわかりやすく解き明かす。
■目次
第一章 嗅覚のメカニズム~ヒトはどのようにして<香り>を感じるのか
第二章 <香り>が人体におよぼす作用~アロマセラピーのサイエンス
第三章 治りにくい・予防しにくい疾患に効く<香り>~メディカルアロマセラピーの最新研究
第四章 <香り>の効能を楽しむ~精油の使い方 -
フレーゲからラッセル,そしてウィトゲンシュタインへ――二十世紀初頭,言葉についての問いと答えが重なりあい,つながりあっていった.天才たちの挑戦は言語哲学の源流を形作っていく.その問いを引き受け,著者も根本に向かって一歩一歩考え続ける.読めばきっとあなたも一緒に考えたくなる.とびきり楽しい言葉の哲学.※この電子書籍は「固定レイアウト型」で作成されており,タブレットなど大きなディスプレイを備えた端末で読むことに適しています.また,文字だけを拡大すること,文字列のハイライト,検索,辞書の参照,引用などの機能は使用できません.
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21世紀の現代の善と悪の原点こそ、フォン・ノイマンである。彼の破天荒な生涯と哲学を知れば、今の便利な生活やAIの源流がよくわかる!
「科学的に可能だとわかっていることは、やり遂げなければならない。それがどんなに恐ろしいことにしてもだ」
彼は、理想に邁進するためには、いかなる犠牲もやむを得ないと「人間性」を切り捨てた。
<本書の主な内容>
第1章 数学の天才
――ママ、何を計算しているの?
第2章 ヒルベルト学派の旗手
――君も僕もワインが好きだ。さて、結婚しようか!
第3章 プリンストン高等研究所
――朝食前にバスローブを着たまま、五ページの論文で証明したのです!
第4章 私生活
――そのうち将軍になるかもしれない!
第5章 第二次大戦と原子爆弾
――我々が今生きている世界に責任を持つ必要はない!
第6章 コンピュータの父
――ようやく私の次に計算の早い機械ができた!
第7章 フォン・ノイマン委員会
――彼は、人間よりも進化した生物ではないか?
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ノイマンがいかに世界を認識し、どのような価値を重視し、いかなる道徳基準にしたがって行動していたのかについては、必ずしも明らかにされているわけではない。さまざまな専門分野の枠組みの内部において断片的に議論されることはあっても、総合的な「フォン・ノイマンの哲学」については、先行研究もほとんど皆無に等しい状況である。
そこで、ノイマンの生涯と思想を改めて振り返り、「フォン・ノイマンの哲学」に迫るのが、本書の目的である。それも、単に「生涯」を紹介するだけではなく、彼の追究した「学問」と、彼と関係の深かった「人物」に触れながら、時代背景も浮かび上がるように工夫して書き進めていくつもりである。
――「はじめに」より
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ノイマンの思想の根底にあるのは、科学で可能なことは徹底的に突き詰めるべきだという「科学優先主義」、目的のためならどんな非人道的兵器でも許されるという「非人道主義」、そして、この世界には普遍的な責任や道徳など存在しないという一種の「虚無主義」である。
ノイマンは、表面的には柔和で人当たりのよい天才科学者でありながら、内面の彼を貫いているのは「人間のフリをした悪魔」そのものの哲学といえる。とはいえ、そのノイマンが、その夜に限っては、ひどく狼狽(うろた)えていたというのである。クララは、彼に睡眠薬とアルコールを勧めた。
――第5章「第二次大戦と原子爆弾」より
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人類史上 最恐の頭脳! -
シリコンバレーの天才たちが希求する「1%のマイノリティだけの世界」
そこは楽園か、ディストピアか?
アメリカのIT企業家の資産総額は上位10数名だけで1兆ドルを超え、日本のGDPの25%にも達する。いまや国家に匹敵する莫大な富と強力なテクノロジーを独占する彼らは、「究極の自由」が約束された社会――既存の国家も民主主義も超越した、数学的に正しい統治――の実現を待ち望んでいる。
いわば「ハイテク自由至上主義」と呼べる哲学を信奉する彼らによって、今後の世界がどう変わりうるのか?
ハイテク分野で活躍する天才には、極端にシステム化された知能をもつ「ハイパー・システマイザー」が多い。彼らはきわめて高い数学的・論理的能力に恵まれているが、認知的共感力に乏しい。それゆえ、幼少時代に周囲になじめず、世界を敵対的なものだと捉えるようになってしまう。イノベーションで驚異的な能力を発揮する一方、他者への痛みを理解しない。テスラのイーロン・マスク、ペイパルの創業者のピーター・ティールなどはその代表格といえる。
社会とのアイデンティティ融合ができない彼らは、「テクノ・リバタリアニズム」を信奉するようになる。自由原理主義(リバタリアニズム)を、シリコンバレーで勃興するハイテクによって実現しようという思想である。
「この惑星上の約40~50億の人間は、去るべき運命にあります。暗号法は、残りの1%のための安全な世界を作り出そうとしているんです」(ティモシー・メイ)
――とてつもない富を獲得した、とてつもなく賢い人々は、いったいこの世界をどう変えようとしているのか? 衝撃の未来像が本書で明かされる。 -
オスマン帝国、エルドアン政権…
イスラーム世界を動かす求道的一大潮流!
日本の武士道や少年マンガの師弟関係にも通じる修行の世界
◆内容説明◆
「イスラーム神秘主義」とも訳されるスーフィズム。
それは今も神学、法学とならび伝統イスラームの一角をなす哲学や修行道の総称である。
その究極目的は「イスラーム」を味わうこと。
かつて井筒俊彦はスーフィズムの哲学的、神秘主義的な側面に光をあてた。
だが、個人の精神的営みであると同時に、スーフィズムは日本の芸道や武士道、少年マンガで描かれる師弟関係にも通じる修行の世界であり、時にはオスマン帝国、トルコの政権をはじめとしたイスラーム世界を動かす政治思想運動でもある。
本書はトルコで教鞭を執る著者が、思想、修行法から、食、武術、音楽をも射程におさめ、よく生きるための「実践の道」としてのスーフィズムを解説する。
◆推薦◆
スーフィズムを著者はこう定義する。
「その中心的ストーリーは、
“人は弱く、間違いを犯す存在である。
しかし修行者は師の助けを通じて
人間の精神的完成をひたすら目指す中で、
人間を見捨てず絶えず導こうとしている
アッラーの愛に気づく”ことである。」
その修行の体系はまさにわれわれが「道」というものに近い。
――内田樹(思想家・武道家)
◆目次◆
序章 イスラーム神秘主義とは何か?
第一章 学問としてのスーフィズム
第二章 師匠と弟子――スーフィズムの学びのネットワーク
第三章 西欧とスーフィー――中東を越えるスーフィズムのネットワーク
第四章 スーフィズムの修行(1)心の型
第五章 スーフィズムの修行(2)心を練り上げる祈祷
第六章 心の境地(1)
第七章 心の境地(2)
第八章 修行者の心構え――ナクシュバンディー教団「十一の言葉」
第九章 五功の心――神・自然・人をつなぐ修行
第十章 心を味わう――修行者の食卓
第十一章 武の心――スーフィーとマーシャル・アーツ
第十二章 心の詩、心の音色、詩と音楽
第十三章 人の心――絶望と希望 -
日本の隅々にまで行き渡る左翼思想の毒。
「資本家は労働者を搾取するな」では左翼とバレるので「格差社会を許すな」と言い換える。
「共産主義者「社会主義者」と名乗るとバカにされるので「リベラリスト」と詐称する。
左翼思想の恐ろしさと欺瞞がよく分かる好評『左翼老人』続編!
◎「偽リベラル」が住みやすい日本
◎パラリンピック開催を拒否した共産主義国=ソ連
◎日本経済の沈滞を知られたくない左翼集団
◎現代の「陰謀論」≒20世紀のマルクス主義
◎優生思想を隠し続けた社会主義
◎中国やソ連の国旗の赤は血の色
◎ヤクザに忖度と北朝鮮が好きな教育関係者
◎アベノミクス批判しかできない左翼経済学者たち
◎共産党から自民党まで「社会主義」を信じていた20世紀
◎選民思想=ナチズムの嘘? -
社会のルールはどのように決めるべきか?
すべての人が納得できる正義はあるのか?
現代政治哲学の起点となった主著『正義論』を平易に読み解き、ロールズ思想の核心をつかむ!
【本書のおもな内容】
●「多様性を認めながら対立をなくす」ことのジレンマ
●ロールズが語った正義の構想は綺麗事なのか
●「力こそは正義」は根本的な誤解である
●画期的な思考実験「無知のヴェール」
●「誰もが納得する格差」はあり得るのか?
●自尊心がなければ自由になれない
●「正義は人それぞれ」と言っていられない理由
●現代的にアップデートされた社会契約論
●ロールズがたどり着いた「公正としての正義」
多様性の尊重と対立の回避のどちらかを諦めるのではなく、両方を取るためには、社会の構造(仕組みやルール)についての、何かしらの工夫が必要です。そして、そのような工夫を見つけ出すことこそが、ロールズの課題でした。『正義論』においてロールズが取り組んだのは、まさにこの問題、すなわち、人々が多様なアイデンティティをもっており、正義についても異なる意見を持っている、ということを前提にした上で、それでも正義が成立するとすればどのようなものとなるのか、という問題です。
はたして私たちは、社会の中の答えのない対立を、乗り越えることができるのか。その問題を解く手掛かりが、ロールズの『正義論』の中にあります。これから全四章に分けて、そのことをみなさんと一緒に見ていきたいと思います。――「はじめに」より
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100ページで教養をイッキ読み!
現代新書の新シリーズ「現代新書100(ハンドレッド)」刊行開始!!
1:それは、どんな思想なのか(概論)
2:なぜ、その思想が生まれたのか(時代背景)
3:なぜ、その思想が今こそ読まれるべきなのか(現在への応用)
テーマを上記の3点に絞り、本文100ページ+αでコンパクトにまとめた、
「一気に読める教養新書」です!
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近年、民主主義の危機が叫ばれ、その重要性を訴える議論が巻き起こっている。だが、民主主義を擁護するだけで本当に今日の「危機」は回避できるだろうか。むしろ、民主主義それ自体がポピュリズムなどの現象を招いているのではないか。本書では、政治思想が「民主政」批判から始まったことに注目しつつ、民主主義だけでなく、それを補完・抑制する原理としての自由主義や共和主義、社会主義などを取り上げ、それぞれの歴史的展開や要点を整理していく。主主義を機能不全から救い出すために何が必要か、その核心に迫る白熱の講義。
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生きることが苦しいあなたに――。
キリスト教国家デンマークに生まれ、いまなお哲学史にその名を刻むセーレン・キェルケゴール。母や兄弟との死別、厳格な父との葛藤、放蕩、婚約者との破局――。不憫な日々を過ごした青年は、孤独と憂愁の淵で深くへりくだる。その愚直な信仰と思索のあいだに立ち上がった〈実存哲学〉とはいかなる企てだったのか。『死に至る病』『不安の概念』などの代表作のみならず、残された膨大な日記や手紙を読み解き、“神に仕えるスパイ”という使命を生きた人間キェルケゴールの実像にせまる。 -
★中島岳志氏推薦! 「今後、この本を抜きにしてガンディーを語ることはできないだろう」★ 贅沢な食事をしないこと、搾取によってつくられた服を着ないこと、性欲の虜にならないこと、異教徒とともに生きること、そして植民地支配を倒すこと――。ガンディーの「非暴力」の思想はこのすべてを含む。西洋文明が生み出すあらゆる暴力に抗う思想・実践としての非暴力思想はいかに生まれたのか。真実を直視し、真実と信じるものに極限まで忠実であろうとしたガンディーの生涯そのものから、後の世代に大きな影響を与えた思想の全貌と限界に迫る。ガンディー研究を一新する新鋭の書!
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福沢の思想は毀誉褒貶にさらされてきた。それは福沢の議論の変化というよりも、福沢をとりまく世論の側の変化によるものといえる。福沢を評価した徳富蘇峰は、晩年には福沢が日本の伝統的な良風美俗を破壊したと罵倒。戦後は丸山眞男から原則ある実学思想家として賞賛されるも、朝鮮蔑視の脱亜論者として批判もされ、他方で1980年代半ば以降は1万円札の肖像となり、文化人の象徴となった。福沢評価の変遷をたどり、その過程を詳細に考察。福沢の実像を浮かび上がらせる。
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近年の改憲ムーブメントで連呼された「最終的に決めるのは、主権者たる国民の皆様です!」――私たちは改めて主権者としての自覚が求められ、いよいよ最後の出番に呼び出しがかけられている。しかし、主権とは何で、主権者とは誰なのか? 本書は、神の至高性に由来するこの“取り扱い注意”の概念を掘り下げ、新たなトリセツを提示する。ロゴスから意思へ、神から君主そして国民へ、魔術から計算へ、選挙からアルゴリズムへ――中世神学から現代の最新論考までを包含しためくるめく“主権者劇場”がここに開幕!
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どの親のもとで生まれたかによって子どもの人生が左右される現実をカプセルトイにたとえた、「親ガチャ」という言葉。
現代の格差社会において、「親ガチャ」にハズれた者は、自分の境遇を恨みながら幸せをあきらめて生きていかざるを得ないのか?
『ケーキの切れない非行少年たち』の著者と気鋭の哲学者が、全ての人が幸せを追求できる社会のあり方を考えながら、逆境を乗り越えるための心の持ち方、人生を切り開く力のつけ方を、哲学・精神医学・心理学の観点から具体的に提唱していきます。
(目次)
第1章 対談 宮口幸治×神島裕子「親ガチャを乗り越えられる人と潰される人はどこが違うのか」
第2章 「親ガチャ」とは何か?
第3章 親ガチャを乗り越えるための哲学
第4章 すべての人が幸せになる社会の条件
第5章 明日から実行できる!「幸福になる力」を高めるヒント
※電子書籍なので、本文中に書き込むことはできません。必要に応じてメモ用紙などをご用意ください。 -
1980年に当時の大平正芳首相のもと、当代一流の知を結集してつくられた「田園都市国家構想」。それは人間的で文化的な国家を目指すすぐれた長期的国家ビジョンであった。その構想の原点となったエベネザー・ハワードの田園都市構想、それを発展させた農政学者・柳田国男による知られざる日本独自の分権的田園都市構想を検証。大平構想にあった家庭や地域コミュニティ、自然や文化の回復、そして国家と都市、地方が調和して発展するというビジョンを21世紀に再生させる試み。
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新しく読み直す大正思想史
明治~戦前昭和の思想史を通覧する四巻シリーズの第1回配本の本書では、大正期に焦点を当てる。明治以来の「国体」の確立と文明化推進の動きはこの時期に変容し、現存する日本を改造し解放への希望を与える思想と運動が盛んとなった。国家主導だった文明化と「国体」の設定を、民衆の側から再設定する動きが広がり、知識人や運動家がその動きを担っていく。こうした大正期の多様な思想を15のテーマと11のコラムで、最新の研究成果と学術的知見を交えつつわかりやすく解き明かす。 -
いま、私たちが語るべき“希望”とは――。
30年以上にわたり「命」を見つめてきた産婦人科医が問う、真の多様性。
2020年のノーベル化学賞受賞により改めて注目された「ゲノム編集」。
とくに、医療面における治療技術の開発は現実的かつ切実な願いであることは間違いありません。
しかし、ゲノムについて臨床現場から発信されている一般書はほとんどなく、なかでも生殖医療とゲノム編集のかかわりについては議論が避けられがちというのが実情です。
本書では、生殖医療の最前線に携わる産婦人科医であり生殖内分泌学者の著者が、今、私たちに問われている「ゲノム」の意味を思索。
これまでの研究やデータを紐解くとともに、自ら世界中の専門家にインタビューし、その対話をヒントにゲノム編集と私たちの未来をどう理解すべきか、エッセイ調の筆致でわかりやすく解説します。
「子どもを持つ意味」「家族とは」「生命倫理について」など、みなさんに他人事としてではなく考え、議論することを呼びかける一冊です。
【目次】
1 ゲノム編集の深淵
2 子どもを持つこと、持たないこと
3 卵子、精子をもらうこと
4 遺伝情報を伝えること、変えること、組み合わせること
5 生殖あるいはセックスとは
6 命の選別
7 「生命倫理」という弁解、あるいは虚構・幻想
8 約束のかたち
9 総括 -
この現代社会、いったい何が善くて何が悪いのか?
カントだったらこう考える――。
さまざまなテクノロジーの発達も手伝い、善悪の基準がますます曖昧となっている現代社会。
ビジネス、道徳教育、生殖・医療、環境問題、AI、差別問題……。
現代社会で巻き起こるあらゆる倫理的な問題について、私たちはどう判断すればよいのか。
その答えは「カント」にある。
哲学・倫理学における重要な古典としてつねに参照され続ける一方、難解と評されることの多いカントだが、本場ドイツでカント倫理学の博士号を取得した著者が、限界までやさしくかみ砕いて解説。
その上で、現代を生きる私たちが「使える」実践的な倫理として提示する一冊。 -
本当の愛国とは?
「愛国」思想は現在、右派や保守の政治的立場と結びつけて語られる。しかしその起源は、かつて古代ローマの哲学者キケロが提唱したパトリオティズムにあった。フランス革命では反体制側が奉じたこの思想は、いかにして伝統を重んじ国を愛する現在の形となったのか。西洋思想史における紆余曲折の議論を振り返り、尊王思想と結びついた明治日本の愛国受容を分析、さらに現代のグローバルな視点からパトリオティズムの新しい可能性を模索する。 -
価値を変えろ!
自分の利益を第一に考えて合理的に行動する主体=「経済人(ホモ・エコノミクス)」――経済学が前提とするこうした人間像はどこで生まれたのか。多くの批判にさらされながらも、それが世界を動かす原動力でありつづけているのはなぜか。「金儲け」が道徳的に蔑まれた古代・中世そして非近代の社会から、近代経済学が確立する「限界革命」の時代をへて、ホモ・エコノミクスが社会の広範な領域に浸透する現代まで。「自己利益の追求」が当たり前の価値として受け容れられるに至ったからくりを、思想史の視座から解き明かす。 -
生の手ざわりを求めて――。
“正しさ”は病いを治せるか?
“自分らしさ”はあなたを救うか?
不調の始まる前から病気の事前予測を可能にし、予防的介入に価値を与える統計学的人間観。
「自分らしさ」礼賛の素地となる個人主義的人間観。
現代を特徴づける一見有用なこの二つの人間観は、裏で手を携えながら、関係を持つことではじめて生まれる自他の感覚、すなわち「生の手ざわり」から私たちを遠ざける。
病いを抱える人々と医療者への聞き取り、臨床の参与観察、人類学の知見をもとに、今を捉えるための三つ目の人間観として関係論的人間観を加えた。
現代社会を生きる人間のあり方を根源から問う一冊。 -
日本を動かした「豪傑」の真実
明治から昭和まで活動し、「無位無官」の浪人ながら多方面に政治的影響力を持った頭山満(とうやま・みつる)。日本のアジア侵略を肯定していたという理由で、その評価は高くないまま現在に至る。だが国権主義を無前提的に悪として、頭山の行動や言説を解釈することは客観的とは言えないだろう。頭山の生涯をたどりなおし、アジアとの連帯感と侵略志向とがいかなる形で彼の中で併存していたかをアジア主義との連関で読み解きつつ、近代日本のアジア観を問いなおすことを試みる。
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