『文庫コレクション 大衆文学館、コインUP(文芸・小説、実用)』の電子書籍一覧
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日本支配下の旧満州・大連近郊で、独身の老ロシア人富豪ペトロフが殺害された。財産目当ての犯罪と見て、鬼貫警部は3人の甥とその恋人を追及する。しかし、そこには堅固なアリバイが立ちはだかっていた! 大動脈・満鉄の時刻表の行間にそそがれる、鬼貫の執拗な視線と緻密な推理。時刻表ミステリーを拓いた巨匠のデビュー作を、実際の時刻表をもとに補筆された決定稿! 旧満州にわたり、青春時代を過ごした著者ならではの小説。
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「風太郎忍法帖」の中で、現在入手不可能の、驚天動地・抱腹絶倒の忍法で読者を魅了すること請け合いの、傑作短編集。古来伝わる睡魔をもって襲う忍者に対抗すべくあみだされた半睡浮遊剣、仮睡自在剣、夢界生動剣。そこに生じた思いもよらない陥穽を描く「忍法甲州路」のほか、忍法陰陽変を用いて男根女陰を交換する「転の忍法帖」、筑摩一族の忍びの活躍を描く「忍者六道銭」など収録。
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女だてらに丁半勝負に興じるお伝の美貌の陰には、夫・浪之助への新妻の如き愛が息づいていた。時は明治初年、薬も加持祈祷も効のない夫の業病治療のため、彼女は利根川の村から東京の名医へと人力車を走らせる。前途に凄惨な運命が待ちうけているとも知らずに……。希代の毒婦として処刑されることになる高橋お伝の生涯と女心の振幅を、戯作的雰囲気と濃密なエロティシズムの中に描いた情緒派の代表作。
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失業の名人の私がやっともぐりこんだのは、ガラマサどんと仇名されるワンマン社長が一代で築いたビール会社。社長は立志伝を誇大に伝えようと、私を自伝作者に指名した。身近に接するガラマサどんの稚気と奇行、振り回される部下の困惑と狼狽。ユーモア小説の代表的名作に、昭和初期サラリーマンの哀歓を巧みにスケッチした『使う人使われる人』を加え、明朗小説の魅力を存分に伝える待望の一巻。
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女は広島の山間から、男は四国の松山から、時を同じくして裸一貫の旅に出た。日露戦争を目前に控え近代日本は興隆の頂点をめざしていた。門司港の石炭荷役に携っていた二人の若者は、運命の糸に操られるように殺伐たる九州の港を流れるなかで結ばれ、転変の人生をともに歩みはじめる。玉井金五郎の侠気とマンの心意気、その底に通いあう細やかな愛情。著者天性の雄渾なロマンみなぎる名作。
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ジンギスカンの秘宝が、中国北辺に流れついた男たちの暗い野望をあおる! 新伝奇の名作として知られる表題作、天明期、シベリア探険を試みた日本人の異常凄絶な最期、中国紅軍に参加したドイツ人の酸鼻を極めた体験奇譚など、虚実ないまぜ、異境での人間の孤独な夢と暗い情熱を描く7編は、妖しいまでの魔力で読者を異次元世界へ誘う。幻想と幽闇の彼方に燦然と屹立する、小栗伝奇ワールドの巨峰!
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悲運の若君太郎頼秀。斎藤道三に滅ぼされた土岐頼芸の遺児。稲葉山城で首を刎ねられる寸前の太郎を救い出したのは、名僧の誉れ高い白雲上人と、異腹の弟ながら上人と瓜二つの土佐青九郎。主家再興を企てる兄弟は、太郎を護りながら、日根野備中守の執拗な追及を躱す。善玉悪玉入り乱れる人物群像の鮮やかさと奔放な空想力。戦国動乱期の美濃を背景に、華麗な乱世絵図を骨太に描く伝奇小説の白眉!
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名刀乾雲丸と坤竜丸。離れれば互いに求めあい、持つ者を殺人鬼と化す宿命の妖刀だ。その一つが小野塚道場の俊才・諏訪栄三郎の手に、一つが二刀獲得に異様な執念を燃やす片眼片腕の怪剣士・丹下左膳に渡ったときから、大江戸の夜は血に染まる! 乱闘に次ぐ乱闘に恋のさやあてもからみ、急展開するスリル満点の物語の興奮。映画でもおなじみ、大衆小説屈指のスーパー・ヒーロー、いよいよ登場!
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貧しさゆえに進学できない子ども、腕力にものをいわせる餓鬼大将、やさしい心の中学生、また剛直な教師、彼らが織りなす友情と義侠と師弟愛。いつの時代にもあったいじめ・暴力・非行。だが少年らの強靱さはそれをはねかえす。現代に通じる少年群像の心の叫びのなかに、人生問題、社会問題を提起し、時代をこえて訴えかける少年文学の金字塔。
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河童を思わせる愛嬌者、曽呂利新左衛門は、堺でも知られた鞘細工の名人だった。信長の知遇を得るはずの日に起きた本能寺の変が、彼の運命を一変させた。雑賀衆の軍師として秀吉軍と戦い惨敗、堺に舞い戻った彼を、突然秀吉が訪ねてきた。猿面と河童面の奇妙な交流が始まる。その陰で、淡い恋が生まれ、消えた……。戦国乱世を、才覚と度胸で飄々と生きた奇人の姿を、骨太に描き出した歴史小説。
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隅田川沿いの芦の湿原の中に建つ「しぐれ茶屋」。蛤の茶漬けを求めて、伊藤博文をはじめ、政治家・実業家・芸人らが通ったという。実在のモデルの女将おりくは殊の外、芸人を可愛がった。円熟した筆使いにのせ、明治末期から大正にかけての庶民の哀歓を、このひとでなければといわれるほど、見事に織りなし、市井に花咲く人情の世界を流麗に綴る、川口文学の代表作。吉川英治文学賞受賞。
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淀君こそ史上最高の美女。雑誌編集者の誠之助が大坂城趾で艶麗な姿態を夢想したとたん、石垣は崩れ、彼は慶長19年の城内にタイムスリップした! 洋服姿から切支丹と疑われるが、歴史知識を活用、神の予言者として信頼と人気を集める。そして、ついに憧れの淀君の寝所へ招かれた! だが、彼も歴史を変えることはできなかった……。SF的発想と確かな史眼で、落城の悲劇を軽妙に描く異色の快作。
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結婚するや否や新妻を連続殺害する“浴槽の花嫁”のような猟奇殺人。パリ社交界に20年にわたり女王として君臨した驚倒的大詐欺師。世紀の大遭難タイタニック号を描く海難事故もの。軍事スパイものに進化論裁判ものと、『世界怪奇実話』、33話から精選した10編を収録。「丹下左膳」の林不忘、めりけん・じゃっぷものの谷譲次と、一人で3つのペンネームを使い分けた奇才が、欧米で犯罪怪奇事件を渉猟し、綿密に描写し、読者の心胆を寒からしめる実録小説集。 ■収録作品■都会の類人猿/ウンベルト夫人の財産/浴槽の花嫁/戦雲を駆る女怪/他
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憧れの女性に着せたい一心で華麗な振抽を精魂こめて縫い上げた刺繍職人、自分のため店の金を横領した若者の釈放に奔走する遊女、逢瀬(おうせ)の翌日は必ず負ける力士の出世を願って身を引く芸者……ここに描かれるのは、私利を顧みず人間の情に生きた悲しく優しい「人情馬鹿」たちだ。美しい風俗と江戸っ子気質(かたぎ)が色濃く残る大正期の東京下町を舞台に、人生の達人が共感と愛惜の想いをこめて綴った名作12話。
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人間の情念の微妙さを描き出す卓抜な技巧、弱者に対する深い思いやり――菊池寛の特質は、仇討小説にもっとも鮮やかに表われている。九年目にめぐりあった仇の隧道(ずいどう)開削の悲願に心を動かされた青年武士がともに槌を振るう名作『恩讐の彼方に』、逆の側から忠臣蔵を見た『吉良上野の立場』、仇討の複雑な心理を直接間接に捉えた『仇討三態』など、収録した仇討ものの全短編は、まさに巨匠の独擅場! ■収録作品■恩讐の彼方に/仇討三態/吉良上野の立場/下郎元右衛門――敵討天下茶屋/仇討兄弟鑑/敵討順逆かまわず/返り討崇禅寺馬場
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大老井伊直弼の落胤新納(にいろ)鶴千代。悪旗本から一条卿の姫を救ったことが発端となり、転変波乱の修羅の巷に引きこまれる。二人の美女に惑乱され、封建社会の枠にもはまれず、勤皇佐幕の波にも乗れず、幕末動乱の浮き世をさすらうニヒルな侍の孤影――人を斬るのが侍ならば恋の未練がなぜ斬れぬ。阪東妻三郎主演、西条八十作詞、松平信博作曲の映画主題歌が津々浦々に流れ、一世を風靡した名作。
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秘峰八ケ嶽を舞台に、姫をめぐる兄と弟の愛の確執と惨酷な結末が、果てもなく続く一族の血塗られた歴史の発端だった。憎悪は憎悪を呼び、復讐は復讐を生む。山窩族と水狐族に分かれて争う末裔たちの呪詛と怨嗟の叫びは、時空を越え、いま大江戸の夜に凄然と谺する! 近代劇作の手法もとりこんだ卓抜な構想力と無類の空想力で妖美幻想の世界を拓き、国枝三大伝奇長編の一つと評される豊饒な成果。
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美女の水葬死体と1枚の朝鮮文字ビラが、対馬沖の海底で発見された。だが警備艇が収容に向かったとき、死体は消えていた! そして、ビラに記された戦慄すべきメッセージと死体消失の謎が、朝鮮半島と日本を結ぶ謀略と利権の暗部を浮かび上がらせる。1960年代の朝鮮半島情勢を背景に、愛憎織りなす人間ドラマを緊迫感に満ちた展開の中に描き、日本スパイ小説の先駆となった記念碑的名作。
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唐津6万石小笠原家の世嗣長行(ながみち)がたどった波瀾の半生。わずか2歳で廃嫡の非運から、一転、土佐の雷公・山内容堂の推輓もあって、幕閣の中枢へと異例の昇進をとげた長行。その闊達な人間性と、国を想う熱誠。老中兼外国奉行として国難に対処する異色の合理主義者を描く表題作の他に、「老中の眼鏡」「十万石の怪談」「流行暗殺節」、絶筆となった「山県有朋の靴」の5篇を収録。より高次な大衆小説を目ざした著者が到達した、歴史小説の記念碑的作品群!
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一介の油売り商人から天下取りへ。力こそ正義、智力と財力を武器に成り上る斎藤道三の不逞な生き方こそ、戦国ならではの男の姿だ。美濃守護職・土岐氏の家中乱脈に乗じ勢力を固め、その愛妾をも奪い、“国盗り”を目指す。独創的な領国経営で美濃の覇者となった乱世の梟雄斎藤道三の苛烈な生きざまを描く表題作のほか、中編『松永弾正』、名短編『月魄』『春日』を併録する、風格堂々の独自の文学世界。
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人類学の素養に裏打ちされた魔境冒険ものの3部作「オラン・ペンデクの復讐」。生物学の知識に彩られた豪華絢爛たる「海鰻荘奇談」。古生物学、地質学の該博な教養に加えて、妖艶なエロチシズムが横溢する「怪異馬霊教」「ソロモンの桃」「蜥蜴の島」「エル・ドラドオ」など9篇を収録。一大ブームをまきおこした怪獣ゴジラの生みの親が、戦後間もなくの大衆文学界に衝撃を与えた、幻想、怪奇、秘境ものの傑作を網羅!
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深夜、急激に変容する大都市新興地区が帯びる迷宮感覚――。東京を思わせるTという大都市。夜ともなると昼間とは全く別個の存在となり、ごく少数の人しか知らない不思議な都市と化す。その闇と迷路の暗黒の世界を支配するのが「深夜の市長」。昼間の市長と市議会の対立するなか、次々と起こる怪事件。解決しようと深夜の街をかけまわる奇妙な男――怪人市長の正体は!? 幻想ミステリ傑作。
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筑豊の廃坑の村。離職者更生の手段として、自分の経験と技術を教えこんだ元スリの耳に、昔の仲間、いまは東京のデパート保安係が囁いた――もっと安全で割りのいい稼ぎがあるじゃないか。かくて結成された窃盗団。大胆巧妙な手口とチームワークを見せる面々とベテラン刑事との虚々実々の駆引き、そして意外な結末。雑草の逞しさで生きる万引き集団の活躍を温かく軽妙に描いた、会心の悪漢小説(ピカレスク・ロマン)。
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信州の山奥で仙人・戸沢白雲斎から独得の武芸を伝授された少年猿飛佐助は、真田幸村に乞われ沼田城に入った。時は戦国、佐助の奇策は徳川や北条の城攻めを次々に封じる。だが、自然児にとって武士の世界はなじみにくかった。放浪の旅に出た彼は、人の野心、怨恨、情愛をしたたかに思い知らされる……。「立川文庫」最大のヒーローを、著者自身の体験と重ね合わせて、人間として捉えなおした異色の長編。
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縞(しま)の合羽(かっぱ)に三度笠、軒下三寸借り受けての仁義旅――舞台、映画、歌でもおなじみの《股旅もの》。しかし、ここに収めた8編は単なるやくざのアクション・ドラマを越えた人間の物語だ。「股旅者も、武士も、町人も、姿こそ違え、同じ血を打っている人間であることに変りはない」。義理と人情のしがらみ、法の外に打ち捨てられた渡世人の意地と哀愁にそそぐ温かいまなざし。庶民派作家の真骨頂がここにある。
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大阪の富豪に殺人予告が届いた。差出人は蝿男。警備は厳戒をきわめた。しかし、それを嘲笑うかのごとく、富豪は天井に吊されていた。完全に近い密室に、煙のように侵入しうる犯人とは、いったい何者? 名探偵・帆村荘六は、この不可能犯罪に敢然と挑み、怪人蝿男に肉迫する! 猟奇的な発端から戦慄のラストシーンまで、昭和初期のエログロ・ナンセンスの雰囲気を濃密に漂わせた鬼才の代表的長編。
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江戸に護送される国定忠治一行とすれ違った渡世人は、表情も変えず例幣使街道を西下する。古ぼけた道中合羽、塗りのはげた長脇差(ながどす)。賭場へ誘う遊び人を無視し、凌辱される娘を見捨て、男はひたすら歩を早める。行手の下仁田宿で待つのは、はたして何か。見かえり峠は地獄への入口なのか。人生の裏街道を往くアウトローを鮮烈に描き、ヒーロー木枯し紋次郎誕生の母胎となったネオ股旅小説の傑作集!
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夫と子供の不在の一夜、強盗に踏みこまれた、一人の平凡な主婦と強盗との接点を、誰にでも日常的に起こり得る恐怖と描く心理サスペンス「赤い殺意」。貧しく不幸に生まれ、ただ一筋に男に尽くすしかない可愛い女を浮き彫りにする直木賞受賞「罪な女」。精細な心理描写の丹念な積み重ねと、定評のある女の情感描写の双方が響き合って、人間の哀しさと人間愛へと収斂されていく長短編の代表作を収録。
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只見川渓谷に眠る謎の財宝――浮田城の浮田左近次は子孫のために財宝のありかを髑髏銭の組合せで知らせようとしたが何者かに殺される。孤独な剣士銭酸漿(ぜにほおずき)は亡父左近次の遺恨をはらそうと復讐鬼と化す。死闘の末に手にした髑髏銭が示す秘宝の謎とは何か。秘宝をめぐる幕府の実力者柳沢保明、駿河大納言忠長卿の末裔らの入り乱れての活劇に、悲恋の色模様も交えた伝奇小説の会心作!
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あで姿で大江戸の人気をさらう上方芝居の若手女形・雪之丞の胸には、重大な決意が秘められていた。豪商だった父と母を奸計で破滅させ、無残な死へ追い込んだ長崎奉行と輩下の商人たちが、いま江戸で権勢を振るっている。親の仇、恥知らずの悪人どもを許すことはできない! 免許皆伝の腕を美貌に隠し、雪之丞は侠賊・闇太郎とともに復讐の時を窺う。絢爛たる設定、手に汗握る展開、これぞ大衆小説の粋!
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江戸昌平黌の卒業試験に落ちた榎本釜次郎は、彼を見込む箱館奉公・堀織部正に随って北海道を知り、また長崎で海軍の技術を習得する。オランダ留学も果たし海軍副総裁となった榎本だったが、倒幕の流れは洋々たる前途を一気に押し流す。「男」を描いて定評ある著者が辿る幕末の異才・榎本武揚の運命。
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高田の馬場の堀部安兵衛、鍵屋の辻の荒木又右衛門、忠臣蔵で知られる赤穂四十七士……忠臣孝子の復讐譚は、芝居に、映画に、また小説に謳われてきた。仇討、その数は二百を越すという。『仇討十種』で作家デビュー以後、著者はこの日本的美徳をさまざまな形で追求しつづけた。厖大な数の仇討作品群のなかから選び抜いた二十一編は、美化されがちな艱難辛苦の物語の陰の真実をも鮮やかに浮彫りにする。 ■収録作品■仇討に就て/鍵屋の辻/高田馬場/鏡山/崇禅寺馬場/相馬の仇討/討入/槍の権三重帷子/黒石の乱闘/総穏寺の相討/近藤源太兵衛/
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武田信玄の寵臣土屋庄三郎は、夜桜見物の折に老人から深紅の布を売りつけられる。これぞ纐纈布! 古く中国で人血で染めたとされる妖しの布だ。この布が発する妖気に操られ、庄三郎がさまよう富士山麓には、奇面の城主が君臨する纐纈城や神秘的な宗教団が隠れ棲み、近づく者をあやかしの世界に誘い込む。怪異と妖美のロマンを秀麗な筆致で構築し、三島由紀夫をも感嘆させた伝奇文学の金字塔。
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正義感と人情に厚い岡っ引、騒々しい子分の八五郎を供に、窮地は名人芸の投げ銭で切り抜ける、ご存じ銭形平次。若い娘が化粧品屋で次々と消える『金色の処女』、与力一家に祟る化物の怪『復讐鬼の姿』、輿入れ途上の花嫁が相次いで誘拐される『七人の花嫁』など、江戸情緒たっぷりの妖奇と謎。初文庫化作品を中心とした初期傑作10編。恋女房となるお静とはまだ許婚の仲。全編にみなぎる若き平次の魅力。
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奇想天外・荒唐無稽と絶賛をあびる山田風太郎作品。その原点が現代ミステリだ。「愛する義妹の孕(はら)む子の父親探しに狂奔するアプレ遊廓の経営者」「客の男たちを恋の騎士として競わせる経歴不詳の酒場のマダム」ら、戦後のデカダンスを色濃く映す主人公。戦慄と猟奇、妖美と夢幻の渦巻くなかに仕掛けられる想像を絶する動機と犯罪、ドンデン返しの結末。人情の機微を踏まえたトリックが翻弄する傑作集。
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名君と評判の徳川八代将軍吉宗は、本来なら三万石の大名で終るべき身分の人だけに、身辺に隙があった。登用した江戸町奉行大岡越前守忠相は名奉行と市井の喝采をあびる。越前が必死に捕えんと追う密貿易船(ぬけがいぶね)は一網打尽にしたが、彼を悩ます怪人が江戸に現れた。将軍ら四人に復讐を誓う四ツ目菱の袷を着た一ツ目男――。人間描写の巧みさで、運命に翻弄される人物を描く、傑作伝奇小説。
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女――それは男を迷わせるだけではない。会社組織をも狂わせる凶器だ。籠絡した4人の美女を武器に、高度成長の波に乗る電機業界の舞台裏に暗躍する産業スパイ・片桐七郎。俺こそが影の凶器だ、と豪語する非情の男は、アメリカ仕込みの凄腕で、着々と成果を挙げていく……。精力的な取材とダイナミックなストーリー展開で、わが国に企業スパイ小説というすぐれて現代的なジャンルを拓いた著者の代表作。
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