『中央公論新社、中公選書(実用、文芸・小説)』の電子書籍一覧
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戦国時代の日本国内に、「奴隷」とされた人々が多数存在し、ポルトガル人が海外に連れ出していたことは知られていた。しかし、その実態は不明であり、省みられることもほとんどなかった。ところが近年、三人の日本人奴隷がメキシコに渡っていたことを示す史料が見つかった。「ユダヤ教徒」のポルトガル人に対する異端審問記録に彼らに関する記述が含まれていたのだ。アジアにおける人身売買はどのようなものだったのか。世界の海に展開したヨーロッパ勢力の動きを背景に、名もなき人々が送った人生から、大航海時代のもう一つの相貌が浮かび上がる。
増補にあたっては、豊臣秀吉の朝鮮出兵によって大量に連行された朝鮮人捕虜、その捕虜たちの扱いに直面したイエズス会、さらに、長崎に連れて来られたアフリカ人奴隷など、アジアにおける奴隷貿易の実態をさらに深く紹介する。 -
古代アンデス文明の最終期、一五世紀に台頭した巨大な政治組織を、現在われわれはインカ帝国と呼んでいる。その領域は南北四〇〇〇キロに及び、およそ八〇もの民族集団を統治した。本書では当時の人々が使用した言葉と具体的なモノに着目し、個別的な分析を積み重ねながらインカ帝国の全体像を生き生きと再現する。ひいては、文字を持たなかったアンデス文明を普遍的な人類史的視野のもとに位置づけることを目指す野心的な試みである。
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ロシアは過去一〇〇年ほどのあいだに、帝政から共産党独裁へ、そして大統領制国家へと変転を遂げた。だが、ロシア史を貫く基本構造は同じである――。ロシア史を大づかみにとらえた上で、ロシア革命期の自由主義政党カデットや社会主義者最左派のボリシェビキの活動の実態から、プーチン政権の権力のあり方までを考察。そこに生きた人間の運命を通して、世界史の今後にとって大きな意味をもつ「ロシアとは何ものか」を見極める。
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日本文学は「どうしても翻訳できない言葉」で書かれてきた、と大江健三郎は言う。事実、谷崎も川端も三島も、英訳時に改変され、省略され、時に誤読もされてきた。なぜそのまま翻訳することができないのか。どのような経緯で改変され、その結果、刊行された作品はどう受け止められたのか。米クノップフ社のアーカイヴ資料等をつぶさに検証し、一九五〇~七〇年代の作家、翻訳者、編集者の異文化間の葛藤の根源を初めて明らかにする。
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目 次
はじめに――アメリカを覆う巨大な影
第一章 ホワイトハウスへの道
1 政治家像の基礎固め
2 大戦の試練
3 政界への第一歩
4 上院への挑戦
5 プリンス&プリンセス
6 負けるが勝ち
7 驀進ニュー・フロンティア
8 決戦の日
9 船出の準備は着々
10 輝くワシントン
第二章 多事多難な一千日
1 対決を乗り越えて
2 宇宙の冷戦
3 突如出現した壁
4 核破滅の瀬戸際
5 破綻した侵攻作戦
6 革命の嵐に苦慮
7 繁栄の鍵
8 平等社会実現のために
第三章 甘い追憶の日々
1 ダラスの悲劇
2 服喪の四日間
3 キャメロット誕生
4 謎また謎
5 巨悪VS.善神
6 松明は再び落ちた
7 王妃出国
8 王朝の黄昏
9 亡霊の影のもとで
おわりに――夢は果てしなく
あとがき
主要参考文献
ケネディ関連年表
事項索引
人名索引 -
天皇はここから「ニュース」になった──。生涯にわたって全国各地を行幸し、神話世界を別にすれば日本史上で最初の「旅する天皇」であった明治天皇。とりわけ1872年から1885年にかけ6回にわたって全国各地を回った大規模な巡幸は「明治六大巡幸」と呼ばれ、天皇と民衆の視覚的相互関係におけるエポックメイキングな出来事として研究の対象とされてきた。六大巡幸はまた、「旅する天皇」の誕生であると同時に、「報道される天皇」の誕生でもあった。日本における最初の本格的メディアとして新聞が続々と創刊された同時代性に着目し、両者のかかわりを重層的な視点で描く。新聞と天皇を重ね合わせるところから、近代日本の初発の時期における国民国家の形成において、当時のニューメディアが果たした役割を明らかにする。
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暴力の支配するところに、本当の意味の権力は存在しない――アレントがそう定義するのはなぜか。そして、アレントの言う「権力」を理解することによって、私たちは何を得ることができるのか。
世界の行く末が見通せない現在、ますます重みを増すアレントの思想を解読する。
目次より
第1章 政治の文法
第2章 評議会とはどのような組織か
第3章 「連合」の原理と国際関係
第4章 抵抗のための条件――黒人問題と暴力
第5章 抵抗のための「権力」――ユダヤ人の「最終解決」をめぐって
第6章 革命の条件
第7章 「権威」の再建
第8章 「社会」という領域と政治
第9章 歴史――起こったことに向き合う
第10章 真理の擁護――政治の境界を設定する
補論 アレントと西洋政治思想 -
戦前日本を代表する自由主義者、言論人だった石橋は、戦後、活動の場を政界に移す。大蔵大臣、通産大臣などを歴任し、1956年には自民党総裁に当選、首相になるも、病気のため、65日で辞任した。石橋は、自らの政治理念を現実政治の中で実現できたのか。没後50年、その真価を問う。
目次より
第一章 政治家・石橋湛山の誕生
第二章 運命の七票――一九五六年の自民党総裁選
第三章 明暗を分けた閣僚人事
第四章 「私の政治的良心に従います」――65日間の内閣
第五章 日中国交正常化への努力
第六章 理想主義者から現実主義者への転回
終 章 晩年の石橋湛山 -
戦争全体の把握にはデータが肝要だ。特に死者数のデータは、戦争の規模、相手との優劣比較で最も説得力を持つ。ただ発表されるデータが正しいのかは常に疑念があるだろう。ウクライナ戦争での戦死者数についても、ウクライナ、ロシア双方から発表される数字は異なる。では、そうしたデータはどのように集められてきたのか。
戦場での死者数は、総力戦となった第1次世界大戦以降、国家による将兵だけの把握では難しくなり、赤十字国際委員会、国際連盟といった国際機関が介在していく。しかし第2次世界大戦後、特定地域での内戦・紛争・ゲリラ戦が頻発。政府側・反政府側で異なる数字が発表されていく。大国間対立で国連が機能不全に陥るなか、国際的な人道ネットワークが、先進各国や国連の支持を受け、死者数の調査・精査を行い発表していく。
本書では、特に1960年代以降のベトナム戦争、ビアフラ内戦、エルサルバドル内戦から、第3次中東戦争、イラン・イラク戦争、旧ユーゴ紛争、そして21世紀のシリア内戦、ウクライナ戦争を辿る。その過程で国際的な人道ネットワークが、統計学や法医学の知見を取り入れ、どのように戦争データを算出するようになったか、特に民間人死者数に注目する。また、データをめぐる人々の苦闘にも光を当てる。 -
卑弥呼はヤマト王権の初代大王、その王都は奈良盆地東南部の纒向(まきむく)にあった!
盟主不在の「倭国乱」ののち、3世紀初めの「卑弥呼共立」によって「新生倭国」=ヤマト王権は誕生した。考古学の成果と中国史書の精読から導き出された、この国の国家形成史の新しい枠組み。
◆纒向遺跡はいつ出現し、どのような特徴をもった特別な遺跡なのか? 詳細に解説
◆王権はのちに畿内と呼ばれる地域の勢力から誕生したのか? 新しいストーリーを提示
◆卑弥呼はそもそも「邪馬台国の女王」だったのか? 彼女はどこに眠っているのか? 箸墓古墳の被葬者はいったい誰なのか? 最新の研究成果にもとづいて推理
本書の構成(目次)
第一章 纒向遺跡論/第二章 日本国家の起源を求めて/第三章 王権誕生への道/第四章 王権の系譜と継承/第五章 卑弥呼共立事情――私の邪馬台国論/第六章 卑弥呼とその後 -
山本五十六は、なぜ「最も勇敢に戦争に反対しながら、自ら対米戦争の火蓋を切らなければならなかった」連合艦隊司令長官となったのか。その実像を戦前戦後の価値観の変遷、山本自身の対米認識を軸に明らかにする。ロンドン海軍軍縮会議の「会議対策私見」など初めて活字化して収録。
序章 アメリカの第二の敵・山本五十六
第一章 長岡から海軍へ
第二章 海軍航空への開眼
第三章 ロンドン海軍軍縮会議
第四章 航空主兵論の展開
第五章 真珠湾への道
終章 ペリーの星条旗
資料編 -
映画監督・小津安二郎は異母弟の孫、伊勢松阪の富商、当世随一の人気作家・曲亭馬琴の友人、本居宣長の孫弟子にして、大蔵書家、そして江戸時代最大の紀行文作家・小津久足。湯浅屋与右衛門、小津桂窓、久足、雑学庵という四つの名前を使い分けて生きた男のそれぞれの営みを通して、近代とは似て非なる、あるがままの江戸社会を探る。文学、歴史、文化、経済を横断すると、あり得たかもしれない、もう一つの日本というパラレルワールドが見えてくる。
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はじめに
第1章◉脳とAI
脳から見た問題解決のメカニズム――酒井邦嘉
数理工学の方法論――合原一幸
次の一手を決めるプロセス――羽生善治
鼎 談――酒井邦嘉/合原一幸/羽生善治
人間とAIの棲み分けと融合
「詰み」とレーサーの感覚の共通点
AIは大局観を持てるか
文脈と共感
機能の理解が課題
解 説――自然と人間――酒井邦嘉
第2章◉AIは人間の脳を超えられるか
座談―酒井邦嘉/辻子美保子/鶴岡慶雅/福井直樹
これまでのAIブーム
自己組織化する脳とコンピュータの進歩
生成文法とAI
第二次AIブームと言語学
AIと言語学の乖離
人間が持つ生得的能力
脳のプリプログラム
自然言語処理研究の現状
学習するゲームソフト
AIのクリエイティビティ
シンギュラリティのその先
タAIを人間が手放さないこと
解説――想像力と創造力(酒井邦嘉)
第3章◉チョムスキーと脳科学
対 談――福井直樹/酒井邦嘉
神経科学と言語学の接点
チョムスキーの生い立ちと人となり
チョムスキーと物理学
生成文法理論の誕生前夜
構造主義との決別
『統辞構造論』の思想的背景
反戦運動と生成意味論の時代
生成音韻論と理論物理学
「規則系としての文法」から原理とパラメータのアプローチへ
次の科学革命
解説――言語と思考(酒井邦嘉)
おわりに -
2019年、ペルシア湾の島国バハレーンの古墳群が世界文化遺産に登録された。バハレーンには今から4000年前、南メソポタミアとオマーン半島、そしてインダス地域を結ぶ海上交易を独占して繁栄をきわめた海洋の王国・ディルムンの人々が、約7万5000基もの古墳を築いた。資源に乏しいメソポタミア文明を物流の面から支え、この文明の生命線を握っていたのが、ディルムンであった。この王国を築いた人々は、それまでほぼ無人の地だったバハレーンにどこから移住してきたのか? なぜ、紀元前1700年頃を境に急速に衰退し、王都や神殿が打ち棄てられ、巨大な王墓の建造が終焉を迎えたのか? 日本の発掘調査団の中心メンバーである著者が、最新の考古学的成果を踏まえ、ディルムン文明の起源と崩壊の謎の解明に挑む。
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巨大な隣国、中国。その政策、対外行動、国内で起こる事件は時に理解しがたいものと映る。私たちは、この隣国をどのように捉えるべきか。本書は戦後の中国近現代史研究の歴史をひもとき、日本の中国観に迫る。敗戦や文化大革命は、日本の中国研究にどのような影響をもたらしたか。共産党政権の成立、日中国交樹立、改革開放、天安門事件、反日デモ、「一帯一路」などをどう論じたのか。膨張を続ける中国を、冷静に見つめるために。
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2010年代半ば、日本では、大学の「2018年問題」がさまざまに議論されていた。18歳人口の減少によって、日本の弱小私立大学は次々と経営破綻すると予想されたのだ。しかし、日本の私立大学の数は逆に増えている。なぜなのか。
著者たちは人類学者ならではのフィールドワークとデータの分析によってその謎に迫っていく。導き出されたのは、日本独自の「同族経営」の実態であり、それは私立大学のみならず、日本社会の本質をも炙り出している。他に例をみない私立大学論であり、卓抜な日本社会論ともなっている。
オクスフォード大学教授・苅谷剛彦氏による解説を付す。 -
「いかに速く走るか」。――近代の到来は「文明」に、国際スポーツの場で国と国とが同一ルールで競い合うという新しい要素を加えた。コーチングの技術などが革新的に発展を遂げるなか、「文明国」の名乗りを上げたばかりの明治日本はスポーツという洋学をどう受容したのか。漱石『三四郎』や嘉納治五郎の欧米視察記、画期的指導書など陸上競技にまつわるテクスト・写真を精読、世界の頂点とされたオリンピックに二人の若きアスリートが挑むまでを描く。
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俳句では、たった十七音しか使えない。だから俳人は劇薬を扱う化学者の注意深さでもって、言葉の一つ一つを吟味し、どう組み合わせれば最大の効果を与えるかを戦略的に思考する。俳人とは疑りぶかい言葉の化学者なのである――。俳諧を芸術へと高めた芭蕉以降の数々の名句を味わいながら、その根底にはつねに、常識への批評精神にもとづく新しい価値の創造があったことを明らかにする。俳壇の俊英による創見に満ちた俳句論。
著者略歴
1980年、静岡県浜松市生まれ。早稲田大学教育学研究科博士前期課程修了。専門は芭蕉の発句表現。俳句実作は藤田湘子に師事。2004年、第19回俳句研究賞受賞。現在、俳句結社「鷹」編集長。読売新聞朝刊「KODOMO俳句」選者。早稲田大学講師。句集に『未踏』(第1回田中裕明賞)、『寒林』、評論集に『凜然たる青春』(第22回俳人協会評論新人賞)、『どれがほんと? 万太郎俳句の虚と実』、鑑賞書に『芭蕉の一句』『蕉門の一句』『名句徹底鑑賞ドリル』など。2017年度、Eテレ「NHK俳句」選者。 -
「敦煌」は戦前・戦後を通じて、日本人の「中国への憧れ」を象徴する言葉であった。その最後の輝きとも言える1980年代、井上靖の小説『敦煌』『楼蘭』がロングセラーになり、「敦煌」は世紀の大作として映画化。NHK特集「シルクロード」が高視聴率を記録し、喜多郎のテーマ音楽がヒットチャートを駆けあがった。平山郁夫の描く西域の風景画はカレンダー等の定番でもあった。中国の改革開放政策の進展にともなって巻き起こったあのブームは、いつ、なぜ、どのように消えたのだろうか。
今や「シルクロード」という言葉は中国の経済圏構想「一帯一路」に付随するものになってしまった。中国が世界の脅威と見なされる現状で、日本が隣国とどのような関係を構築すべきかを考える必要に迫られている。20世紀の日本人が何を背景に、どのような中国イメージを形成してきたのかを知ることは、その大きな手がかりとなるだろう。
目次
第一章 井上靖と「敦煌」
第二章 日中国交正常化とNHK「シルクロード」
第三章 改革開放と映画『敦煌』
第四章 平山郁夫の敦煌
第五章 大国化する中国とシルクロード -
初代満鉄総裁、二度の内務大臣、外務大臣、東京市長……。首相にこそ手が届かなかったが、後藤新平は誰もがその名を知る大政治家の一人だ。しかし、後藤の素質と思想が最大限に活かされ、力量が発揮されたのは四十代の台湾総督府民政長官時代であった。「アヘンの島」と呼ばれ、ゲリラの絶えなかった彼の地が植民地経営の一つの成功例と言われるまでになったのはなぜか。政治指導者のリーダーシップの原型を開発経済学の泰斗が描く。
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「贅沢は敵」と批判されたパーマネントは、実は戦中も大流行しており、客は店に大行列、防空壕にもパーマネント機が持ち込まれていた。モンペは日中戦争開始後、防空演習で着用され注目を集めたが、実際にはすぐ下火になり、「モンペが不格好で不人気だから防空演習への参加率が悪い」と取り沙汰されたりした。戦時期は統制経済や節約といったイメージで語られがちだが、女性の洋装が広まり、お洒落の意識が変化した時代でもある。統制と流行と近代化の狭間で大きな社会問題となった、女性たちの「お洒落」とは。
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文明開化期から村上春樹まで、日本の近代小説史を一冊で案内する。文学史的な事実の集積を越え、文学表現が生まれてくる社会状況や作品間の影響関係にも言及。主要な作品には内容紹介を添え、読書ガイドとしての利用も企図した。肖像に加え、本や雑誌の写真を多数収録。好評旧版の新装にあたり、近代文学に文化史的・メディア論的にアプローチする手がかりとして、「「近代日本文学」の成り立ち」を付した。
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相模原の障碍者施設殺傷事件、安楽死論争、パンデミック・トリアージ――近年、様々な場面で「生きるに値しない命」という言葉を耳にするようになった。しかし、「役に立つ/立たない」ということだけで、命を選別してよいのだろうか。
一〇〇年前のドイツで出版され、ナチスT4作戦の理論的根拠になったといわれる刑法学者カール・ビンディングと精神医学者アルフレート・ホッヘによる『「生きるに値しない命」を終わらせる行為の解禁』の全訳に解説と批判的考察を加え、超高齢社会の「生」と「死」を考える。 -
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漢字の成り立ちと字形の変化の歴史には、古代中国の生活や風習、祭祀儀礼や社会制度などが反映されている。本書では、複数の字形を組み合わせて動作や様子を表した会意文字を主な対象として取り上げる。これまでに蓄積された出土文字資料を整理して、相互の継承関係を跡づける字形表を作成し、漢字の構造に封じ込められた社会と文化の記憶を解き明かすとともに、先行研究の問題点を検証する。新しい方法論に基づいた字源研究の成果。 -
政治に〈嘘〉がつきものなのはなぜか。絶対の権力というものがあるとすれば、嘘はいらない。それなりの反対勢力野党や異議申し立てがあるからこそ、それを迂回するために嘘が必要となり、反対する野党や異議申し立ての側も、権力と闘うために嘘を武器にするのだ。もちろん嘘には害があり、特に危険な嘘もある。世界中に嘘が横行する今、近現代の日本の経験は、嘘を減らし、嘘を生き延びるための教訓への対応策と対抗策の格好の素材となるはずだ。複数政党政治が成立するための条件と地域社会のあるべき未来像も、そこから見えてくる。
目次
はじめに
Ⅰ 〈嘘〉の起源――生真面目な社会
歴史をとらえる
第1章 職分から政党への五〇〇年
Ⅱ レトリックの効用――〈嘘〉の明治史
横着な〈嘘〉への対処法
第2章 福地櫻痴の挑戦
第3章 循環の観念
第4章 五/七/五で嘘を切る
Ⅲ 野党 存続の条件
政党の〈嘘〉の功罪
第5章 複数政党政治を支える嘘
Ⅳ 地方統治の作法
〈嘘〉のある号令と、呼応する人々
第6章 人類を鼓舞してきたもの
第7章 受益と負担の均衡を求めて――近現代日本の地域社会
補章 昆虫化日本 越冬始末 -
神道という言葉が信仰・宗教を指すようになるのは中世であり、仏教の一派ではない独立した神道流派は応仁期の吉田神道に始まる。神仏習合や密教、当時渡来した禅思想を基に続々と神道書が編まれ、神と仏を巡る多様な解釈が生み出された。『古今和歌集』注釈や能などの文芸世界とも相互作用を起こし、神道は豊穣な中世文化の一翼を担っていく。成立時から融通無碍に変化し続けた神道の本質とは何か。最新の研究からその姿に迫る。
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アメリカと中国の対立は世界をどう変えるのか。中国の台頭は新たな戦争を招くのか。
経済発展と民主化が同時に進行しない中国・ロシアを「ポストモダンの『近代』」という視点で捉え、今後の世界情勢を見通し、そのなかでの日本の指針を指し示す。
目次より
Ⅱ
Ⅲ
「欧米中心」時代の終焉
リーダーシップの欠如
アフリカ――日本にとっての課題
インド・パシフィック
「福田ドクトリン」40周年
「自由で開かれたインド太平洋戦略」の射程
TICAD7
「開発協力が生み出す国力と国益」
日本の平和貢献
ミンダナオ和平
「ソフトパワーと芸術」
アジア外交の季節
三つの不安定要因
サミット外交と三圏域
首脳外交の効用
激動する世界と民主平和論
トランプとマディソン的民主主義
ジャパン・ファーストの懸念
自由主義的秩序の先導役として
北朝鮮の核兵器開発問題
米国ファーストの一年
完全な非核化とは
持続可能な開発目標(SDGs)
気候変動の深刻な被害
SDGsと日本の課題
米中通商交渉
貿易戦争から「新しい冷戦」へ
米中「新冷戦」の構図
長期経済変動の底流
大戦後の歴史的位相と米中新冷戦 -
天照大神の孫が高天原から降臨し、その孫である神武天皇がヤマトに東征、橿原宮で天皇の位に就く――『古事記』『日本書紀』に記されたこれらの神話が歴史的事実ではないことは、戦前の普通の々にとっても当たり前のことであった。史実ではないが、史実として扱い、そう振る舞っていたのである(こうした「建前と本音」的なものは、現代の私たちにも心当たりがある)。
神話の「史実」化には、天皇による統治を正当化するという明治政府の政治的目的があったのはもちろんだが、一方で民主化(神々の話合いは「万機公論」の根拠とされた)や経済振興の手段でもあったことは、今ではあまり知られていない。もっとも、「神話」を「史実」として受け止めることには、さまざまに無理も生じる。とくに教育現場における混乱は、いくつもの「笑えない」笑い話を残した。
本書は、幕末水戸学の尊王攘夷思想という建国神話重視の発端から、昭和天皇が「人間宣言」によって事実上、建国神話を否定するまで(そもそも、昭和天皇は科学者でもあった)、日本社会に起きた悲喜劇をエピソードたっぷりで描き出し、近代とは何か、歴史とは何か、国家とは何かを問い直す。
目次より
序 章 虚偽と史実の境界
第一章 神話が事実となるまで
一 日本の建国神話とは
二 なぜ「事実」になったのか?
三 教科書で「事実」とされたのはなぜか?
第二章 「事実」化の波紋
一 学校の外ではどうだったのか?
二 学校の中ではどうだったのか?
第三章 建国祭と万国博覧会
一 政治にどう利用されたか?
二 経済にどう利用されたか?
第四章 満州事変の影響は?
一 教室外でも始まる建国神話の「事実化」
二 建国神話教育への影響は?
第五章 日中戦争期の社会と建国神話
一 紀元二千六百年をめぐって
二 社会はどう受け止めたか?
第六章 太平洋戦争期とその後
一 国史教育のその後
二 効き目はあったか?
三 その後
終章 「建国神話の社会史」の旅を終えて -
二つの世界大戦は社会のすべてを動員する総力戦であり、そこで重要だったのが経済だった。本書では総力戦下の経済学者たちの言説がどんな役割を果たしたか、戦後にどう影響したかを追う。英米独日の経済抗戦力を経済学者はどのように判断したのか。経済学はイデオロギー対立のなかにどのように巻き込まれたのか。マルクス経済学、さらには西洋思想への対抗手段とされた日本経済学とは。第32回石橋湛山賞受賞作に最新の研究成果を加筆。
目次
まえがき
第一章 河上肇――戦時下の経済思想の「先駆け」
第二章 陸海軍と経済学者
第三章 経済新体制をめぐって
第四章 思想戦のなかの経済学
第五章 「近代経済学」とは何だったのか
あとがき
新版のあとがき
人名索引
・キャンペーンの内容や期間は予告なく変更する場合があります。
・コインUP表示がある場合、ご購入時に付与されるキャンペーン分のコインは期間限定コインです。詳しくはこちら
・決済時に商品の合計税抜金額に対して課税するため、作品詳細ページの表示価格と差が生じる場合がございます。