『海外文学、研究社』の電子書籍一覧
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★南部知識人にスポットを当てた、反攻のアメリカ文学史
敗者の末裔であるアメリカ南部農本主義の知識人たちが、いかにして二十世紀の知の覇権を握るに至ったか。それが戦後日本の知的体制をいかに呪縛したのか。
『赤毛のアン』を読んで英文学を志した「戦後の娘」である著者が、モダニズム・冷戦・リベラリズムをキーワードにその深層/真相に鋭く迫る、スリリングな論考。
<目次>
序章 農本主義者の立場
Ⅰ 創られた伝統としての「現在の中の過去」
Ⅱ 『アメリカ文学の再解釈』──アメリカにおけるアメリカ文学研究の制度化
Ⅲ ニュー・ヒューマニズム論争
Ⅳ 南部における衝突地図
Ⅴ ナッシュヴィルの農本主義者の立場
第一章 詩的南部連合──新批評と「南部文学」の誕生
Ⅰ 制度としての南部文学
Ⅱ フュージティヴ詩人と農本主義者の連続性
Ⅲ 南部文学のモダニズム宣言──象牙の塔の政治学
Ⅳ 「南部」の新批評、新批評の南部
第二章 新批評の父たち──南部農本主義者の共同体
Ⅰ 女性化する南部──合衆国最大の問題、それは南部
Ⅱ 正しい伝統の創造
第三章 アメリカの白いヨーロッパ──農本主義者のファシスト疑惑と、リベラル・ナラティヴ
Ⅰ アメリカの白いヨーロッパ
Ⅱ 農本主義者のリベラル・ナラティヴ
第四章 戦後少女の本棚──第二次世界大戦後の文化占領と翻訳文学
第五章 言説としての南部──男らしさの領有
Ⅰ 南部の男──共和国としての男の身体
Ⅱ 「国民」の創生──白い男たちの帝国
終章
あとがき
初出一覧
参照文献 -
★文学的想像力が描くアメリカ
「カルトグラフィ」とは地図作りのことであり、本書はアメリカ文学が生まれてきた現場を「地図的発想」で捉え直す試みである。
自己探求的なアメリカ文学の理念が重視してきた物語・国民意識・国家観と、それらを支えるロジックとは何か。
家庭、都市、漂流、歓待、南部、私秘性、国際移動、異界、親族、伝染病、動物化、商品といったキーワードを使って描き出される、観念の地図。
【第18回アメリカ学会清水博賞 受賞】
<目次>
序──アメリカニストの作図法
第一部 情緒的空間としてのアメリカ
第一章 領域化する家、内密の空間──生活世界の構図
第二章 雑踏の復権──生命圏としての路上
第三章 逃走という名の空間創成──情動変化の生態系
第二部 マッピングされるアメリカ
第四章 永遠の異郷──流浪する者たちのアメリカ
第五章 他者性の迷宮──南部という謎
第六章 親密圏をマッピングすること──私と公の攻防
第三部 アメリカの異次元空間
第七章 混成国家の鏡像──客土における黒人文学
第八章 回帰する場所──憑在者たちの複数空間
第九章 性的禁忌の版図──親族関係の想像力
第四部 アメリカ的自我と近代の時空間
第十章 疫病と近代社会──感染地図としての人間の絆
第十一章 動物の生息図──覆される人間主義
第十二章 物欲のカルトグラフィ──フェティッシュと自我の変遷
コーダ 流動するアメリカ空間
あとがき
引用文献目録 -
★奇跡、幻影、魔法、予知夢――あらゆる超自然が信じられていた、暗黒の時代の物語
『オトラント城』はゴシック文学の先駆けであり、今日のホラー小説の原点。
格調は損なわずに斬新な新訳で刊行。
『崇高と美の起源』はゴシック美学をはじめて理論化した古典的エッセイ。
奇跡、幻影、魔法、予知夢―あらゆる超自然が信じられていた、暗黒の時代の物語。 -
★柴田元幸がいちばん訳したかったあの名作、ついに翻訳刊行。
★オリジナル・イラスト174点収録。
★訳者 柴田元幸の「作品解題」付き。
「トム・ソーヤーの冒けん」てゆう本をよんでない人はおれのこと知らないわけだけど、それはべつにかまわない。あれはマーク・トウェインさんてゆう人がつくった本で、まあだいたいはホントのことが書いてある。ところどころこちょうしたとこもあるけど、だいたいはホントのことが書いてある。べつにそれくらいなんでもない。だれだってどこかで、一どや二どはウソつくものだから。まあポリーおばさんとか未ぼう人とか、それとメアリなんかはべつかもしれないけど。ポリーおばさん、つまりトムのポリーおばさん、あとメアリやダグラス未ぼう人のことも、みんなその本に書いてある。で、その本は、だいたいはホントのことが書いてあるんだ、さっき言ったとおり、ところどころこちょうもあるんだけど。
それで、その本はどんなふうにおわるかってゆうと、こうだ。トムとおれとで、盗ぞくたちが洞くつにかくしたカネを見つけて、おれたちはカネもちになった。それぞれ六千ドルずつ、ぜんぶ金(きん)かで。つみあげたらすごいながめだった。で、サッチャー判じがそいつをあずかって、利しがつくようにしてくれて、おれもトムも、一年じゅう毎日(まいんち)一ドルずつもらえることになった。そんな大金、どうしたらいいかわかんないよな。それで、ダグラス未ぼう人が、おれをむすことしてひきとって、きちんとしつけてやるとか言いだした。だけど、いつもいつも家のなかにいるってのは、しんどいのなんのって、なにしろ未ぼう人ときたら、なにをやるにも、すごくきちんとして上ひんなんだ。それでおれはもうガマンできなくなって、逃げだした。またまえのボロ着を着てサトウだるにもどって、のんびり気ままにくつろいでた。ところが、トム・ソーヤーがおれをさがしにきて、盗ぞく団をはじめるんだ、未ぼう人のところへかえってちゃんとくらしたらおまえも入れてやるぞって言われた。で、おれはかえったわけで。
——マーク・トウェイン著/柴田元幸訳『ハックルベリー・フィンの冒けん』より
■タイトルの表記について(本文「解説」より)
ハックはまったくの無学ではないし、学校に行けばそれなりに学びとるところもあるようだから(まあ六七(ろくしち)=三十五と思っているみたいですが)、もし漢字文化圏の学校に通ったとしたら、字もある程度書けるようになって、たとえば「冒険」の「険」は無理でも、「冒」は(横棒が一本足りないくらいのことはありそうだが)書けそうな気がするのである。 -
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文字通り万華鏡の如く変化する「鏡」の種々相を軸として、エリザベス女王の鏡ばりの浴室を序幕にイギリス・ルネッサンス文学の特質を活写する。
待望の電子復刻版。 -
「あの人はついに本性を現したのです」――英国小説はユウワクで幕を開ける。情欲に満ちた若主人に誘惑されて監禁されてしまった美しく無垢なメイド、パミラ。孤立無援のなかで貞操を守るための必死の駆け引きが始まる……。英国の古典として、そして世界の小説史のなかでも不動の位置を占める書簡体小説の新訳。
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