『文化、中央公論新社、その他(レーベルなし)(実用、文芸・小説)』の電子書籍一覧
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英雄は勇ましく猛々しい・・ってホンマ? 本書は、日本の歴史、文化史をつらぬく「女になった英雄像」へ迫るものである。大日本帝国海軍にまで、女装の文化は伝えられていたという。著者のまなざしは現代の性別越境者にも向けられる。なぜ英雄は「美女」でないと困るのか? 文献史料や風俗画、古写真を博捜した著者が、日本人の隠れた精神性を描き出す。私たちのあこがれの正体をつきとめたいと本書に熱い気持ちを込める井上氏。優雅な文章に図版を収め、見て楽しい読んで学べる一冊にする。
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〈八女の玉露はなぜ高級? なぜうま味が濃い? 〉
日本茶のなかでも高品質な玉露の産地として知られる福岡県八女。
室町時代、明より茶の種が持ち帰られ、栽培方法が伝えられてから、2023年で600年の節目を迎えた。
全国的にみると小さな産地である八女は、いかに高級茶葉の産地となったのか。
独特な気象条件のもと機械化をせず、手摘みにこだわるなど徹底した手法を貫き、品評会で全国に名を轟かせる「八女伝統本玉露」の圧倒的なうま味、甘み、冴え。一杯の茶が忘れられない体験になるとも言われる。
今、八女茶は世界的シェフやソムリエとコラボレーションにより、世界へ羽ばたこうとしている。
日本一の玉露を作る茶の匠を追いかけ、八女茶の魅力に迫る一冊。八女茶の六百史掲載。 -
目 次
序文――編者による解説
歴史と方法
第1章 フランス社会学
第2章 マリノフスキ追悼
第3章 エドワード・ウェスターマークの業績
第4章 ナンビクワラの名称について
個人と社会
第5章 五つの書評
第6章 幸せのテクニック
互酬性とヒエラルキー
第7章 南米インディオにおける戦争と交易
第8章 未開部族における首長権力の社会的および心理学的側面――マト・グロッソ州北西部のナンビクワラ
第9章 互酬性とヒエラルキー
第10章 未開社会の外交政策
芸 術
第11章 インディオの化粧
第12章 アメリカ自然史博物館の北西沿岸部の芸術
南米の民族誌
第13章 ブラジル・インディオ諸部族における親族語彙の社会的用法
第14章 南アメリカにおける双分組織について
第15章 トゥピ・カワイブ族
第16章 ナンビクワラ族
第17章 グアポレ川右岸のインディオ諸部族
地図
注 -
聖ヨハネ騎士団(通称・マルタ騎士団)は、創設から約千年を経た今なお国際社会から独立国としてパスポートの発行を許され、1万人を超える騎士を擁する現存世界最古の騎士団である。テンプル騎士団、ドイツ騎士団と並ぶ中世ヨーロッパの三大騎士修道会の一つが、なぜ21世紀の現代まで存続し、国連に席を与えられ、100カ国以上と国交を結んでいるのだろうか? 謎に包まれた知られざる騎士の国、その栄光と流転の歴史を、日本国籍として約1世紀ぶりに騎士に叙任された筆者が紐解く。
緒言 救貧と信仰の守護者
歴史序章 十字軍(ヨーロッパ、1095-1099)
叙説Ⅰ 騎士と騎士道、そして騎士団
歴史第一章 誕生(聖都エルサレム、1099-1149)
歴史第二章 防衛(シリア・パレスチナ地方、1150-1291)
歴史第三章 海へ(キプロス島、1291-1307)
歴史第四章 覇者(ロードス島、1307-1452)
歴史第五章 勝利(ロードス島、1453-1520)
叙説Ⅱ マルタ騎士の戒律、そして一生
歴史第六章 死闘(ロードス島、1520-1522)
歴史第七章 家(マルタ島、1523-1564)
歴史第八章 大包囲(マルタ島、1564-1565)
歴史第九章 守護者(マルタ島、1565-1675)
叙説Ⅲ マルタ騎士団総長列伝
歴史第十章 衰退(マルタ島 1675-1798)
歴史第十一章 漂流(ヨーロッパ、1798-1834)
歴史第十二章 再起(ローマ、1834-2012)
歴史終章 現代(全世界、2013-)
叙説Ⅳ 「領土なき国家」としてのマルタ騎士団
後記 騎士から見たマルタ騎士団 -
多くの人は、オークションに出品された有名な絵画の落札額に驚愕したり、困惑したりしたことが少なからずあるはずだ。なぜ人びとは困惑するのか? その根源には、値段が付けられる「プロセス」の不透明さがある。
本書では、アート市場という特殊な交換の場におけるゲームのルール、「意味の交換システム」の存在を明らかにする。そして、経済学的理論モデル、インタビュー、データ分析、さらに参与観察などの社会学的方法を用いて、その特徴を分析していく。
経済学では、商品の値段は単なる値だが、それは芸術家とその作品に「象徴的意味(信頼・名声など)」をもたらすだけでなく、アート市場の根幹をなすものでもあるのだ。
◆目次
まえがき
序章 イントロダクション――アートの価格は単なる数字ではない――
1章 アート市場の構造――芸術はいかに商品化されるのか――
2章 意味の交換――支援と感謝の気持ちを交換する――
3章 後援者VS便乗者――ギャラリーとオークションはなぜ相容れないのか――
4章 価格の決定要因――統計分析からみるアートの諸要素と価格の関係性――
5章 値付けの技術――ディーラーは実際にどのように価格をつけるのか――
6章 価格の物語――価格はどのように正当化されるのか――
7章 価格の象徴的意味――価格に込められた意味を読み解く――
8章 結 論――価格が私たちに語りかけること――
付録A/インタビュー質問票 付録B/インタビューサンプルの解説
付録C/美術品価格の記録 付録D/美術品価格のマルチレベル分析
参考文献 索引 -
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「自然にはキケンがいっぱい! でも、みんな精いっぱい生きてるんです」――世界には、生きものがたくさん存在します。パンチやキックなど物理的な攻撃力で戦うものから、臭いや毒で刺激を武器に生きるもの、感染することで生き残ってきたものなど、その生態は多種多様。本書では、様々な技を駆使して生きる動物や植物を、ポップでなイラストとわかりやすい文章で、楽しみながら教えます。特に夏のレジャーで山岳や川辺、海辺などを訪れる際、安全に楽しむための豆知識も充実。いざという時の対処法も収録しました。 監修は動物園の園長を務めた経験もある小宮輝之先生。子どもにもわかりやすく丁寧な解説で、親子で安心して楽しめます。全ての文字はルビ付きで、子どもだけでも読むことができます。 【教養が身につく中央公論新社の児童書シリーズ】 -
もう「少女」を名乗れない私たちの、人生の答えはマンガにある! 不朽の名作から今が旬のマンガまで、幅広い作品中での女性たちの描かれ方を縦横無尽に語り、現代女性の欲望と生き方を探る。「おもしろい女」「たくましい女」「ハマる女」「嫌な女」……あなたに似た女が、マンガの中にはきっといる。
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テーマパークやカジノ、大麻など、日本に住んでいると不思議に思うユニークな授業が、世界にはたくさんある。本書は、サイエンスライターとして世界各国の科学関連のニュースに触れる著者による、「所変われば学びも変わる」異文化事情を伝える1冊。
「所変われば品変わる」は研究の世界でも言えることで、世界は風変わりな学びにあふれている。当事者にとっては生活の当たり前の一部なのに、地域性があまりに強いが故に、外からしてみたらちょっとヘンなものがたくさんある。本書では、世界の各地域で、その地域だからこそ行われている学びの場について紹介する。
学びの中でも、地域ならではの娯楽や生活の中の楽しみに関わるものがある一方で、地域特有の課題を対処し、生き抜いていくために重要なものもある。さらに、その知識を受け継いでいくために、独特な授業で教えることもある。そんな一面にももれなく着目していきたい。
世界は狭いようで広い――本書で登場するのは、世界のヘンなお勉強のほんの一握りのはず。軽くかじるくらいのゆるい気持ちで、お楽しみください。 -
奴隷制時代から南北戦争、公民権運動をへて真の解放をめざす現代まで。アメリカ黒人の歴史とは、壮絶な差別との闘いであり、その反骨の精神はとりわけ音楽の形で表現されてきた。しかし黒人音楽といえば、そのリズムやグルーヴが注目された反面、忘れ去られたのは知性・暗号・超絶技巧という真髄である。今こそ「静かなやり方で」(M・デイヴィス)、新しい歴史を紡ごう。本書は黒人霊歌からブルース、ジャズ、ファンク、ホラーコア、ヒップホップまで、黒人音楽の精神史をひもとき、驚異と奇想の世界へと読者をいざなう。古今東西の文献を博捜した筆者がおくる、新たな黒人音楽史。
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女性学の第一人者であり、「おひとりさま」を貫く生き方のロールモデルとしても知られる社会学者・上野千鶴子。本書は、上野氏が過去10年間で「おひとりさまの生き方」について語り合った女性10人との対談を1冊にまとめたもの。
登場するのは、澤地久枝さん、橋田壽賀子さん、下重暁子さん、桐島洋子さん、村崎芙蓉子さん、若竹千佐子さん、稲垣えみ子さん、香山リカさん、柴田久美子さん、荻原博子さん(掲載順)の10名。いずれも名だたるロールモデルの方々ばかりです。
各記事の後に、現在の上野さんが当時を振り返って心境を綴った「うえのの目」を収録。終章では上野氏が人生100年時代を迎えた今の時代に叶える「在宅ひとり死」を徹底研究。
『在宅ひとり死のススメ』や『おひとりさま』シリーズの愛読者の方はもちろん、これから人生後半を迎える女性たちに勇気を与えてくれる1冊です。 -
ビジネスの極意から、人の生き方まで、歴史から学べることについて縦横無尽に語り合う対談集。〈対談者〉平岩外四、南場智子、丹羽宇一郎、江夏豊、平勢隆郎、井波律子、縄田一男、吉川晃司、原田維夫、津崎史、秋山駿。
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人づきあいが苦手な「コミュ障」(コミュニケーション障害)。この呼び名で、あなたは自虐的に振る舞っていますか? それとも知人をからかっていますか? 悩みを抱える読者は自分自身のメンタルを掘り下げる心理学に関心があるかもしれません。しかし、本書は「社会学」という道具を使って、自分の視野を広げて「壁」を取り払うためのポイントを紹介します。私たちは、なんらかの情報や知識、あるいは年齢や職種といった属性から、異なる「メガネ」をかけています。このメガネの存在に気づかせてくれるのが社会学の諸理論というわけです。また、著者自身が他者と分かち合えなかった具体的なエピソードを絡めながら、少しずつ自分の見方を広げていく知の旅を提供します。著者は「岩本先生の授業が一番人気の理由がわかった」と内田樹氏からもお墨付きをもらった人気講師。面白くてためになる白熱教室へようこそ!
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岩倉具視の娘極子は、幕末維新期の動乱の中で育ち、旧大垣藩主戸田氏共と結婚。ダンスと英会話が得意な彼女は、鹿鳴館の名花とうたわれた。
夫がオーストリア・ハンガリー特別全権公使に任命され、ともにウィーンへ。戸田家の音楽教師ボクレットは極子の演奏する日本の楽曲を採譜し、出版。ブラームスはその楽譜を手に極子実演を聞き、楽譜に書き込みを行った。
極子は日本と西洋音楽の交流の一端を担った。また、彼女の縁戚に連なるヘーデンボルク兄弟が現在ウィーン・フィルに在籍するなど、興味深いエピソードも紹介。
目次
プロローグ 《ウィーンに六段の調》
第一章 岩倉具視の娘
第二章 極子の結婚まで
第三章 氏共留守中の日本
第四章 鹿鳴館
第五章 戸田伯爵夫人極子
第六章 間奏曲
第七章 戸田伯爵夫妻ウィーンへ
第八章 ウィーンに響く箏の音
第九章 極子の後半生
エピローグ 極子の音楽遺産
あとがき
戸田極子関係系図
戸田極子関連年譜
主要参考文献
人名索引 -
本書の主軸をなすのは、西洋のラテン・アルファベットを基にして作られた「近代」の象徴としてのタイプライターと、中国語との間にある距離感である。その隔たりゆえに中国語そのものに「問題」があるとみなされ、それを克服するための「パズル」が形作られることになる。常に西洋の「本物」のタイプライターを意識しつつ、この「パズル」を解こうとしていく人々の群像を描いていくなかで、漢字についての発想の転換や戦時中の日中関係、入力や予測変換といった現在につながる技術の起源に至るまで、さまざまな話題が展開されている。タイプライターというモノを起点としつつ、それの単なる発明史をはるかに超える射程を持った本であり、関心や専門を問わず広く読まれるべき一冊である。
目次
謝辞
序論そこにアルファベットはない
第1章近代との不適合
第2章中国語のパズル化
第3章ラディカル・マシン
第4章キーのないタイプライターをどう呼ぶか?
第5章漢字圏の支配
第6章QWERTYは死せり!QWERTY万歳!
第7章タイピングの反乱
結論中国語コンピューターの歴史と入力の時代へ
訳者解説
注
索引 -
「女性の生き方に正解はない」
在日23年の日独ハーフである著者が、いまだに驚く女性の生き方のあれこれを書いたコラム集。
ヨーロッパと日本の両方で生活をしていく中で、その地の女性がどんな生き方をしているのか、どんな悩みを抱えているのか、など「その国特有の女性の立ち位置」のようなものも含めて「現場」を見てきた著者が、何気ない話をしている中で、それまで意識してこなかった日本と海外の違いを綴りました。
ヨーロッパでは、「美白よりこんがり肌がモテる」「生理の時はナプキンよりタンポン」「ワキ毛は剃らないのにアンダーヘアはゼロ」など日本女性からするとびっくりなことも。
外国人女性が前髪をつくらない理由や、なぜヨーロッパには「すっぴん」という言葉がないのか、という軽めの話から、アンダーヘアの話、なぜヨーロッパではTバックを履く女性が多いのかという下着事情まで、直接人には聞きにくい話まで、たくさん盛り込んでいます。いくら友達が多くて、女性同士で仲良くしていても聞きづらい夫婦間でのお金の話やセックスの話も。
「旦那デスノート」などニッポンの闇と思える部分、「なぜ欧米人の男性は恋人の女子会に参加したがるのか」などヨーロッパの「微妙な部分」についても切り込んでいます。
ハーフとして50年生きてきた一人の女性として、あれこれとアドバイスを受けてきた著者がたどり着いた結論は、「女性の生き方に正解はない」ということ。本書で書かれている多様な女性の生き方から、「これは自分に合うな」という好きな部分だけを取り入れ、自分なりの優先順位を決めるヒントを探すきっかけにしてみてはいかがでしょうか。
【WEBサイト「OTEKOMACHI」人気連載「サンドラが見る女の生き方」書籍化】 -
明治初期に日本を訪れた仏海軍士官ロチ。開業間もない鉄道と人力車で神戸・京都・奈良・東京・日光などを巡る。日本人と日本の風物に鋭い観察眼を向け、鮮烈な筆致で驚きを綴る。
目 次
第一章 京都 聖なる都
第二章 江戸の舞踏会
第三章 二人の老人がつくる驚きの料理
第四章 皇后の装束
第五章 三つの田舎の言い伝え
第六章 日光の聖なる山
第七章 サムライたちの墓にて
第八章 江戸
第九章 「春」皇后 -
いま世界中を覆っている三つの大変革、グローバル化、デジタル化(AI化)、ソーシャル化。日本はこの大変革のうねりに翻弄され、他国に差をつけられつつある。改革を先導し行動する経営者の集団として経済同友会は、「Japan2.0 最適化社会の設計―モノからコト、そしてココロへ―」という提言を行った。日本が「茹でガエル」状態を脱し、再び輝きを取り戻すためには何が必要か――。本書は、提言のエッセンスを凝縮した、経営者たちによる自己変革の誓いである。
目次
第一章 過去の延長線上に未来はない
第二章 「心」「技」「体」の揃った国家を目指して
第三章 豊かな経済を実現するために=X軸
第四章 イノベーションこそが未来を拓く=Y軸
第五章 社会の持続性を維持し、高めていくために=Z軸
対談 小林喜光×櫻田謙悟「提言だけでは終わらない 我々経営者は率先して行動する」 -
「普遍」を標榜する神と金と革命思想は理想を追求する過程で共闘と排斥を繰り返した。壮大な歴史から3すくみのメカニズムを解明する
第一章 キリスト教の神と金
一 自然法思想と神
二 神から金へ
コラム この世の富の意味
第二章 神と革命
一 ロシア革命とキリスト教
二 ラテン・アメリカでの共闘
三 ヨーロッパの場合
四 神の生き延び方
コラム 革命から神へそして金へ
第三章 三位一体
一 シャルル・ペギー
二 エリック・サティ
三 岡本公三の場合
四 ガイヨー司教
第四章 近代日本の革命とキリスト教
一 近代日本とキリスト教
二 近代日本と社会主義
三 明治日本と信教の自由
コラム 日本的無宗教の裏事情
第五章 東アジアの神と革命
一 孔教論争
二 朝鮮半島と孔教
終章 仮置きの神 -
1862年、文久遣欧使節団の通訳としてパリに渡った福澤諭吉は当時、27歳の若者。パリで撮影した肖像写真は、無名の下級武士だったにもかかわらず、フランスの人類学者デッカーから、「日本人の典型的なエリートの顔」と賞賛される。
後年、「日本のヴォルテール」と称された、若き日の福澤諭吉は滞在中、パリを縦横に駆けめぐった。帰国後、『西洋事情』を執筆し、20万部を超える大ベストセラーとなる。
本書は福澤諭吉のパリでの行動をつぶさに追うとともに、福澤の肖像写真を撮影した謎の写真家・ポトーの足跡をたどる。
フランスを最もよく知るジャーナリストとして名高い、パリ在住25年の山口昌子が10年にわたって取材を重ねた力作である。福澤が立ち寄った書店、ホテル、博物館を訪ねるとともに、日本ではほとんど無名の写真家、ポトーの生涯を追っている。写真はすべて著者の撮影。初めて明らかになった福澤諭吉のエピソードも満載である。 -
文壇の紳士録に必ず載るような存在でありながら、今日ほとんどかえりみられることがなくなった作家、久米正雄。なぜそうなったのか。その人生と作品分析をとおし、明治大正昭和の、日本における純文学と大衆文学、私小説と通俗小説の成立と相克を描く。
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嘘いつわりが嫌いで、文士仲間から重症の正直病患者といわれ、世渡りが下手だった里見とん。明治・大正・昭和の文学界を悠然と歩み去った大作家初の本格的評伝。作品総覧、人物索引付。
よく、漱石や志賀直哉について、作品以前に人格を褒め称える人がいる。しかし私は、とんこそ、人格において褒め称えられる人だと思うに至った。何人もの女を愛したなどということは、とんの人格にとっての枝葉末節である。馬鹿正直というのが、とんの最も尊い人格である。とんの素行、書いたもの、いずれをとっても、徒党を組んだり、仲間のために嘘をついて作を褒めたり、卑怯な論陣を張ったりしたことはない。(本書「トンよ、トン――あとがき」より)
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