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『思想、講談社、801円~1000円(実用、新書)』の電子書籍一覧

1 ~60件目/全115件

  • 21世紀の現代の善と悪の原点こそ、フォン・ノイマンである。彼の破天荒な生涯と哲学を知れば、今の便利な生活やAIの源流がよくわかる!

    「科学的に可能だとわかっていることは、やり遂げなければならない。それがどんなに恐ろしいことにしてもだ」

    彼は、理想に邁進するためには、いかなる犠牲もやむを得ないと「人間性」を切り捨てた。

    <本書の主な内容>

    第1章 数学の天才
    ――ママ、何を計算しているの?
    第2章 ヒルベルト学派の旗手
    ――君も僕もワインが好きだ。さて、結婚しようか!
    第3章 プリンストン高等研究所
    ――朝食前にバスローブを着たまま、五ページの論文で証明したのです!
    第4章 私生活
    ――そのうち将軍になるかもしれない!
    第5章 第二次大戦と原子爆弾
    ――我々が今生きている世界に責任を持つ必要はない!
    第6章 コンピュータの父
    ――ようやく私の次に計算の早い機械ができた!
    第7章 フォン・ノイマン委員会
    ――彼は、人間よりも進化した生物ではないか?

    ********

    ノイマンがいかに世界を認識し、どのような価値を重視し、いかなる道徳基準にしたがって行動していたのかについては、必ずしも明らかにされているわけではない。さまざまな専門分野の枠組みの内部において断片的に議論されることはあっても、総合的な「フォン・ノイマンの哲学」については、先行研究もほとんど皆無に等しい状況である。

     そこで、ノイマンの生涯と思想を改めて振り返り、「フォン・ノイマンの哲学」に迫るのが、本書の目的である。それも、単に「生涯」を紹介するだけではなく、彼の追究した「学問」と、彼と関係の深かった「人物」に触れながら、時代背景も浮かび上がるように工夫して書き進めていくつもりである。
    ――「はじめに」より

    ********

     ノイマンの思想の根底にあるのは、科学で可能なことは徹底的に突き詰めるべきだという「科学優先主義」、目的のためならどんな非人道的兵器でも許されるという「非人道主義」、そして、この世界には普遍的な責任や道徳など存在しないという一種の「虚無主義」である。

     ノイマンは、表面的には柔和で人当たりのよい天才科学者でありながら、内面の彼を貫いているのは「人間のフリをした悪魔」そのものの哲学といえる。とはいえ、そのノイマンが、その夜に限っては、ひどく狼狽(うろた)えていたというのである。クララは、彼に睡眠薬とアルコールを勧めた。          
    ――第5章「第二次大戦と原子爆弾」より

    ********

    人類史上 最恐の頭脳!
  • 人生を変える哲学が、ここにある――。
    現代思想の真髄をかつてない仕方で書き尽くした、「入門書」の決定版。

     * * *

    デリダ、ドゥルーズ、フーコー、ラカン、メイヤスー……
    複雑な世界の現実を高解像度で捉え、人生をハックする、「現代思想」のパースペクティブ

    □物事を二項対立で捉えない
    □人生のリアリティはグレーゾーンに宿る
    □秩序の強化を警戒し、逸脱する人間の多様性を泳がせておく
    □権力は「下」からやってくる
    □搾取されている自分の力を、より自律的に用いる方法を考える
    □自分の成り立ちを偶然性に開き、状況を必然的なものと捉えない
    □人間は過剰なエネルギーの解放と有限化の二重のドラマを生きている
    □無限の反省から抜け出し、個別の問題に有限に取り組む
    □大きな謎に悩むよりも、人生の世俗的な深さを生きる

    「現代思想は、秩序を強化する動きへの警戒心を持ち、秩序からズレるもの、すなわち「差異」に注目する。それが今、人生の多様性を守るために必要だと思うのです。」 ――「はじめに 今なぜ現代思想か」より

     * * *

    [本書の内容]
    はじめに 今なぜ現代思想か
    第一章 デリダーー概念の脱構築
    第二章 ドゥルーズーー存在の脱構築
    第三章 フーコーーー社会の脱構築
    ここまでのまとめ
    第四章 現代思想の源流ーーニーチェ、フロイト、マルクス
    第五章 精神分析と現代思想ーーラカン、ルジャンドル
    第六章 現代思想のつくり方
    第七章 ポスト・ポスト構造主義
    付録 現代思想の読み方
    おわりに 秩序と逸脱
  • 稀代の作家・ジャーナリスト・編集者カール・クラウス(1874-1936年)。ただ一人で評論誌『炬火』を編集・執筆し、激動する世界の中で権力や政治の堕落・腐敗に〈ことば〉だけで立ち向かったクラウスは、ベンヤミンやウィトゲンシュタインが敬愛した人物にほかならない。著者が深い思い入れと情熱を注いだ本書は、生い立ちから雑誌での活動、代表作の紹介まで、巨人の全貌を描いた日本語による唯一の書物である。
  • ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。

    カント哲学の厳密な方法と徹底性の精神を忠実に日本語に置き換え、論理的形式性においてとくに優れている点が天野訳の特徴である。第一巻には、訳者の解説と、先験的原理論のうち、先験的感性論、先験的論理学第一篇がふくまれる。※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。
  • ◇◆◇「愛とは何か」を解るために、「暴力とは何か」を考える。◇◆◇
    ◇◆◇さまざまな概念を対にして展開する、縦横無尽な思考の一大パノラマ!◇◆◇

    本質と時間/愛と暴力/ここと私/正義と詩人……
    ある概念と別の概念を対にしてみると、思いもよらない連関が生まれ、ありふれた言葉から豊かな哲学の問題が立ち上がってくる!
    現代哲学の重要論点のみならず、文学、芸術、宗教、科学、政治を自由闊達に横断。一人ですべての項目を書き切った事典にして、どこから読んでも愉しめる上質の哲学エッセイ。

    【本書より】
    哲学事典を引く人が、「存在」とか「記憶」とかの意味をまったく知らない、などということは考えにくい。求められているのは日常では一見自明な言葉に哲学者が見出す亀裂であり、それを通して見えてくる思いがけない意味連関ではなかろうか? 概念間の連関が重要なのだ。ゆえに、哲学事典は一貫した視点で、一人が全項目を書くべきなのだ。
    これは、すべてを網羅するという事ではない。多くの知識を蓄える事が問題ではない。問題は、越境的な精神の自由を確保する事なのである。本書では、諸概念の連関を強調するため、事項を単独で説明するのではなく、一対の概念に対して説明をした。読者は、関連する事項説明をたどることによって、梁と梁が大きなドームをなすイスラム建築のように、あるいはたがいに連関して図形を構成する夜の星空のように広がる、概念の天蓋が見渡せよう。

    【本書の内容】
    愛と暴力
    アキレスと亀
    一者の実在性/真理と悲劇
    イロニーとユーモア
    運と偶然
    可能性と反実在論
    共同感覚と感覚質
    言語と意味/ Sinn(意)とBedeutung(指示)/実在論と反実在論
    検証主義とプラグマティズム
    ここと私/意識と想像的なもの/想像的な私と象徴的な私
    自然とユートピア/美と判断力
    自由と問題
    正義と詩人
    全体論と解釈/現象学と志向性/心的な用語(mental term)と命題的態度
    疎外論と物象化論
    存在と存在論/数と算術/性質と類似性/実体と普遍論争
    知識と信念
    超範疇と超越論的
    美のイデアと芸術
    文化相対主義と普遍的正義論
    弁証法と(再)定義/観念論とヘーゲルの弁証法―意図と欲望
    保守主義と左翼
    法と革命
    本質と時間/時間様相―過去現在未来/期待と希望
    メタ言語と主体性
    ヨブの苦しみと罪の名
    歴史と伝統/ヘーゲルの歴史観/反時代的

    索引

    *本書の原本は、2006年に講談社現代新書より刊行されました。(増補あり)
  • 西洋哲学と出会って150年、日本の哲学者たちは何を考え、何を目指してきたのか。日本哲学のオリジナリティに迫る、第一人者による入門書の決定版!

    【哲学を知るための10講】
    第1講「日本の哲学」とは/第2講 哲学の受容第/3講 経験/第4講 言葉/第5講 自己と他者/第6講 身体/第7講 社会・国家・歴史/第8講 自然/第9講 美/第10講 生と死

    【本書のおもな内容】
    ・日本最初の哲学講義はいつ行われた?
    ・「哲学」という呼び名はこうして生まれた
    ・西田幾多郎の「純粋経験」を知る
    ・経験と言葉のあいだにあるもの
    ・言葉の創造性を考える
    ・人間の生のはかなさと死に迫る
    ・心によって生かされた身体とは
    ・田辺元が生み出した「種の理論」
    ・「自然」という言葉の歴史
    ・和辻哲郎の「風土論」
    ・美とは何か、芸術とは何か
    ・移ろうものと移ろわぬもの
    ・光の世界と闇の世界
  • 1,023(税込)
    著:
    森村進
    レーベル: 講談社現代新書
    出版社: 講談社

    何が「正しい」のか、わからなくなった時代に。
    プラトン、カント、ベンサム、ロールズ……2400年にわたる知的格闘。
    人生や社会に関わる切実な問いを、哲学者たちはこう考えた!

    法哲学の第一人者があざやかに整理し、切れ味鋭く論じる、「正義」入門の決定版!


    【本書の構成】

    はじめに――いま、なぜ過去の正義論を見直すのか?
    序章 正義論のさまざまなパターン――本書のねらい
    第一章 正義とは魂の内部の調和である――プラトン
    第二章 正義とは他の人々との関係において現れる徳である――アリストテレス
    第三章 正義とは相互の利益になる契約を実行することである――ホッブズ
    第四章 正義とは自然権の保護・実現である――ロック
    第五章 正義とは慣習によって生じた財産権規則を守ることである――ヒューム
    第六章 正義とは非難が適切であるということと権利の保護である――スミス
    第七章 正義とは「定言命法」に従うことである――カント
    第八章 正義とは功利の原理の一適用にすぎない――功利主義
    第九章 正義とは社会制度の第一の徳である――ロールズ
    あとがき――文献案内をかねて
  • 電車の中や部屋の中、気が付けばいつもスマホをスクロールしている。本当は何が知りたいのか、自分に何が必要なのかわからないままSNSの世界に浸り続け、気が付けば自分自身を見失ってしまった――。
    スマホ時代の過剰な繋がりによって失われた〈私〉を私たちはどうやって取り戻すのか。気鋭の哲学者による現代を生き抜くための思考法!

    【本書の主な内容】
    第1章 デフォルトの〈私〉
    ――――動物になるか、善い人になるか
    ・ミニオンズの憂鬱
    ・パッケージ化された善に警戒せよ
    ・目を閉じて、〈私〉の声を聴く

    第2章 〈私〉を取り戻すための哲学的思考
    ・「新デカルト主義」宣言
    ・判断しなくてよいという判断
    ・批判的思考のプロトタイプ

    第3章 ポスト・トゥルースを終わらせる
    ・SNSを気にする学生
    ・「正しさをめぐる争い」は終わりにする
    ・陰謀論は理性と情動に訴える

    第4章  ネガティブなものを引き受ける
    ・対話とネガティブ・ケイパビリティ
    ・アルゴリズムと自己消費
    ・「弱いロボット」から考える
  • 1,100(税込)
    著:
    金谷治
    レーベル: 講談社学術文庫
    出版社: 講談社

    『老子』は、『論語』とならぶ中国の代表的な古典である。その思想は、人間はその背後に広がる自然世界の万物のなかの一つであるという自然思想の立場をつらぬくことにある。したがって老子は、人間の知識と欲望が作りあげた文化や文明にたいして懐疑をいだき、鋭く批判する。無知無欲であれ、無為であれ、そして自然に帰って本来の自己を発見せよ、という。中国思想研究の第一人者が説く老子の精髄。
  • 切々と愛弟子に訴える最後の訓戒
    炎の教師、松蔭の遺書
    読みやすい大文字版

    身はたとひ武蔵の野辺に朽ちぬとも 留置まし大和魂
    志高く維新を先駆した炎の思想家吉田松陰が安政の大獄に連座し、牢獄で執筆した『留魂録』。
    愛弟子へ切々と訴えかける最後の訓戒で、死に直面した人間が悟り得た死生観を書き記した格調高い遺書文学の傑作を味読・精読する。
  • 【もっとも易しいヴィトゲンシュタイン入門!】

    なんで犬をイヌって呼ぶの?
    地球人の数学と宇宙人の数学は似てる?
    私とあなたの「痛い!」は同じ?

    私たちを支配する「社会のふるまい」のルール=「言語ゲーム」。
    そのヴィトゲンシュタイン哲学の核心を、36の練習問題を解きながら平易な言葉で解説!


    「約束しよう。
    この本は、ヴィトゲンシュタインに比べればまるでオモチャだ。小学校の算数だ。でもその問題が解けるかどうかで、自分の生き方も、ものの見方も、まるで違ってしまうという覚悟で考えよう。さもないと、ものを考えたことにはならない。
    子どもは、真剣に遊ぶ。真剣に遊ばなければ、遊んだことにはならない。
    おとなは、真剣に考えよう。考えることに、お金はかからない。その気になれば、誰でもできる。そして、真剣に考える大人が増えれば、この世の中はその分だけ、ちょっとましになると思う。」ーー第3章より


    【本書の内容】
    ・失われた文明の解読は、暗号の解読と同じ?
    ・言語を正しく使って、初めて人間は人間になる
    ・『論理哲学論考』と『哲学探究』の相違点
    ・言葉の意味は、言葉では説明できない
    ・私を私たらしめる「固有名」と「確定記述」
    ・人間は言語ゲームを抜けることができるか?
    ・クリプキの懐疑論と「くゎ算」という思考実験
    ・規範(価値)は同時に「事実」である   ……ほか


    【本書の構成】
    1、隕石衝突問題
    2、世界の終わり
    3、宇宙人を見分ける
    4、言葉と意味
    5、言葉と実物世界
    6、固有名
    7、ゲームとルール
    8、数列とルール
    9、偶然と自由と可能世界
    10、感覚と内面
    11、文の仕組み
    12、嘘
    13、ルール懐疑主義
    14、確実性について
    15、言語ゲームの応用問題
  • 『論語』は、どうして時代を超えて読み継がれてきたのでしょうか。それは『論語』が封建的、教条的な道徳の教科書などではなく、人間をありのままに見とおし、人間にとっての幸福とは何かという視点にもとづいて道徳を論じることで、読む者の人生の指針となってきたことにあります。そしてその叡智は継承され、また未来へと伝えられてゆくべきものといえるでしょう。
    中国哲学史研究の泰斗として知られる著者が、『論語』の精髄を紹介する一冊が本書です。『論語』から125の章段を選んで11の柱で体系化し、各章の冒頭に付した解説によってポイントを押さえ、学術文庫版『論語 全訳注』に準拠する各章段では「原文」「現代語訳」、解釈を助ける「参考」と読み進めることで理解を深めるような構成になっています。そして最終章では孔子の略伝と時代背景に言及し、『論語』を綜合的に把握できるように配慮されています。これは、『論語』に興味をもつ独習者にとっての格好な水先案内であると同時に、『論語』の魅力を誰か(とくに年少者)に伝えようとする際の理想的な手引きとなることを意図したものです。
    儒教の本質は「生命の連続」と説く著者の思索が全面的に反映した本書は、現代を生きる多くの日本人にとって実践的な示唆に富んだ「『論語』入門」となるでしょう。

    〔原本:『すらすら読める論語』(2005年、小社刊)をもとに増補再編集〕

    ●主な内容
    第一章 『論語』の名句
    第二章 『論語』を読む楽しさ
    第三章 自分の幸せだけでいいのか
    第四章 他者の幸福を求めて
    第五章 「学ぶ」とは何か
    第六章 教養人と知識人
    第七章 人間を磨く
    第八章 若者との対話
    第九章 人生用心ノート
    第十章 孔子像
    第十一章 愛と死と孝と
    第十二章 孔子の生涯とその時代と
  • 漢詩は、平安時代から現代まで、多くの日本人の心をとらえてきた。その歴史・地理的な背景や、日本の漢詩受容を押さえて、丁寧に作品を読み解き、漢詩の豊かな抒情の世界に遊ぶ。奔放自在な「詩仙」李白、謹厳実直な「詩聖」杜甫、閑寂の自然詩人・王維など、珠玉の名作を読む醍醐味を味わいつつ、自由闊達に読むことをも可能にする最良の入門書。

    [本書の内容]
    序章 漢詩をどう読むか
    I 李白と酒
    II 月の光
    III 登楼・重陽
    IV 杜甫の律詩
    V 蘇州詩話
    VI 閑寂・江南の春
    VII 旅愁・シルクロード
    VIII 唐詩と日本人
  • 「世界に固定した実体は存在しない。あらゆるものは“空”である」。
    ものへの執着と、輪廻の恐怖から人々を解放した「般若経」。
    1世紀半ばといわれる成立以降、数々の翻訳や加筆により、分散や繰り返しも多く、理解が難しかった大経典に、<空思想>の泰斗が正面から対峙。素朴で力強い思想の魅力を描きつつ、仏教思想史における位置と意味を明らかにする!

    本書の原本は二〇〇二年八月、中公文庫BIBLIOより刊行されました。

    目次
    まえがき
    序章 説話と思想
    玄沙出家
    『ヴィシュヴァーンタラ・ジャータカ』
    布施太子の入山
    常悲菩薩本生
    サダープラルディタ(常悲)とダルモードガタ(法来)
    哲学の発生

    第一章 大乗仏教への道
    シャーキヤ・ムニと大乗の菩薩
    出家と在家
    ストゥーパ (舎利塔)とヴィハーラ(精舎)
    教団の分裂
    ジャータカ (本生話)とアヴァダーナ(譬喩)

    第二章 般若経の背景」
    ボサツと菩薩
    僧院の仏教
    すべてがあると主張する者――有部の哲学(1)
    区別の哲学――有部の哲学(2)
    三世実有・法体恒有――有部の哲学(3)

    第三章 「般若経」の出現
    『八千頌般若経』の成立
    過去仏・現在仏・未来仏
    アクショービヤ如来
    哲人マイトレーヤ (弥勒)
    「般若経」の発展

    第四章 「般若経」の思想(1)
    仏母の発見
    菩薩大士
    大乗――声聞・独覚の批判
    本来清浄――実在論批判

    第五章 「般若経」の思想(2)
    不二
    般若波羅蜜
    廻向――ふりむけの思想
    巧みな手だて
    菩薩の階位
    縁起と空
    参考文献

    内容紹介

    たとえば私の目の前にある机という個物は机という本体をもっていない。なるほど私がその前にすわってその上で原稿を書けば、それは机である。しかし私がそれに腰かければそれは椅子以外の何であろうか。(中略)そのようにさまざまな認識とさまざまな効用が起こるのは、その机に机の本体がないからである。机は机として空であり、本体は思惟における概念にすぎない。愛情は凡夫にとっては迷いの絆きずなであるけれども、菩薩や仏陀にとっては有情を見捨てない慈悲である。どうしてそこにただ煩悩という本体だけを認めることができようか。―――第五章「般若経」の思想(2) より
  • 20世紀を代表する、最も有名な前衛建築家、ル・コルビュジエ(1887-1965)。
    「全ての建築家にとっての強迫観念(オブセッション)」「近代建築の言語そのもの」……。
    スイスの若き時計工芸家は、なぜこれほどまでの世界的名声を勝ち得たのか。
    師との出会いと決別、数多のコンペティション落選や学界との論争、生涯転身し続けた作風の背景――。
    建築界の巨匠を“人文主義者”という視点で捉え直し、豊富な図版と共に、その全体像をクリアに描き出す!


    「あなたが何か新しいことを考えたと思っても、
    コルブ(=ル・コルビュジエ)はそれをもうやってしまっている」
      ―イギリスの建築家アリソン・スミッソン(「序章」より)

    目 次
    序 章 ル・コルビュジエとは誰か?
    第一章 見出されたもの
    第二章 「開かれた目」と「ものを見ない目」
    第三章 「建築を擁護する」
    第四章 「彎曲の法則」
    第五章 「直角の詩」
    第六章 「開かれた手」
    年譜
    あとがき
    学術文庫版あとがき

    本書の原本は、1983年9月、岩波書店より20世紀思想家文庫として刊行されたました。
  • シリーズ4冊
    880990(税込)
    著:
    金田一秀穂
    レーベル: ――
    出版社: 講談社

    豊かな未来のためには、なにが大切で、どう生きるべきか? 大人の世界へ踏み出していく少年少女たちへ、第一線で活躍する人生の先輩が贈る書き下ろしシリーズ「15歳の寺子屋」

    「お刺身」と聞くと生ツバを飲みこむのに、「死んだ魚」と聞くと……? どうして言葉ひとつで、こんなに感じかたがかわるの?
    日ごろ、何気なく使っている言葉の役割や、その不思議な力を、日本語の達人がわかりやすく解説。日本語力をアップさせる秘訣も伝授!
  • 935(税込)
    著:
    木村敏
    レーベル: 講談社学術文庫
    出版社: 講談社

    臨床の場に身を置きつづけながら、綺羅星のような著作および翻訳を遺した稀代の精神病理学者木村敏(1931-2021年)。その創造性は世界的に見ても人後に落ちない。
    著者の名を世に広く知らしめるとともに、社会精神医学的な雰囲気を濃く帯びていることで、数ある著作のなかでもひときわ異彩を放つ名著に、畏友・渡辺哲夫による渾身の解説を収録。
    「異常」が集団のなかでいかに生み出され、また「異常」とされた人々のうちでなにが生じているのか、社会および個人がはらむ「異常の構造」が克明に描かれる。私たちはなぜ「異常」、とりわけ「精神の異常」に対して深い関心と不安を持たざるを得ないのか。「自然は合理的である」という虚構に支配された近代社会が、多数者からの逸脱をいかに異常として感知し排除するのか。同時に患者のうちで「常識の枠組み」はどのように解体され、またそのことがなぜ「正常人」の常識的日常性を脅かさずにはおかないのか――。
    「あとがき」に刻印された「正常人」でしかありえない精神科医としての著者の葛藤は、社会における「異常」の意味を、そして人間が生きることの意味を今なお私たちに問いかけ続けている。(原本:講談社現代新書、1973年)

    【本書の内容】
    1 現代と異常
    2 異常の意味
    3 常識の意味
    4 常識の病理としての精神分裂病
    5 ブランケンブルクの症例アンネ
    6 妄想における常識の解体
    7 常識的日常世界の「世界公式」
    8 精神分裂病者の論理構造
    9 合理性の根拠
    10 異常の根源
    あとがき
    解 説(渡辺哲夫)
  • 1,045(税込)
    著:
    中島隆博
    レーベル: 講談社学術文庫
    出版社: 講談社

    千葉雅也氏推薦!
    「中島先生の荘子がなければ、僕の哲学も文学もなかった。ここからすべてが始まったのです。衝撃的なこの「変化の哲学」を、皆さんにもぜひお読みいただきたい。」

    中国・日本はもちろん、これまであまり言及されてこなかった欧米圏での研究をも渉猟。「無為自然」や「万物斉同」といった概念に替え、自己および世界の変容を説く「物化」思想をその核心として取り出し、ドゥルーズら現代の西洋哲学と突き合わせることで、言語、道、他者、自由にかかわる荘子の思索を新たな相貌のもとに甦らせる。世界の哲学に通暁する著者がダイナミックに描く、新時代の標準たる驚くべき読解の書!

    [本書の内容]
    プロローグ
    ■第1部 書物の旅路 『荘子』古今東西
    第一章 『荘子』の系譜学
    第二章 中国思想史における『荘子』読解――近代以前
    第三章 近代中国哲学と『荘子』――胡適と馮友蘭
    第四章 欧米における『荘子』読解
    ■第2部 作品世界を読む 物化の核心をめぐって
    第一章 『荘子』の言語思想――共鳴するオラリテ
    第二章 道の聞き方――道は屎尿にあり
    第三章 物化と斉同――世界そのものの変容
    第四章 『荘子』と他者論――魚の楽しみの構造
    第五章 鶏となって時を告げよ――束縛からの解放
    エピローグ
    参考文献ガイド
    『荘子』篇名一覧
    学術文庫版へのあとがき
  • 最強の水先案内人がプロに「読みどころ」を聞いてみた――。
    『神曲』『源氏物語』『わが闘争』『資本論』……、名著を読まなくても楽しめる、虫のよいガイド本、誕生!

    好きな女性とはセックスできず、添い寝しかできない男の悲哀――『源氏物語』
    莫大な印税収入でヒトラーは自信をつけた――『わが闘争』

    手に取ってみたけれど、挫折した……、でもあきらめるのはまだ早い! 聞き手=古市憲寿+構成=斎藤哲也の名コンビが贈る名著ショートカット。

    『神曲』――都市市民が生まれて、煉獄が生まれた 原基晶
    『源氏物語』――「宇治十帖」の不器用で流されやすい登場人物たち 大塚ひかり
    『失われた時を求めて』――宝探しのように自分の読みたいところを探す 高遠弘美
    「相対性理論」――時間も空間も一つではない 竹内薫
    『社会契約論』――「明日からこの国を、この世界をどうしよう」と考えるヒント 東浩紀
    『ツァラトゥストラ』――「神は死んだ」など好きなパワーワードを探してみる 竹田青嗣
    『わが闘争』――大衆を小馬鹿にした第6章「戦時宣伝」 佐藤卓己
    『ペスト』――「自分事」となると、一気に読みやすくなる 佐々木匠
    『古事記』――縄文系と弥生系の世界観が混在していた 三浦佑之
    『風と共に去りぬ』――単なる恋愛小説ではない 鴻巣友季子
    『国富論』――啓蒙の時代にお金儲けは肯定された 野原慎司
    『資本論』――「新しい世界」の秘密を明らかにしようとした 的場昭弘
  • 儒教と道教、そして仏教。この三つの異なる宗教は、長い歴史のなかで渾然と併存してきた。
    そのような不思議な思想空間は、なぜ、いかにして成り立っているのか。
    死生観、自然認識、民間信仰などの視点から、衝突・妥協・調和を繰り返すダイナミズムをとらえる意欲作。
    矛盾しながら共存する東アジア的宗教の本質を、シンクレティズム=習合というキー概念から鋭く分析し、
    軽妙な筆致でやさしく語る!

    ◇本書「はじめに」より―
    シンクレティズムとは「ごたまぜ」という意味である。儒教と仏教と道教がごたごたまぜ
    まぜになっている。純粋ではない。けれどゆたかさがある。そしてこれこそが宗教というも
    のの現実の姿ではないか。

    ◆主な内容
    第1章 シンクレティック東アジア―宗教の実像を求めて
    第2章 かばいあう親子のどろぼう―情にあふれ馴れあう心性
    第3章 翼をなくした天女たち(上)―ユーラシアの西から東へ
    第4章 翼をなくした天女たち(下)―孝との調和と相克
    第5章 福禄寿、怨恨、呪殺―心がすさむとき求められるもの
    第6章 草も木もみな仏になる―宗教をぬりかえる自然認識
    第7章 スモモの下で世直しがはじまる―くりかえされる予言の力
    第8章 彼らに永遠の休息をあたえたまえ―湿潤温暖地域の死生観
    第9章 東アジアの思想空間へ―思想を生みだす時と場所
  • 「自分の頭で考える力」が根本から身につく!
    答えなき時代に独学を深めるうえで必須の「考える技術」を、気鋭の哲学者が徹底解説。

    答えのない時代には
    自分の頭で考え、学びを深める力=「独学力」が必須だ!

    ◆勉強の質を高める哲学メソッド
    ◆「良い問い」と「不適切な問い」
    ◆「一問一答式知識観」を捨てる
    ◆「ソクラテス式問答法」の問題点
    ……など


    【本書の目次】

    はじめにーー答えなき時代に求められる「独学の力」

    プロローグ 「考える」とはどういうことか?
      ーーショーペンハウアー『読書について』から考える
  • 私はこの本で、現代の倫理学で議論される原理的な問題と応用倫理学で取り扱われる内容を、明確に描き出したい。それには日常生活で出会う倫理問題を考えることが、現代倫理学の中心問題を理解する早道だと思う。難しい術語や学説の違いを知るより、現代の倫理学者達の議論の中身に入ってもらいたいという気持ちで書いた。何よりもまず、読み物として面白く通読できるよう心がけた。(「あとがき」より)
  • ことばを、
     ・だんまり
     ・つぶやき
     ・語らい
     の三つの層で考えてみるというお話に入ろうと思います。
     最初にひとつだけ質問させてください。
     みんな、ことばって好きですか? 好きなひと、ちょっと手を挙げてくれます?
     はい。ありがとう。
     嫌いなひとは?
     あら……。そうか、どちらでもないひとが圧倒的に多いみたいですね。
     ことばが嫌いなひとがものすごく少ない。これ、ちょっと驚きです。
     ぼくはですね……じつはことばが苦手、というか、嫌いな人間なんです(笑)。
     それで、いまの若い世代の人って、ぼく以上に嫌いなのかなって思っていたんで、虚を衝かれました。
     でも、みなさん。だれかとしゃべる、ひとと話すことって、読むとか書くよりしんどくないですか?
     しゃべりたくないときでも、黙っていると場から浮いてしまうんじゃないか。
     メールが来たらすぐ返さないと、なんか悪くとられてしまうんじゃないか。もうつきあってもらえなくなるんじゃないか
     とか、いろいろありそうですね。
     しゃべりたくないときには黙っている、しゃべりたくなったら口をひらくのがいちばんラクだと思うのに、なぜかいつもしゃべらないといけないような空気みたいなものがある。ぼくはそれを敏感に感じるほうです。
     ことばって面倒くさいじゃないですか。
     じゃないですかって、挙手をみるかぎり、みなさんのほとんどがそう思っていないようですから、ちょっと困るところではありますが(笑)、ぼくは、ことばってすっごく面倒くさいものだと思っているんですね。
     というのは、たいていの場合、ことばのほうが過剰か過少であり、ピタリ、ズバリはまずない。そのアンバランスというか、チグハグさにひとは苦しみ悶える。……

     2020年10月15日、コロナ禍のなか愛知県立一宮高等学校でおこなわれた講演の記録。碩学のあたたかい語りかけと生徒たちの真摯な応答に読者はいつしかわが身をふりかえることだろう。
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    「君たちは、自分の力で、世の中を変えていけ!
    僕は日本の未来に期待している。支援は惜しまない」
    2019年8月に、病のため夭逝した瀧本哲史さん。ずっと若者世代である「君たち」に向けてメッセージを送り続けてきた彼の思想を凝縮した“伝説の東大講義”を、ここに一冊の本として完全収録する。スタジオ収録盤にはないライブ盤のように、生前の瀧本さんの生の声と熱量の大きさ、そしてその普遍的なメッセージを、リアルに感じてもらえると思う。さあ、チャイムは鳴った。さっそく講義を始めよう。瀧本さんが未来に向けて飛ばす「檄」を受け取った君たちは、これから何を学び、どう生きるべきか。この講義は、君たちへの一つの問いかけでもある。
    目 次
    第一檄 人のふりした猿にはなるな
    第二檄 最重要の学問は「言葉」である
    第三檄 世界を変える「学派」をつくれ
    第四檄 交渉は「情報戦」
    第五檄 人生は「3勝97敗」のゲームだ
    第六檄 よき航海をゆけ
    あとがきにかえて(星海社新書初代編集長 柿内芳文)
    瀧本哲史全著作紹介
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    思想の〈ダーク〉な最前線、ニック・ランド
    「新反動主義」あるいは「暗黒啓蒙」と呼ばれる、リベラルな価値観に否を突きつける暗く新たな思想潮流は、現代において陰に陽に存在感を示しつつある。本書では、その捉えがたい核心に三人の重要人物から迫っていく―ピーター・ティール、カーティス・ヤーヴィン、そしてニック・ランド。とりわけ哲学者ランドの思想に分け入ることが、本書のさらなる目論見である。ランドと、彼が率いた研究グループCCRUの影響圏は、「加速主義」「思弁的実在論」など近年の思想動向から、多様な領域における文化的プレイヤー、「ヴェイパーウェイヴ」のような文化現象にまで広範に及ぶ。〈ダーク〉な思想に目を向けて、初めて見えるものがある。
    *本書目次
    はじめに
    1 ピーター・ティール
    ピーター・ティールとは誰か
    ルネ・ジラールへの師事
    学内紛争にコミットする
    主権ある個人、そしてペイパル創業へ
    ニーチェ主義とティール
    暗号通貨とサイファーパンク
    「イグジット」のプログラム
    「ホラー」に抗う
    啓蒙という欺瞞、そして9・11
    2 暗黒啓蒙
    リバタリアニズムとは何か
    「自由」と「民主主義」は両立しない
    カーティス・ヤーヴィンの思想と対称的主権
    新官房学
    反近代主義とその矛盾
    人種問題から「生物工学の地平」へ
    3 ニック・ランド
    啓蒙のパラドックス
    ドゥルーズ&ガタリへの傾倒
    コズミック・ホラー
    グレートフィルター仮説
    クトゥルフ神話とアブストラクト・ホラー
    死の欲動の哲学
    CCRUという実践
    CCRUとクラブミュージック
    ハイパースティション
    思弁的実在論とニック・ランド
    カンタン・メイヤスー
    レイ・ブラシエ
    ニック・ランドの上海
    4 加速主義
    加速主義とは何か
    左派加速主義とマーク・フィッシャー
    右派加速主義、無条件的加速主義
    トランスヒューマニズムと機械との合一
    加速主義とロシア宇宙主義
    ロコのバジリスクと『マトリックス』
    ヴェイパーウェイヴと加速主義
    ヴェイパーウェイヴと亡霊性
    ノスタルジーと失われた未来
    未来を取り戻せ?
    あとがき
    参考文献
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    哲学は、世界を生き抜くための武器である
    フランス人は、幸福についてのさまざまな哲学的な立場や議論を学びます。そしてそれを哲学小論文(ディセルタシオン)という「思考の型」に当てはめて、自分なりに表現することを、高校時代に徹底的に練習しています。生きていく中で自分が遭遇した問題や困難をどのように理解すべきか、人生をどのように切り開いていくかを考えるための実践的な道具が哲学なのです。しかし、これはフランス人の専売特許ではありません。誰でも「思考の型」を身につけ、活用しながら、この世界を生き抜いていくことができるのです。われわれもまた、幸福に至る道を見つけるために、哲学すればいいのです。
  • 「まことに、〈われ〉は、〈なんじ〉と出会うことによってはじめて、真の〈われ〉になるのである。わたしが〈われ〉となるにしたがって、わたしは相手を〈なんじ〉と呼びかけることができるようになるのである」。
    「すべての真実なる生とは、まさに出会いである」。
    オーストリア生まれのユダヤ人哲学者マルティン・ブーバー(1878-1965年)は、ウィーン大学で哲学や美術史を学んだのち、神秘主義的なユダヤ教の一派であるハシディズムに傾倒しつつ、ユダヤ人のパレスチナ復帰を目指すシオニズム運動に参加する。1916年にはドイツ語圏ユダヤ人の指導的機関誌となる『ユダヤ人』を創刊してその編集にあたり、またフランツ・ローゼンツヴァイク(1886-1929年)とともにヘブライ語聖書(旧約聖書)のドイツ語訳を行う。その後フランクフルト大学で教鞭をとるも、1938年にドイツを脱してイスラエルに移住。以後はヘブライ大学に勤め、エルサレムで人生を終えている。
    第一次世界大戦に志願兵として参加し、塹壕のなかで着想を得て執筆されたローゼンツヴァイクの『救済の星』(1921年)の刊行後ほどなく、本書は敗戦の爪痕も未だ深いドイツで1923年に刊行された。
    ブーバーの主著でもあるこの本は、「ひとは世界にたいして二つのことなった態度をとる。それにもとづいて世界は二つとなる」という一文で始まる。二つの世界のうち、一つは〈われ〉‐〈なんじ〉の世界であり、もう一つが〈われ〉‐〈それ〉の世界である。世界は、単に人間の経験の対象となるときには〈われ〉‐〈それ〉という根源語に属し、これに反して関係の世界は、もうひとつの根源語、〈われ〉‐〈なんじ〉によって作り出されるという。
    「対話の思想家」と称されるブーバーは、さらに「はじめに関係あり」と語る。「私」ではなく「あなた」でもなく、〈われ〉と〈なんじ〉、そして〈われ〉と〈それ〉の出会いから始まる世界とは、どのようなものなのか。そしてそれは私たちの生に何をもたらし、どのように変えていくのか。ユダヤ思想のエッセンスに満ちた普遍的名著が、いま〈あなた〉に語りかける!
    (原本:『孤独と愛――我と汝の問題』創文社、一九五八年)

    【目 次】
    第一篇 根源語
    第二篇 人間の世界
    第三篇 永遠の〈なんじ〉

    資料 あとがき〔一九六二年〕(佐藤貴史訳)

    訳者解説
    学術文庫版解説(佐藤貴史)
  • 平安時代から多くの絵師が描き、歌人が詠んだ夕映えの空。江戸時代、人々が愛した浄瑠璃の義理人情劇、子守歌が奏でる、哀しい短調のメロディ・・・・・・。
    かつて日本人が持ちえた<共感の場>が消え、確たる死生観すら見えなくなった昨今、私たちは人生をどうまとめたたらいいのか。宗教学者が、来し方を振り返りつつ、次世代に伝える、いのちの作法集。

    *本書は、第一章から第七章までを、『こころの作法――生への構え、死への構え』(中公新書 2000年刊)を底本に、終章をこの文庫のために書き足したものである。


    目次)

    はしがき
    学術文庫版 はしがき
     
    第一章 こころの原風景
    消えゆく短調のメロディー/夕焼け信仰/山のお寺の鐘/二羽の「夕鶴」

    第二章「語り」の力
    歌のリズムと生命のリズム/語ること・聞くこと/フェアプレイか無私か/友情の語り方

    第三章 人間、この未知なるもの
    子どもの犯罪にどう立ち向かうか/放っておくと、子どもは野性化する!/犠牲と奉仕/全身運動と数学的1

    第四章 私の死の作法
    どのように死ぬべきか/現代の無常物語/臓器移植ははたして布施の精神の発露か/断食死こそ死の作法の出発点

    第五章 精神性について
    人間批評の尺度/任きょう道〈長谷川伸〉/浄瑠璃と町人道〈司馬遼太郎〉/武士道の「仁」〈新渡戸稲造〉

    第六章 伝統のこころ、近代のこころ
    チャンバラ映画/人間を信じる/遠景のなかの仏教/身もだえの話/人情の極致

    第七章 眼差しの記憶
    司馬さんの鋭い眼差し/丸山政治学と司馬文学/日本人の中の日本人/『燃えよ剣』の夕日

    終章 辞世の作法
    挽歌の作法/一期一会の歌/自然葬の行方
    「あとがき」に代えて 辞世の弁「若き魂たちよ」

    内容紹介)
    日本の子守唄が、遠くなってしまった。もうどこからもきこえてこない。(中略)
    悲哀の旋律を忘れた社会というのは、ひょっとすると他人のこころの痛みや悲しみに鈍感になっている社会なのではないか。われわれはいつのまにか短調排除の時代を生きて、感性の大切な部分を失いつつあるのかもしれないのである。(本書「第1章」より)
  • いつの時代も私たちを惹きつけてやまない神話。
    文学や絵画はもちろんのこと、現代でもアニメやゲームのキャラクターとして神話のモチーフは取り入れられています。神話の知識がなければ興味は半減してしまうでしょう。
    神話が人を楽しませ、ときには人を感動させるのは人間世界の真実の断面を私たちの目の前に投げ出して見せてくれるからです。神話は人間そのもののあり方、本質に迫ろうとします。そして倫理や法などの根本理念を考えさせます。
    西洋古典学の第一人者が世界の神話の成り立ちや共通点を、ギリシア神話を中心にやさしく紹介する、神話を味わうために最適の一冊。(原本:『入門・世界の神話』講談社、1965年)

    目 次
    はじめに
    第1章 神話のさまざま
    1 大蛇退治――アポロンと素戔嗚尊
    2 花物語――ヒヤシンスとすいせん
    3 星座――天に上ったくまの母子
    4 七夕祭り
    5 湖畔に立つポプラとかしの木

    第2章 神話の成り立ち
    1 裁く神から踊る神まで
    2 『死と少女』
    3 金色のひつじの皮衣
    4 オデュッセウスと百合若
    5 史謡の世界――トロイの木馬

    第3章 世界の神話
    1 永遠の生を求めて
    2 ノアの大洪水
    3 ピラミッドの秘密
    4 美しく奥深い北欧の神話
    5 さるのつくった岩橋

    第4章 世界のはじめ――ギリシア神話(1)
    1 世界のはじめ(天地開闢)
    2 神々の誕生
    3 人類のはじめ
    4 黄金時代

    第5章 オリュンポスの神々――ギリシア神話(2)
    1 オリンピックの由来
    2 銀の弓と竪琴との神――アポロン
    3 処女神宮のいわれ――アテーナとポセイドン
    4 海のあわから生まれた女神――アフロディテ(ヴィーナス)
    5 酒と芝居の神――ディオニュソス
    6 商人とどろぼうの親方――ヘルメス神
    7 月の女神アルテミス

    第6章 海と地下の神々
    1 ほら貝ふきのトリトオン
    2 六粒のざくろの実

    第7章 英雄時代
    1 ヘラクレスの一生
    2 迷宮と牛人退治
    3 スフィンクスのなぞ
    4 白鳥の皇子
    5 さかはぎの駒

    第8章 日本の神話
    1 よみがえり
    2 日の御子
    3 海幸彦と山幸彦
    4 因幡の白うさぎ
    5 金色の鵄

    第9章 伝説と史実
    1 トロイア遠征の伝説
    2 帰還の物語
    3 説話の世界
    4 神話の永遠性
    5 神話と現代

    索引
  • 國分功一郎、青山拓央、千葉雅也、伊藤亜紗、古田徹也、苫野一徳……
    哲学の最前線の旗手たちが「いま考えていること」がこれ一冊でわかる!

    私たちを縛りつける不自由と向き合う、本当の自由のための哲学。

     * * *

    [本書の内容]
    第一章 「する」と「される」の外部へ――國分功一郎『中動態の世界』
    第二章 二人称のコミュニケーションと無自由の極北――青山拓央『時間と自由意志』
    第三章 非意味的切断の実践哲学――千葉雅也『勉強の哲学』
    第四章 身体のローカル・ルールと生成的コミュニケーション――伊藤亜紗『手の倫理』
    第五章 常套句の思考停止に抗うこと――古田徹也『言葉の魂の哲学』
    第六章 エゴイズムの乗り越えと愛する意志――苫野一徳『愛』
  • プラトン哲学の「おもしろくて大切なところ」をあえて一言で表わせば、「批判と変革の哲学」だ、と言いたい。こんなふうに表現すると、プラトンを旧式の左翼の一員に仕立てているように聞こえそうだ。だが、これは特定の政治的立場を表わそうとしたものではない。

    「批判」つまりクリティークとは、非難したり否定的な態度をとったりすることではなく、相手とする主張の論拠やそこからの帰結などについてよく考察し、事の是非を判断することを言う。

    「変革」も、政治体制だけではなく、日常的な考え方や生活を含む人間の営みの全体がその対象となる。そしてプラトンは「批判と変革」を自身の思考についても実践していた。

    これらすべての意味で、「批判と変革の哲学」なのだ。

    プラトンは探究し、執筆し、そして教育した。そうしたなかで彼が直面していたのは、森羅万象を支える根本原理は何か、よい生き方とは何か、といった「哲学的」問題だけではない。

    当時の人びとに人気を博したホメロスや悲劇・喜劇、あるいは幼年や少年時に施される体育や音楽の教育といった人びとの日常的営みに対してもプラトンは向き合っていた。いやむしろ、そこから哲学を考えていた。そして彼は、日々の暮らしから世界の根源にいたるまでの全体を相手に、批判的に、かつ包括的に考えたのだ。

    同時に、そのような考察がたどり着いたところを広く伝えることに腐心した。彼は一般に人びとに何かを伝える媒体(メディア)のあり方にきわめて意識的だったが、とりわけ自分自身の思考が人びとに届くよう工夫を凝らした。

    その著作に、それに触れる人びとの知性と感性にも訴え、反省的な思考だけでなく感情や想像力までも喚起し、そしてそれらを変更する力を与えたのである。

    それが彼の哲学、「批判と変革の哲学」である。

    【本書の内容】
    第一章 プラトンはどう書いたのか、プラトンをどう読むか
    第二章 プラトン哲学の原点
    第三章 自己と他者を変える対話
    第四章 魂・徳・知の関係
    第五章 変革へと促すイデア論
    第六章 魂の分割 『国家』その1
    第七章 哲学者と善のイデア 『国家』その2
    第八章 プラトン、その後に

    知、真理、魂のあり方を徹底的に考え抜いたプラトンが導く、思考の冒険!
  • 18世紀のスウェーデンが生んだ稀代の科学者にして神秘思想家、エマヌエル・スウェーデンボルグ(1688-1772年)。この異才の存在こそが、カントに『視霊者の夢』(1766年)を書かせ、またバルザックをして『セラフィタ』(1834年)の執筆にむかわしめました。日本では、禅学の大家である鈴木大拙(1870-1966年)が紹介したことで知られています。
    スウェーデンボルグは84年の生涯のうち、その半分を科学者として過ごします。11歳でウプサラ大学に入学したあと、イギリスやフランスに遊学して天文学や機械工学を学び、先駆的な航空機を含め多彩な発明品の設計図を残します。その後、スウェーデン国王カルル12世の知遇を得たことをきっかけに、王立鉱山局の監督官として59歳まで働くことになります。監督官として勤めるかたわら、地質学をはじめ数学、宇宙学、解剖学など多岐にわたる分野で精力的に執筆活動を続け、科学者として当時のヨーロッパに名を馳せますが、50代のときに大きな転機が訪れます。それが相次ぐ神秘体験でした。
    スウェーデンボルグを科学者から神秘主義神学者へと変貌させた、神秘体験とは一体どのようなものだったのでしょうか。それはこの天才にとってどのような意味をもっていたのでしょうか。そして、彼が見た死後の世界とはどのようなものだったのでしょうか。科学から神秘世界へ、大きな飛躍があるように見え、ともすれば矛盾に満ちたものになりそうなその生涯は、実のところ極めて合理的な精神に貫かれていたのです。
    2005年にユネスコの世界記憶遺産に認定された膨大な手稿も含め、スウェーデンボルグが遺した思考の軌跡を辿っていくと、そこにはこの思想家が持ち続けたたぐいまれな合理的思考の輝きと、ニュートンやカントをはじめとする当時の科学者や哲学者が、人間や魂、宇宙など世界の真理に迫るべく探求を重ねていた18世紀の時代精神が浮かび上がってきます。
    日本ではいまだ知る人ぞ知る存在でありながら、ゲーテ、シェリング、ドストエフスキー、コナン・ドイル、エドガー・アラン・ポー、ボルヘスなど、綺羅星のごとき思想家や作家たちに影響を与え続けた巨人の生涯と思想の全貌を本書は活き活きと簡潔に描き出しています。ヨーロッパ思想の奥深さを知る、絶好の入門書です!
  • 日本書紀の時代から、この国の基盤には大陸から摂取した文明の影響がありました。営々と築き上げられてきた日本の漢学文化は、中国古典の碩学、吉川幸次郎(1904-80年)の目にどのように映じていたのでしょうか。
     ふとしたことで手にした本居宣長『うひの山ぶみ』によって、宣長の「信徒」となったと告白する著者は、江戸時代に日本の漢学の全盛を見ます。伊藤仁斎や荻生徂徠を生んだ元禄・享保期の儒学と、戴震や段玉裁、王念孫ら清朝の儒学に共通性を見出して、それを「近世の覚醒」と名付け、日本における覚醒が実は100年近くも大陸に先んじていたことを指摘します。
     江戸時代に頂点を極めた漢学が、明治になって文化そのものが根本から変容していくことを万葉集の偏重に象徴的に見る第1部「古典について」、古代から江戸末期にいたる日本の漢学受容という類のない通史をコンパクトに描いた第2部「受容の歴史」、そして著者が愛してやまない儒者たちを素描した第3部「江戸の学者たち」。日本思想の基層をなす漢学という視座から、この国の学問的伝統を再発見する極上の教養書です!

    【目次】
    1 古典について
    古典について――あるいは明治について
    一 明治の記憶/二 明治への距離/三 明治の得失/四 万葉と古今/五 詩における理知/六 学術の文章/七 美と真の共存/八 注釈の学/九 辞典の学/一〇 日本書紀/一一 書紀学の変遷/一二 東洋史学/一三 太平

    2 受容の歴史
    受容の歴史――日本漢学小史
    一 日本における外国文明の受容/二 そのインドその他との対比/三 文学および文学教育における受容/四 学問一般における受容/五 外国文明受容の心情/六 外国文明受容の歴史/七 受容の歴史のはじめ/八 空海その他/九 菅原道真/一〇 受容の中だるみ/一一 中国新文明の受容/一二 五山の禅僧/一三 江戸時代における受容の教育/一四 江戸時代における外国書の輸入と覆刻/一五 家康の政策/一六 藤原惺窩/一七 林羅山/一八 朱舜水その他/一九 伊藤仁斎 その一/二○ 伊藤仁斎 その二/二一 荻生徂徠 その一/二二 荻生徂徠 その二/二三 荻生徂徠 その三/二四 荻生徂徠その四/二五 江戸末期における受容/二六 むすびと希望

    3 江戸の学者たち
    仁斎と徂徠――論語古義と論語徴
    伊藤仁斎
    古義堂文庫
    仁斎と小説
    古義堂
    二つの伊藤仁斎論――スパアとツアトロフスキ
    伊藤東涯
    安積澹泊
    本居宣長――世界的日本人
    一冊の本――本居宣長『うひ山ふみ』
    学問のかたち
    中京の二学者――河村秀根と岡田挺之と
    息軒先生遺文続編の序
    解 説(小島 毅)
  • 多くの日本人にとって、もっともなじみのある和歌集といえば『百人一首』。
    千年の時を超えて愛されてきた歌集を、現代を代表する歌人・水原紫苑が中世と現代を行き来し、一首ごとにやさしく丁寧にときほぐします。
    初学者も大人も楽しめる100のストーリーで、短歌がぐっと親しいものになります。

    ●百人一首を選んだ、大歌人・藤原定家のプラン
    ●「恋の歌」が天皇の「使命」だった?
    ●「鹿」の妻は「紅葉」か「萩」か?
    ●桜の名歌にみる「生の哲学」
    ●いかにして小野小町は千年のアイコンとなった?
    ●『源氏物語』と「あはれ」の美学
    ●定家の西行に対する嫉妬心
    ●小野小町のスピリットが宿る俵万智
    ●赤染衛門と和泉式部、二人の友情
    ●定家の父が詠んだ「老いのエロス」
    ●かるた取りに使える「決まり字」

    ※本書は、講談社のPR誌『本』2018年1月号から2020年1月号まで連載した「百人一首うたものがたり」を元に大幅に加筆しました。

    ……など、テーマは盛りだくさん。
    簡単でいて、読むだけで日本古典文学の神髄まで学べる一冊。
    ことばの豊かな世界がここにあります。
  • 絶頂にあったカントを襲った筆禍事件。若き哲学者フィヒテとの確執。尽きぬ好奇心の一方で忍び寄る老い…。人間カントの人生の黄昏。
  • ベートーヴェンはナポレオン戴冠の知らせを聞いて作曲中の第三シンフォニーの楽譜を床にたたきつけたといいます。「ボナパルト」なるタイトルを持つはずだったこの交響曲は標題をあらため、英雄交響曲《シンフォニア・エロイカ》として発表されました。ナポレオンに落胆したものの、革命の時代に終止符をうつ「英雄」を待望していたのです。
    ドイツ人作曲家ルートヴィヒ・ファン・ベートーヴェン(1770-1827年)の生きた18世紀から19世紀にかけてのヨーロッパは、革命の進行する激動の世紀でした。この時代の人々にとって、自前の代表者をもちえないドイツですら、「英雄」とは実在する観念でした。どのようにして英雄像はリアリティを持ったのでしょうか。
    馬上のナポレオンを目撃したヘーゲル。皇帝となったナポレオンに謁見したゲーテ。
    ナポレオンという「英雄」は幻想にすぎなかったのか。ベートーヴェンの生涯をたどりつつ同時代の偉人たちをとおして、「英雄の世紀」を臨場感あふれる筆致で描きます。
    西洋史の泰斗が達意の文章でおくる近代創成のロマン!!

    【本書の内容】
    はじめに
    第一章 英雄(エロイカ)の世紀
    第二章 啓蒙の賢人から普遍の天才へ
    第三章 啓蒙都市民の誕生
    第四章 ヨーロッパ国際関係のなかのドイツ
    第五章 ナポレオン革命
    第六章 ナポレオン・ショック
    第七章 市民と英雄
    第八章 古典主義からロマン主義へ
    第九章 静穏の一八二〇年代
    主要参考文献
    学術文庫版あとがき
    関係年表
  • 私たちはまだ、「自由」を知らない――。
    覆される常識の先に、ありえたかもしれないもうひとつの世界が浮かび上がる。
    気鋭の哲学者による、心揺さぶる倫理学(エチカ)入門。

    ★現代人の「思考のOS」を書き換えるスピノザ哲学のエッセンス★

    □すべての個体はそれぞれに完全である。
    □善悪は物事の組み合わせで決まる。
    □「力」こそ物の本質である。
    □自殺や拒食の原因は人の内側にはない。
    □一人ひとりの自由が社会の安定につながる。
    □必然性に従うことこそ自由である。
    □自由な意志など存在しない。
    □意志は行為を一元的に決定しない。
    □真理の外側に真理の基準はない。
    □新しい主体のあり方が真理の真理性を支える。

    *「NHK 100分de名著」『スピノザ エチカ』に新章を加えた増補改訂版*

    [目次]
    はじめに
    1. 組み合わせとしての善悪
     1)スピノザとは誰か
     2)哲学する自由
     3)神即自然
     4)『エチカ』はどんな本か
     5)組み合わせとしての善悪
     6)善悪と感情
    2. コナトゥスと本質
     1)コナトゥスこそ物の本質
     2)変状する力
     3)多くの仕方で刺激されうる状態になること
     4)コナトゥスと「死」の問題
     5)万物は神の様態
     6)神は無限に多くの属性から成る
     7)コナトゥスと社会の安定
    3. 自由へのエチカ
     1)「自由」とは何か
     2)自由の度合いを高める倫理学
     3)自由な意志など存在しない
     4)行為は多元的に決定されている
     5)現代社会にはびこる意志への信仰
    4. 真理の獲得と主体の変容
     1)スピノザ哲学は「もうひとつの近代」を示す
     2)真理は真理自身の基準である
     3)真理と向き合う
     4)物を知り、自分を知り、自分が変わる
     5)主体の変容と真理の獲得
     6)AIアルゴリズムと人間の知性
    5. 神の存在証明と精錬の道
     1)懐疑の病と治癒の物語
     2)真理への精錬の道
     3)精錬の道は自ら歩まねばならない
     4)対話相手としてのスピノザとデカルト
    おわりに
  • 経済学は、なぜ人間の生から乖離し、人間の幸福にはまったく役立たなくなってしまったのか? 経済学の堕落の跡をたどると同時にその再生の可能を探る。「科学的客観性」「ヴァリューフリー」を標榜し、いつしか「人間の心」を失ってしまった経済学。19世紀後半ドイツにおいて始まった経済学「科学化」の動き。ハイエク、「ゲーム理論」、さらには「シカゴ学派」の「ゴッドファーザー」シュルツへと至る、極端な経済の自由化と「脱倫理化」の強化。そして「クズネッツ曲線」をめぐる「新自由主義」の欺瞞。その一方での、上記の流れに抗して「人間の顔をした経済学」を目指した、ポランニー、イリイチ、あるいはウォーラーステインら世界システム論者などにによる、経済学における「社会的公正」理念復権への模索。経済学の歩みを「自由」と「正義」という二つの相対立する思想の相克の歴史と捉え、21世紀の「来たるべき経済学」の可能性を探る。
  • 新プラトン主義の祖、イデアを体系化した哲学者が語る善=一者と美の関係
    三世紀、プラトンの正統的理解者を自任し、イデアの体系化をしたプロティノスは、美を、善をどのように捉えていたのか。眼が太陽に似ていなければ眼は太陽を見ることができない、美は外からやってきて魂を外に引き出す、など美の形而上学を展開、善=一者と魂との関係を究明して後代の哲学に影響を与えた「新プラトン主義の祖」の名品三篇を訳出。
  • トランプ大統領をはじめとする「ポピュリスト」の跋扈、旧社会主義諸国および中国など権威主義国家の台頭など、近年の世界の政治状況は、民主主義という制度の根幹を揺るがすかのような観を呈しています。日本の状況を見てみても、現行の政権が「民意」の正確な反映、すなわち「民主主義的な」政権だといわれると、頸をかしげる人も少なくないのではないでしょうか。はたして民主主義はもう時代遅れなのか? それとも、まだ活路はあるのか? 
    それを議論するためには、まず何よりも、民主主義とは、そもそもどのような制度なのかを「正しく」知らなければならないでしょう。今では自明視されている「民主主義」という制度ですが、人が創ったものである限りそれもまた歴史的な制度として、さまざまな紆余曲折を経て現在のようなものになったのであって、決して「自然」にこのようなになったわけでではないのです。
    そこで本書では、ギリシア・アテナイにおける民主主義思想の「誕生」から、現代まで、民主主義という制度・思想の誕生以来、起こった様々な矛盾、それを巡って交わされた様々な思想家達の議論の跡をたどってゆきます。その中で、民主主義という「制度」の利点と弱点が人々にどのように認識され、またどのようにその問題点を「改良」しようとしたのか、あるいはその「改革」はなぜ失敗してしまったのかを辿ることにより、民主主義の「本質」とは何なのか、そしてその未来への可能性を考えてゆきます。
    またあわせて、日本の民主主義の特質、その問題点についても分析してゆきます。
    民主主義という思想・制度を知るための、平易な政治思想史の教科書としても最適です。
  • ●第1章 今の世界に至る道 19世紀~1970年
    ・日本の戦後レジームからの脱却・グローバル経済へ・極端に分離する階層・身分制と不平等・新自由主義が社会を再組織していく・自由と管理の反転・アメリカにネオナチがいる・ヨーロッパと第一次大戦・国際連盟とILО・第二次大戦とフィラデルフィア・ド・ゴールと移民世代・EUとフランス・ル・ペンの国民戦線・フランス・ファースト・国民の解体と再接着・人権と身分制社会
    ●第2章 アメリカの大転換 90年代末~対テロ政策へ
    ・アメリカという特殊形態・モンロー主義とアメリカの「解放」・『すばらしい新世界』・「例外国家」のスタンダード化・アメリカの標準化とネット・アドレス・アメリカ・バイアス・テクノ支配と一代成金・白人の不満と被害感情・平等と「差別」、「本音」を煽るトランプ・偉大な中国・征服王朝と中国・オランダとイギリスのヘゲモニー・帝国と平和・武器を売るアメリカ・ポスト・トゥルース・人権を求めて・西洋だけでなく世界にも・自由と平等は独り舞台
    ●第3章 日本と朝鮮半島
    ・米朝会談が不満・こじらせる近隣関係・日本に三権分立はない・問われなかった戦争責任・冷戦後と歴史修正主義・拉致問題と歴史没却の勝利・朝鮮半島ではどう思っていたか・なぜ北朝鮮は核を持つのか?・ベルリンの壁崩壊とドイツ統一・北の自立、南に呑まれないために・対米核武装の成功?・軟着陸のためには・悪い国でいてもらわないと困る・日本敗戦後の朝鮮半島統治
    ●第4章 日本の明治一五〇年
    ・西洋の世界展開と日本の参入・戦争で認知される・敗戦の世界史的意味・無条件降伏と自発的隷従・正当性の論理・民主制と交渉の主体(外交)・翻訳語をつくる・翻訳する独特の日本・日露戦争から国際連盟へ
    逆のドライブ・一世一元制・天皇の権威・「…名において」治める・なぜ元号に固執するのか・時代意識の造形・政治と宗教の区別・義勇兵起源ではない・独自権力になっていく軍部・装置としての天皇制・近代化の流れと逆行していく・戦後のフィラデルフィア宣言・農地改革でつくられた基盤・占領下の改革の受け止め方・西洋的価値は絶対か・冷戦の終わりと市場開放・なぜ「新」自由主義なのか・平成の三〇年で起きたこと・あらゆるものを市場化する・国策としての新自由主義・神道国家派の大攻勢・米軍と一体化する自衛隊・自由の底が抜けている・失われた三〇年で何を失ったか
    ●第5章 現在の日本と世界のこれから
    ・西洋的世界の変質・国、政治、経済・民主、平等、自由・連携における自立・人権のない存在、テロリストの発明・フランスとアメリカの歴史否認・日本では民主主義がいらなくなっている・ポイント・オブ・ノーリターン・「身分制のほうがいいんじゃないか」
  • ウィズ・コロナの新しい生き方を模索し始めた今こそ、私たちに必要な、脳に効く「美」を求めて、ぜひミュージアムに出かけてみてはいかがだろうか?

    実は、ミュージアムは「美」が展示されているだけの場所ではない。知れば知るほど、とてつもなく奥が深い世界なのだ。人類の記憶のアーカイブに潜っていくような、(良い意味での)妖しさ、ヤバさがある。

    東京藝大には大学美術館があるが、大学美術館准教授の熊澤弘先生はいわば「ミュージアムの達人」で、世界のミュージアムの成り立ち、展示、ミュージアムの持つ資料から博物館学の実習に至るまで、私が教えを乞うている先生の一人である。

    ここからは熊澤先生の力をお借りして、仮想ゲームのミュージアムよりも、リアルなミュージアムこそがはるかに熱いのだ――ということを読者の皆さんと一緒に体験していきたい。言ってみれば、探検家・中野信子が、案内人・熊澤弘先生とともに、ミュージアムの深遠なる魅惑の世界に分け入っていこうというわけだ。

    この「探検本」を読み終えるころ、読者の皆さんは、世界各地のミュージアムの歴史やそこに所蔵された作品の面白さはもちろんのこと、その舞台裏で静かに働いている学芸員の役割やアートの鑑賞術などの基礎知識も身につけているはずだ。

    ミュージアムは、入る前と後とで物の見方が変わる体験ができる場所だと思うが、この基礎知識を身につけることで、ミュージアムに行く体験自体がこれまでよりもより深まるかもしれない。 (中野信子)

    <主な内容>
    はじめに ミュージアムは脳に似ている(中野信子)
    第1章 ミュージアムの誕生:その華麗にして妖しい魅力に満ちた世界
    はじまりは「驚異の部屋」/記憶の三段階/コレクターと「絶対美感」/美術品は誰のものか
    第2章 ミュージアム、その陰の部分:論争・ワケあり・ヤバいもの
    ナチスに翻弄されたコレクション/マインド・パレスを支配する/学芸員の使命/大量殺人犯の作品の展覧会
    第3章 実際に鑑賞してみる:どんな作品をどのように観たらよいか?
    中村キース・ヘリング美術館の感性/金沢21世紀美術館の賢さ/正しい鑑賞法なんてないか?/ルーヴル美術館で遭難しかける
    第4章 これからのミュージアム体験:アートはなぜ必要なのか?
    アフター・コロナの課題/現代アートはわかりにくい?/アートが社会にもたらす絶大な効果
    おわりに 日本は世界に類を見ないミュージアム大国(熊澤弘)
  • 近年、「自閉症」について多くの書物が書かれ、論じられるようになっています。これは、21世紀になって突出してきた現象で、20世紀にはなかったものです。しかもこれは、日本に限った話ではないのです。
    著者は、21世紀という時代の1つの特徴が、この「自閉的傾向」の突出化には現れているのではないかと考えています。その1例に伊藤若冲のブームがあります。前世紀まで若冲は「奇想の画家」として、美術史においてはアウトサイダー的な存在に過ぎませんでした。ところがその彼が、今では昨今の「日本美術ブーム」を引っ張る存在になっています。あるいは、『君の名は』『天気の子』が立て続けに大ヒットになったアニメ作家の新海誠。彼の作品もその「自閉症的」傾向が初期の段階からしばしば指摘されていました。
    この2人に共通するのは、ディテールへの過剰なまでのこだわりです。それゆえに画面は異常なまでに高精密になり、と同時に非常にフラットなものになります。一言で言えば、非常にデジタルな感じがするのです。デジタルとは、完璧なコピーと同一なものの繰り返しが可能になる技術ですが、この「高精密」で「完璧に同一なもの」の繰り返しこそは、まさに自閉症者が大好きなものです。現代アートに革命を起こしたアンディー・ウォーホールを早い例として、「ミニマルアート」と呼ばれるものの現代美術、現代音楽における流行も、この同じ時代の「好み」に即したものなのではないでしょうか。
    そしてこの時代精神をもっとも端的に表すのが、コンピュータの存在です。開発の祖に当たるチューリング、ノイマンから始まって、スティーブ・ジョブスやフェイスブックのザッカーバーグなど、IT、AIに関わる科学者、技術者に「自閉症的傾向」が強いことは、つとに指摘されている通りです。というか、そのような人たちの存在があってこそ、コンピュータ的なものは、ここまでの洗練を見たのです。いまや「デジタル的なもの」は、否応もなく21世紀人の感性の基盤になった感があります。とすればその底に自閉症的な美意識が伏在しているのは、むしろ当然ではないでしょうか。
    本書は、上記の視点のもと、21世紀という時代そのものの「自閉症的傾向」を明らかにするものです。
  • 人生は苦。それでも生きる。日々、生きづらさを感じているすべての人へ。ベストセラー『嫌われる勇気』の著者が送る力強いメッセージ!
    人生は苦しい。苦しいこともあれば、楽しいこともある、ではなく、本来的に人生とは苦しいもの。それゆえ仏教は「生老病死」の苦しみを説き、聖書は人生を嘆きの谷になぞらえる。でも、それでも死んでしまうのではなく、この事実を認め、受け入れた上で生きていこう。いじめられている人も、会社でハラスメントを受けている人も、死んでしまうのではなく、とにかく生きよう。どんなに孤独に思えても、かならずどこかに「仲間」はいる。だから絶望することなく、希望を持って生きてゆこう。人生を「生きる」ことが、この世に生を受けたすべての人に課された課題だから。
    仏教、キリスト教、ギリシア哲学--いにしえの知恵をたずね、アドラー心理学、三木清の『人生論ノート』など、さまざまな思想に学び、築き上げた、岸見一郎の総決算としての人生論!
  • 「この本では、生物の形態を、一般にヒトがどう考え、どう取り扱うかについて、私の考えを述べた。いままで、形態そのものを扱った本は多いが、こういう視点の本はないと思う。」

    生物の形に含まれる「意味」とはなにか? 形を読むことは、人間の思考パターンを読むことである。解剖学、生理学、哲学から日常まで、古今の人間の知見を豊富に使って繰り広げられる、スリリングな形態学総論。ものの見方を変える一冊!
  • 何が分からないかが分かる――、これは素晴らしい技能と言える。ある学問分野において何が分かっていないのかを正確に説明できるのは、その分野を相当に理解している人だけだ。

    本書では、「心にとって時間とは何か」がどれだけ未知であるのかを探る。私の専門は哲学だが、哲学だけでなく科学についても、さまざまな知見を参照していこう。だれにも分かっていないことを謎としてうまく描き出すには、それがどのような知識によって囲まれているかを示さなくてはならない。私たちの知識の地図に、未踏の地の「輪郭」を描き込んでいくわけだ。

    あとで改めて言い添えるが、私はこの目的のために、章ごとに違うサブテーマを定めた。〈知覚〉、〈自由〉、〈記憶〉、〈自殺〉、〈SF〉、〈責任〉、〈因果〉、〈不死〉という、各章の章題がそれにあたる。つまり、少なくとも八つの謎が本書には描き出されており、それらの不思議さや面白さ、そして、一つの謎から別の謎への道が見えてくる高揚感とが、私なりの言葉で綴られている。

    第一章 〈知覚〉――時間の流れは錯覚か
    第二章 〈自由〉――私はいつ決めたのか
    第三章 〈記憶〉――過去のデッサンを描くには
    第四章 〈自殺〉――死ぬ権利は、権利なのか
    第五章 〈SF〉――タイムトラベルは不可能か
    第六章 〈責任〉――それは、だれかのせいなのか
    第七章 〈因果〉――過去をどこかに繋ぐには
    第八章 〈不死〉――死はいつまで続くのか

    8つのテーマと謎を手がかりに、「心と時間の不思議」に迫る!
  • 「挑戦の書」として『神学大全(スンマ)』を読む!

    「スコラ学の代表的神学者」が書きあらわした、邦訳にして45冊に上る大著。
    そのような物々しさに惑わされず、「ひとりの修道者としてのトマス」による「一冊の書物」として『大全』を読む。
    すると、アクチュアルな探究者としてのトマスの姿が浮かび上がり、
    彼から現代に生きる私たちへのメッセージが聞き取れる。

    神とは何か。
    創造とは、悪とは、そして人間の幸福とは?
    キリスト教の根源にトマスはいかに挑んだか。
    斯界の第一人者が、やさしく、そして誠実に、核心を読み解く。

    【本書より】
    トマスの言う「神学」はその全体が知恵の探究であり、そして知恵のみがわれわれに人間の幸福をあきらかにしてくれるのですから、知恵の探究はそのまま真実の幸福への道を切り開く営みにほかなりません。言いかえると『神学大全』における知恵の探究は、トマスという一人の人間が、人間であることを学び、人間であることの完全な実現―それが「幸福」の意味です―をめざして行ったパーソナルな探究の記録であり、キリスト信者であろうとなかろうと、人間であることを真剣に受けとめる者にとってはけっして無縁な書物ではないと思うのです。

    【本書の内容】
    はじめに―『神学大全』をどう読むか
    第一章 挑戦の書としての『神学大全』
    第二章 神の問題―「五つの道」の意味
    第三章 「交わり・即・存在」―人格[ペルソナ]のパラドックス
    第四章 創造と宇宙論
    第五章 「悪」の問題
    第六章 すべての人が幸福を欲しているか?
    第七章 トマスの政治哲学―「共通善」の復権
    おわりに―「トマス主義者」ではないトマス

    ※本書は2009年に講談社選書メチエより刊行された同名書の文庫化です。
  • 990(税込)
    著:
    木田元
    レーベル: 講談社学術文庫
    出版社: 講談社

    ニイチェが「神が死んだ」と予言した現代は、従来の価値体系が崩壊し、思想史の上でもルネサンスの時代に比すべき大きな転換期をむかえている。そのなかでフッサール、メルロ=ポンティ、レヴィ=ストロースら現代の哲学者たちが、心理学や言語学、人類学などの人間諸科学と交流しながら追求する哲学の新しい方向とは何か。そして彼らが負った共通の課題とは……。人間の存在を問う現代哲学の書。
  • 1,100(税込)
    著:
    高木貞治
    レーベル: ブルーバックス
    出版社: 講談社

    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。

    日本が生んだ最初の世界的数学者・高木貞治(明治元年~昭和35年)が昭和24年に物した生涯最後の著書。「数とは何ぞや」という問いに、「一般的教養としても、哲学的思考を有する人々の関心をひく問題」として、簡潔に答えを提示。整数とは、有理数とは、実数とは。矛盾のない理論を証明すべく挑む。大学院生時代の明治31年に物した初の著作『新撰算術』以来50年、生涯続いた「算術」の基礎への関心が、ここに貫かれている。
  • 891(税込)
    著:
    苫野一徳
    レーベル: 講談社現代新書
    出版社: 講談社

    本書でわたしは、「愛」の本質を明らかにした。性愛、恋愛、友愛、親の子に対する愛……。愛にはさまざまな形があるが、これらはいずれも、本来まったく異なったイメージを与えるものである。にもかかわらず、なぜこれらは「愛」の名で呼ばれうるのか?それは、そこに「愛」の、ある“理念性”の本質が通奏低音のように響いているからである。性愛も恋愛も友愛も親の子に対する愛も、その「愛」の通奏低音の上に、それぞれ独自の音色を響かせているのだ。本書の目的は、これら「愛」の名のもとに包摂されるありとあらゆる「愛」の本質を明らかにすることにある。「愛」とは何か、そしてそれはいかに可能か? これが、本書でわたしが挑み、そして明らかにした問いである。
  • モースの贈与論、マルクスの剰余価値説、キルケゴールの愛の思想、レヴィ=ストロースの構造主義を超えて、価値増殖の本質を解き明かす未来の贈与価値論、ここにはじまる! 贈与は結びつけるエロスを、貨幣は分離するロゴスを持つ。すべての富は、物質性をもたない「無」の領域から「有」の世界に贈り物としてやってくる。古式捕鯨の深層構造を探る「すばらしい日本捕鯨」、モースの思想的可能性を再発見する「新贈与論序説」などを収録。贈与の原理を、経済や表現行為の土台に据え直し、近代の思考法と別の世界を切り開く。
  • ポピュリズム、ポストトゥルース、グローバリズムに直面する今こそ読む――“アメリカのデモクラシー”その根源への探究デモクラシーこそは歴史の未来である――誕生間もないアメリカ社会に トクヴィルが見いだしたものは何か。歴史的名著『アメリカのデモクラシー』では何が論じられたのか。「平等化」をキーワードにその思想の今日性を浮き彫りにする、鮮烈な思考。あらゆる権威が後退し混沌の縁に生きる私たちは、いまこそトクヴィルに出会い直さなければならない!いま日本の思想界をリードする著者が、第29回(2007年) サントリー学芸賞(思想・歴史部門)を受賞し、現在に至る地位を築いた好著の文庫化。文庫化にあたり、現在の政治・思想状況をふまえた「補章」を増補。トクヴィルの「今日的意義」は増すばかりである。ある意味で、「トクヴィル的」とでも呼ぶべき状況がますます強まっている―(「補章」より)【本書の主な内容】第一章 青年トクヴィル、アメリカに旅立つ第二章 平等と不平等の理論第三章 トクヴィルの見たアメリカ第四章 「デモクラシー」の自己変革能結び トクヴィルの今日的意義補章 二十一世紀においてトクヴィルを読むために
  • 1冊の本には、たくさんの記憶がまとわりついている。その本を買った書店の光景、その本を読んだ場所に流れていた音楽、そしてその本について語り合った友人……。そんな書物をめぐる記憶のネットワークが交錯することで、よりきめ細かく、より豊かなものになることを伝えるため、二人の著者が相手に触発されつつ交互に書き連ねた16のエッセイ。人文書の衰退、人文学の危機が自明視される世の中に贈る、情熱にあふれる1冊!
  • 科学万能の現代に、なぜこのような「時代遅れ」の問いが発せられなければならないのか? だがしかし、本当に、「神」の問題は哲学的にはすでに解決済みなのか? 人間存在の根源に迫る、齢90の碩学からの、近代人への挑戦状。
  • 1,100(税込)
    著:
    池内了
    レーベル: 講談社学術文庫
    出版社: 講談社

    かつて神の存在証明を果たそうとした自然科学は、その発展とともに神の不在を導き出した……というのは、本当だろうか? 現代物理学の描く世界からは、宇宙に最初の一撃を与え、サイコロ遊びに興じる至高の存在はいまだ消え去っていないのではないか? 古代ギリシアから近代科学の黎明、そして量子力学まで、「神という難問」に対峙し翻弄される科学の歴史を、名手が軽妙かつ深く語り切る。唯一無二のサイエンス・ヒストリー!
  • 老荘思想の根本経典。『老子』のテクストに基づく「原文」を元に、最新の研究の成果を盛り込んだ「読み下し」「現代語訳」「解説」を付しました。『老子』には、「無為自然」「道」「徳」の根本思想、「小国寡民」「無為の治」の政治哲学、「不争」の倫理思想、養生思想など、古代中国の思想の根幹があります。『荘子』『呂氏春秋』『韓非子』『荀子』『淮南子』などに多大なる影響を与えた偉大なる書物です。
  • 「職業としての学問」、「職業としての政治」の邦題で読み継がれてきたマックス・ウェーバーの二つの講演が、いま読むにふさわしい日本語で甦る。ドイツ語の原語Berufには、生計を立てることとしての「職業」という意味だけでなく、神からの「召命」や「天職」という意味も含まれる。「学問」も「政治」も単なる「職業」ではない、とはどういうことか? 今ますます切実さを増す問いに答える新たなスタンダード!
  • マックス・ウェーバーと並ぶ社会学の祖エミール・デュルケーム(1858-1917年)が1895年に世に問うたマニフェストの書、待望の新訳。『社会分業論』(1893年)で名を馳せたデュルケームは、その2年後、社会学に固有の対象である「社会的事実」の存在を宣言し、それを扱う方法を提示する。本書が与えた影響は計り知れない。この古典中の古典を第一級の専門家が明快な日本語にした決定版が完成!
  • 古来、心に残る名文句は、特異な表現である場合が多い。思考において論理がすべてではなく、言語も文法だけでは律しきれない。論理と文法の手にあまる言語表現の多彩な機能――黙説、転喩、逆説、反語、暗示など、レトリックのさまざまを具体例によって検討し、独創的な思考のための言語メカニズムの可能性を探る。在来の西欧的レトリック理論に新しい光をあてた『レトリック感覚』に続く注目の書。
  • 小学生の悩みについてアンケートをとると、その筆頭は今も昔も、友達と上手くやっていけないことだといいます。中には仲間関係の悩みから自らの命を絶とうとする子どももいます。そして人間関係の悩みは大人になってもなくなることはありません。本書は、プラトンやアリストテレスの言葉を紹介しながら、親子、仲間、愛などのテーマをやさしい言葉で解説し、自分らしく幸せに生きていく考え方を提案します。

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