『歴史、吉川英治(文芸・小説、マンガ(漫画))』の電子書籍一覧
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『新書太閤記』の一大分脈を成すのが、本書である。秀吉といえども、独力では天下を取れなかった。前半は竹中半兵衛の智力をたより、後半は黒田如水を懐刀とした。如水は時勢を見ぬく確かな眼を持ち、毛利の勢力下にありながら、織田の天下を主張。また、荒木村重の奸計に陥り、伊丹城地下牢での幽囚生活を余儀なくされながら、見事に耐えぬく。――若き日の如水を格調高く描く。
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かんかん虫とは、ドック入りした船のサビ落としをする港の自由労働者。かんかん虫のトム公は、14歳ながら札つきの不良少年。しかし、曲がったことは大嫌い。彼が傲慢な金持ちを憎むのは、相応の理由があった。少年時代の横浜の見聞をもとにした「かんかん虫は唄う」は、自伝的要素に満ちた異色作。必死に生き抜くお島母子に、幼き日の著者のおもいがこめられた「色は匂えど」を併録。
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大正14年に創刊された国民雑誌「キング」に発表されたこの作品で、従来の幾つかの筆名に別れを告げ、新たに吉川英治が誕生した。――美男で剣を見るのさえ身体がふるえる春日新九郎が、兄の仇、富田三家随一の名人、鐘巻自斎を相手に戦うまでの数々の辛苦と、剣難女難。――この一作が呼んだ反響、つづいて生まれた幾多の名作。本書は、吉川文学の輝かしい原点といえよう。
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将門は著者の最も食指を動かした人物の一人である。反逆者としての歴史の刻印を除きたい気持ちもあったが、純粋で虚飾のない原始人の血を将門にみたからだ。都にあっては貴族に愚弄され、故郷では大叔父国香に父の遺領を掠められ、将門はやり場のない怒りを周囲に爆発させる。それは天慶の乱に発展し、都人を震撼させる。富士はまだ火を噴き、武蔵野は原野そのままの時代だった。
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幇間・松のや露八として、反権力的姿勢を貫いた、彰義隊くずれの土肥庄次郎。一橋家近習番頭取の長男として生まれながら、鈍でひたむきすぎる性格のゆえに、数奇な人生を辿る。免許皆伝の祝い酒から、庄次郎の止めどない転落の道は始まった。だが武士を捨てるどころではない、徳川の屋台骨が潰れる時勢になったのだ。――負け犬のフツフツたる感情が全篇をつつむ意欲作!
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著者は終生、捕物帳には筆を染めなかった。しかし、捕物帳的な傾向の作品といえば、本書が筆頭であろう。十手捕縄をとって30年、捕物の神様とうたわれた名与力・塙江漢が、突如、暴風のように襲った悪魔により晩年の幸福を引きちぎられ、伜郁次郎を獄門に送らねばならぬ悶々の胸中。――これは捕物帳とは一線を劃す捕物帳である。
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