『歴史、角川春樹事務所(文芸・小説)』の電子書籍一覧
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財布や煙草入れなど、身につける小物に刺繍と金銀の箔をあわせて模様を入れる、縫箔師の咲。両親を亡くし、弟妹の親代わりとなって一生懸命に腕を磨いてきた。ある日立ち寄った日本橋の小間物屋で、咲はきれいな飛燕の簪に魅了される。気になって再び店を訪れると、その簪を手掛けたという錺師の修次と出会った。しかし二人が話している隙に、双子の子供が簪を奪って逃げてしまい……。咲が施す刺繍が人々の縁をやさしく紡ぎます──江戸のお仕事人情小説、装いを新たにシリーズ開幕!
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ヒマラヤで氷河湖が決壊した。下流のダム湖に浮かび上がったのは、なんと古代の「方舟」だった。こんな高地になぜ文明の跡が? いぶかる調査隊をさらに驚愕させたのは内部から発見された大量の木簡。それらにはみな、不思議な蓮華模様が刻まれており、文字とも絵とも判然としなかったが、なんらかのメッセージを伝えているのは確かだった――。一体、何者が、何を伝えようというのか? 第3回小松左京賞受賞作『神様のパズル』に続く、傑作長編SF、待望の文庫化。
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名作映画「里見八犬伝」の原作が時を超えて蘇る──室町の世、手柄を挙げた飼犬・八房の妻になった安房里見家の伏姫。姫を八房からとり戻そうとした家来の手で、命を落としたその体から八つの光の玉が飛び散った。〈仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌〉その玉を持つ運命となった八人の光の戦士たち。彼らと悪の軍団との凄絶な戦いが、今始まる! 『南総里見八犬伝』をベースにしながらも波乱のドラマを加え、大きく変身させた疾風迅雷の大伝奇エンターテインメント・ノベル。〈全2巻〉
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奈緒は、夫の仇を討つため、義父の文二郎と信州から江戸へやってきた。 ふたりは暮らしを立てようと、深川で薬屋を営むが、医者である文二郎の元には、貧しく医者代の払えない病人やけが人が次々と駆け込んでくるようになっていた。 そんなある日、深川の芸者・捨て丸が、惚れ薬を作ってほしいといってくる。 捨て丸の相手は、なんと有名な本草学者であった……。 奈緒たちは、藩の秘め事に巻き込まれながらも、市井の人々のたくましさと優しさに触れ 日々の暮らしを愛するようになるが――。 『貸本屋おせん』で、時代小説界に鮮やかにデビューした、期待の新鋭による飛翔の傑作長篇。
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下谷にある〈出直し神社〉には、人生を仕切り直したいと願う人々が訪れる。縁起の良い〈たね銭〉を授かりに来るのだ。神社を守るのは、うしろ戸の婆と呼ばれる老女。その手伝いをすることになった十六歳の娘おけいは、器量はよくないが気の利く働き者だ。ある日、神社にお妙と名乗る美女が現れる。蔵茶屋の商売繁盛を望む彼女が授かったのは大枚金八両。さらにうしろ戸の婆は、お妙に相談役としておけいを連れていくように言い、おけいには「蔵に閉じ込められたものをすべて解き放ってくるように」と耳打ちして──。読み応え抜群の時代小説。(解説・吉田伸子)
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四百年続いた漢帝国は衰退し、崩壊への道を辿っていた。政は乱れ、賊が蔓延る後漢末期の乱世に、ひとりの英傑が立ち上がる。漢の名前は劉備玄徳。義に厚く、漢帝国の復権を目指す劉備の志に賛同し、義兄弟の契りを交わした関羽と張飛とともに、叛乱を起こす黄巾賊との闘いに挑む。新時代を切り開く曹操、呉の礎を築いた孫堅など、群雄割拠の時代を駆け抜けた漢たちを壮大なスケジュールで描く――。 北方謙三の名著「三国志」が装いも新たに「新装版」として登場!! 文字も大きくなって読みやすくなり、往年の三国志ファンも三国志初心者も大満足の一冊。「新装版」第一巻には著者のあとがきを収録。
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時は天保十二年。丹沢で熊獲り名人と呼ばれている玄蔵は、恋女房の希和とふたりの子どもと共に幸せに暮らしていた。そんなある日、御公儀徒目付の多羅尾と名乗る武士が突然玄蔵の元にやって来て、「お前、江戸に出て武家奉公をしてみないか」という。どうやら己の鉄砲の腕が欲しいらしい。とんでもないと断ろうとした玄蔵だが、「お前の女房は耶蘇なのか」と脅され、泣く泣く多羅尾と共に江戸へ……。孤立無援の玄蔵を待ち受けている苛酷な運命とは!? 人気作家による、手に汗握る熱望の書き下ろし時代小説、新シリーズ。
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深川佐賀町の稲荷小路に『足柄屋』という小間物屋を構える与四郎と小里の夫婦。十三年前に無一文で江戸にやってきた与四郎は、立ち直りのきっかけとなった地蔵様からお恵みと縁を大事にすること、そして修行時代に出会い、互いに一目惚れした女房の小里に支えられた商いが誠実なことで、周囲から評判だった。しかし深川祭りで、小僧の太助が争いに巻き込まれたことから恨みを買ってしまい、撒かれた悪評から商売が傾きつつあった……。共に助け合う夫婦の仲睦まじさと、周囲の人々の人情で解決される事件を、実力は作家が描く心温まる物語。新シリーズスタート。
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嘉応二年(一一七〇年)。朝廷が行った強制移住で近江の国に生まれ育った蝦夷のシレトコロは、まだ見ぬ本当の故郷―奥州―を想っていた。十三歳の春のこと、三条の橘司信高と名乗る男があらわれ、シレトコロは奥羽に連れて行かれる……。それは、後の源義経の影武者とするためだった。一方、鞍馬山の牛若は、「あなた様は、源氏のお血筋。平家を打倒し、天下に名をはせるお人」という言葉によって剣術の稽古を続けていた。そして〈遮那王〉と名乗ることになった十六歳の牛若は、奥州平泉に向かう決意をする。壮大なスケールで、新しい義経を描ききった、歴史小説の金字塔!
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最福神社門前の茶屋「たまや」を切り盛りする母を手伝いながら、明るく元気に暮らしていた娘・すず。母娘で営む茶屋は、丁寧に作られた甘味と季節の蕎麦がうまいと客の評判も上々だ。ところが一年前の春、隅田川沿いの桜を見物に行って以来、すずはどんな医者も原因がわからぬ不調に苦しむようになった。最後の望みをかけ評判の医者の元へ向かう道すがら、具合が悪くなったすずは、宇之助と名乗る謎の占い師に助けられて……。口福を満たす甘味や蕎麦とぴたりと当たる占いが明日への幸せを呼ぶ、時代小説の新シリーズ開幕!
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九代将軍家重の治世。親の代からの浪人・諫山左馬介は、馴染みの棟梁の紹介で割のいい仕事にありついた。雇い主は、江戸屈指の両替屋・分銅屋仁左衛門。夜逃げした貸し方の店の片付けという楽な仕事を真面目にこなす左馬介を仁左衛門は高く評価するが、空店から不審な帳面を見つけて以降ふたりの周りは騒がしくなる。一方、若き田沼意次は亡き大御所・吉宗からの遺言に頭を悩ませていた。「幕政の中心を米から金にすべて移行せよ」。しかし、既存の制度を壊して造りなおす大改革は、武家からも札差からも猛反発必至。江戸の「金」に正面から挑む新シリーズ、堂々の第一弾!(解説/細谷正充)
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なびきは幼い頃に親兄弟とはぐれ、神田に煮売屋を営む久蔵に引き取られた。養親となった久蔵が富士のお山でのご来光を拝むために旅立ったことで、十四歳のなびきが女将として、間口二間で二階建ての店を任される。久蔵が残した「神棚の神さまへの供えだけは忘れるな」という教えと、料理の腕で店の切り盛りは何とかなるものの、なびきを悩ませるのは、店に持ち込まれるお客たちの事件や謎だった。不思議な神さまのお告げと持ち前の鋭さで、なびきは難事を乗り越えていくのだが……。美味しい料理と事件の謎が彩る、江戸前ミステリーの誕生。
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嘉永六年(1853)江戸。好奇心たっぷりの銀次と絵師の歌川芳徳は、妖怪伝説やゴシップネタなどを追う、低俗なかわら版を売りさばいて人気を博していたが、浦賀に来た黒船を見に行き、勢いで乗り込んだことがきっかけで人生が変わる。江戸一番の物知りと評判が高い佐久間象山に師事し、勝麟太郎や坂本龍馬、吉田松陰、西郷吉之助など、様々な幕末の英雄と出会い、大地震や大火災、死の疫病をかわら版で報じるうちに、銀次は報道の使命に目覚め、弱き大衆のために立ち上がる。 幕末の動乱の中で、真実(たまに嘘)を追い求めるかわら版屋を描いた、痛快時代小説!!
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お家騒動に遭遇したのを幸いに、知恵を絞り尽くして食と職にありつこうとする主人公の悲哀を軽妙に描き、映画「椿三十郎」の原作にもなった「日日平安」をはじめ、男勝りの江戸のキャリアウーマンが登場する「しゅるしゅる」、若いふたりの不器用な恋が美しい「鶴は帰りぬ」など、若者たちを主人公に据えた時代小説全六篇を収録。山本周五郎ならではの品のいいユーモアに溢れ、誇り高い日本人の姿が浮かびあがるオリジナル名作短篇集。(編/解説・竹添敦子)
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時は江戸。上野の禅寺で住職の天暁と暮らす十四歳の少年がいた。名は弥六。かつて幕府と盟を結んでいた大妖怪・白仙と、人間の女の間に産まれた〝半妖〟の子だ。だが白仙は七年前、突然数多の妖怪達と江戸を襲撃し、姿を消した。以来幕府は怨霊怪異改方──通称・孔雀組を組織し妖怪を厳しく取り締まり、人も暮らしにくい窮屈な世となってしまった。弥六は、人も妖怪も平穏に暮らせる世を目指し、烏天狗の黒鉄と、夜ごと江戸の町を見廻るが……。妖怪×剣戟ノンストップ時代小説の誕生!
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「それは、そのうちね」そう、お妙がにっこり笑う。お花が
「料理を教えて」というと、お妙はきまってそう有耶無耶に
してしまうのだ。養い子のお花は、引き取ってくれた只次郎
とお妙の役に立ちたいだけなのに――。一方、かつてお妙と
只次郎の世話になった薬問屋「俵屋」の小僧・熊吉は十八歳
になり、手代へと昇進していた。出世頭には違いないが、小
僧とは距離ができ、年嵩には疎まれ、心労が半端ない……。
蕗の薹の芥子和え、タラの芽の天麩羅、ホクホク枸杞飯、そ
してふわふわの鰻づくし! 彩り豊かな料理と共に、若い二
人の成長を瑞々しく描く傑作人情時代小説、新装開店です! -
松前家中の少年、春山伸輔は、尊皇攘夷に与しなかったことで落ちぶれてしまった家名を復権させるべく、箱館の遊軍隊と合流。
榎本軍への撹乱活動を行っていた。
一方、新選組副長だった土方歳三は、蝦夷地にできた箱館政府において陸軍奉行並となっていた。
市中の混乱を収めつつ、近藤勇らと夢見た国盗りを、再びこの地で実現させようとしていた。
薬売りに変じて市中見廻りに出ていた土方歳三は、撹乱活動中だった伸輔と偶然にも知り合うことになる。
互いの正体を知らないままに、知遇を得た二人。
だが激化する戦いが、やがて二人の運命を切り裂いていく。待望の文庫化。 -
第15回角川春樹小説賞受賞作
「狼との闘いの描出に秀でたものがある」北方謙三
「一種の『チームもの』『バディもの』としてもよく出来ている」今野敏
「時代小説の持つべき要諦を完璧に押さえている」今村翔吾
「『狼狩奉行』という役職に着目した点が鋭く、ミステリータッチの部分も効果的」角川春樹
選考委員、満場一致!静謐なるデビュー作。時代小説の本流を継ぐ、新人誕生。
江戸時代、馬産が盛んな地域にとって、狼害は由々しき問題だった。そのため、奥州には狼を狩る役――狼狩奉行が存在した。狼狩奉行に就くよう藩から申し渡された、岩泉亮介。父が三年前に非業の死を遂げ、家督を継いだ兄も病で臥せっている。家のため、命を受けた亮介だったが、今、狼の群れは「黒絞り」という見たこともない大きな頭目に率いられ、かつてないほどの狼害を引き起こしていた。だが「黒絞り」を追う内に、父の死の真相、藩の不正問題にまで繋がり……。狼狩を通じて描かれる、自然と人。時代小説に新風を吹き込む静謐な世界。 -
最福神社門前の茶屋「たまや」を切り盛りする母を手伝いながら、明るく元気に暮らしていた娘・すず。母娘で営む茶屋は、丁寧に作られた甘味と季節の蕎麦がうまいと客の評判も上々だ。ところが一年前の春、隅田川沿いの桜を見物に行って以来、すずはどんな医者も原因がわからぬ不調に苦しむようになった。最後の望みをかけ評判の医者の元へ向かう道すがら、具合が悪くなったすずは、宇之助と名乗る謎の占い師に助けられて……。口福を満たす甘味や蕎麦とぴたりと当たる占いが明日への幸せを呼ぶ、時代小説の新シリーズ開幕!
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かつて「六分の一殿」と呼ばれた山名家は、十二代目・山名宗全が応仁の乱を起こしたことで凋落を始める。この家に生まれた山名豊国は、苦境をはねのけて家を再興することを幼き日からの悲願とするが、毛利と織田の二大勢力に挟まれて国は混乱し、家臣・国衆の反発がその道を阻む。生き残るために心ならずも裏切りを繰り返し、誰よりも太平の世を求め続けた豊国。後世に悪名と轟かせた戦国武将の隠された一面を描く歴史長篇。
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生まれ育った京を離れ、江戸駒込で尼僧・了然尼と暮らす瀬尾なつめは、菓子に目がない十五歳。七つで両親を火事で亡くし、兄は行方知れずという身の上である。ある日、了然尼と食べるための菓子を買いに出たなつめは、いつもお参りする神社で好々爺に話しかけられた。この出会いは、なつめがまた食べたいと切に願ってきた家族との想い出の餅菓子へと?がった。あの味をもう一度!心揺さぶられたなつめは、自分も菓子を作りたいという夢へと動きはじめて……。江戸の町の小さな菓子舗が舞台の新シリーズ誕生。
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北町奉行所定町廻り同心・井原伊十郎に、上役から縁談話が持ち込まれた。相手は五百石鳥の旗本の出戻り娘だが絶世の美女だという。独り身ゆえの気楽さから、如何に話を断ろうかと悩んでいたある日、縁談相手の百合が伊十郎の元を訪れた。評判通りの天女のような美しさに一目惚れした伊十郎。しかし時を同じくして、妖艶な音曲の師匠・おふじが現れ、伊十郎の心は揺らぎ始める――。一方で、江戸市中を騒がす盗人『ほたる火』と対峙した伊十郎だったが、あることから『ほたる火』を取り逃がしてしまう……。独り身同心に降りかかる、女と事件の行く末は? 待望の新シリーズ、第一弾(解説・三田主水)
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薬売りだった父を亡くした、はる。一つ年上の兄は、口入れ屋から奉公先を紹介してもらい、その支度金ではるを親戚に預け、江戸へと旅立っていった。十年の月日が流れ、江戸からやってきた絵描きの彦三郎の絵に生き別れの兄の姿を見た彼女は、兄と再会すべく江戸へと旅立つ。彦三郎の世話で、かつては人気の一膳屋だったものの、偏屈者の治兵衛が継いでからすっかり寂れてしまった「なずな」で、住み込みで働くことになるのだが……。慎ましくも美味しい庶民の料理、そして彩り美しい江戸の四季の中、一生懸命に生きる人々を描く時代小説の開幕!
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天保六年十一月十五日、土佐城下の坂本家では、一貫の目方があって、背中まで金色の毛がびっしり生えた男児が誕生した。龍馬と名付けられたその子は、両親や姉など周りの人びとの深い愛情を受け、たくましく育っていった。そして弘化二年、十一歳の龍馬を、母・幸は、「鯨組に世話になりなさい」と一人、旅に出したのだった……。一方、土佐の山里では、二年半遅れで生まれた中岡慎太郎が大庄屋の跡とりとしてふさわしい少年に成長していた。土佐出身の著者が渾身の力をこめて描く、「龍馬伝」の幕開け。
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日本橋北詰の魚河岸のほど近く、「丸九」という小さな一膳めし屋がある。うまいものを知る客たちにも愛される繁盛店だ。たまのごちそうより日々のめしが体をつくるという、この店を開いた父の教えを守りながら店を切り盛りするのは、今年二十九となったおかみのお高。たとえばある日の膳は、千住ねぎと薄揚げの熱々のみそ汁、いわしの生姜煮、たくわん漬け、そして温かいひと口汁粉。さあ、今日の献立は?しあわせは、うまい汁とめし、そしてほんの少しの甘いもの。おいしくて、にぎやかで、温かい人情派時代小説。
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浅草の油屋・利根屋の娘お玉に、本所髄一の大店の主人との縁談が持ち上がった。しかし見合いの前日、お玉は置手紙を残して姿を消した。利根屋の体面と命運のかかった縁談である。身代わりとなったおまいは、当日、〈えにし屋〉を名乗る謎めいた女の元で、美しく着飾らせてもらい見合いの席に臨む。しかしその後もお玉の行方は一向に掴めないままで……。浮世には結びたい縁もあれば切りたい縁もある。縁を商いとする者と頼る者の光と影に、心揺さぶられる長篇時代ミステリー、シリーズ第一作。
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花のお江戸の両国に、芹が女中として働く「掛け茶屋まめや」がある。芹は幼いころ、役者だった父のもとで芝居の稽古に励んでいた。しかしあることがきっかけで、芝居や踊りからすっかり遠ざかってしまう。ある日、芹は久しぶりに心の中で踊りの師と仰いでいる東花円の稽古所を覗いた。ちゃんと金さえ積めばあたしだって立派な師匠に弟子入りすることが出来るのに……。心にうずく妬み心を隠しつつ、踊りへの未練を捨てきれずにいた。そんな時、花円が突如まめやに現れて、意外な申し出をしてきた──。待望の新シリーズの開幕です!!
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江戸の真ん中、日本橋伊勢町の小間物商「丸藤」は、紅やおしろい、櫛やかんざしなど、きらびやかな品揃えが自慢の大店だ。その「丸藤」の娘ふたりのうち、幼いころから病弱で品川で暮らしていた姉の里久が、年頃を迎え、家族のもとに戻ってきた。ところがその里久、漁師町の暮らしにすっかり染まり、まっすぐな物言いと大店の娘らしからぬ立ち居振る舞いで、実の母も妹・桃も戸惑うばかり。だが、里久の底抜けの前向きさが、閑古鳥が鳴き始めていた店を少しずつ変えていって──。おてんばな姉と小町娘の妹、看板姉妹の物語。
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今こそ家康の求心力を高め、鉄の家臣団を作り上げる。それこそが徳川家を強くすることに?がる。その要となる人物は「本多平八郎忠勝」しかいないと徳川家康は考えていた。甲斐の武田信玄が勢力を伸ばす中、遠江国二俣城をめぐり、争いは続いていた。先行した忠勝と武田軍が一言坂で激突した後、両軍は三方ヶ原で再び相見えることとなる。徳川勢八千に織田勢三千が加わった、総勢一万一千の部隊が、武田勢三万に挑む。常に激闘の中に身を置きつつも、生涯傷一つ負わなかったという徳川軍団随一の武者、本多平八郎忠勝を描くエンタテインメント歴史時代小説。
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豊臣秀吉が世を去り、五大老筆頭の徳川家康は、前田家を屈服させるなど、天下取りの野望を露わにし始める。そして次の標的を上杉に定めた。そんな折、前田慶次郎が会津に入り、穀蔵院飄戸斎の名で上杉に仕官する。上杉家の家老・直江兼続は家康を糾弾、会津攻めを誘う。それは上方の石田三成の挙兵と呼応した、家康を挟撃する一大作戦だった。狙い通り家康を西へ向かわせた上杉は、伊達、最上と東北の熾烈な戦いへ。『乱世をゆけ 織田の徒花、滝川一益』で第九回角川春樹小説賞を受賞した著者が、天下のかぶき者の最後の戦いを描く!
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京都西町奉行所同心、榊玄一郎の元に、手下の小吉が現れた。堀川に相対死(心中)の水死体が上がったのだという。骸が発見された橋のたもとに向かった玄一郎だが、現場には西町奉行の侍医、久我島冬吾の姿があった。この医者は頼みもしないのに勝手に検分をして、同心たちとは全く違う見解を述べるので、評判はかなり悪い。しかも『相対死は三日間、四条河原に晒される』という法度があるにもかかわらず、久我島は玄一郎に、人助けと思って、心中である事実をもみ消せと言い出した。一体何が目的なのか!? しかしこの心中事件が市中を震撼させる事態へと発展していく──。
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町絵師の子として育った諒は、京狩野家の絵師・五代目狩野永博の許へ弟子入りをする。諒の才能に惚れこんだ永博は自分の娘・音衣と結婚させ婿養子として迎えた。京狩野家の六代目絵師として邁進していたが、妻との関係が冷めていくうちに、諒を兄と慕う幼馴染みの夜湖といつしか男女の関係になっていた──。一方で、「豊臣家の宝」とも呼ばれ、岩絵具にすると深い群青色を出すといわれた幻の輝石「らぴす瑠璃」が京狩野家に密かに伝えられているという噂を耳にする。「絵師とは何ぞや」。その答えを求め続ける男たちと、様々な思惑の中で苦悩する女たちを描いた、書き下ろし時代小説。
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甲賀の忍びあがりの土豪、滝川久助は、里の陰謀で父を失い、兄を殺め出奔。久助は名を一益と改め、諸国を放浪中に織田信長と運命的な出会いをする。一益は、射撃や忍びの腕だけでなく、武将としても力をつけ、信長の寵臣として存在を大きくしていく。天下への道を着々と進んでいく信長だったが、天正十年(一五八二)、家臣・明智光秀の突然の謀反によって斃れてしまう──。一益を頼みとする若き前田慶次郎、伝説の忍者・飛び加藤といった魅力的な脇役も登場。謎多き武将、滝川一益の波乱に満ちた生涯を描く。選考委員が大絶賛した、第九回角川春樹小説賞受賞作。
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神田明神下に住む通いの摺師・安次郎。寡黙ながら実直で練達な職人の技に、おまんまの喰いっぱぐれの心配がないと、ついた二つの名は「おまんまの安」。そんな中、安次郎を兄と慕う兄弟弟子の直助が、様々な問題を持ち込んでくる。複雑に絡み合い薄れてしまった親子の絆、思い違いから確執を生んでしまった兄弟など……安次郎は否応なしに関わっていくことに――。五つの摺りの技法を軸に、人々が抱え込む淀んだ心の闇を、澄み切った色へと染めていく。連作短篇時代小説、待望の文庫化。(解説・北上次郎)
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「天下の陣借り武者、島左近、死ぬまで治部殿の陣に陣借り仕る」――筒井順慶の重臣だった島左近は、順慶亡き後、筒井家とうまくいかず出奔。武名高き左近には仕官の話が数多く舞い込むが、もう主君に仕えるのはこりごりだと、陣借り(雇われ)という形で、豊臣秀長、蒲生氏郷、そして運命の石田三成の客将となる。大戦に魅入られた猛将は、天下を二分する関ケ原の戦いでその実力を発揮する! 従来の「義の人」のイメージを塗り替えた新たな島左近。期待の歴史作家による渾身の作品。(解説・細谷正充)
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八丁堀同心の長月菊太郎は、今年で二十歳。四年前、直心影流の達人だった父が隠密廻りの役職から身を引いたのを機に、南町奉行所本勤に抜擢され、日々勤めに励んでいた。そんなある日菊太郎のもとに、日本橋本町の呉服屋に押し込みがあり、手代が殺されたと報せが届く。勇んで探索に乗り出す菊太郎。その数日後、南町奉行の遠山より菊太郎と隠居の父・隼人に呼び出しがあった。鬼隼人の異名をとっていた隼人にも探索に加わってほしいというのである。親子で江戸の悪を追う〈新剣客同心親子舟〉シリーズ、堂々の第一作。
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万次と喜八は、浅草界隈を牛耳っている香具師・丑蔵の子分。親分の信頼も篤いふたりが、理由あって、やくざ稼業から足抜けをすべく、集金した銭を持って江戸から逃げることに。だが、丑蔵が放った刺客たちに追い詰められ、ふたりは高輪の大親分・禄兵衛の元に決死の思いで逃げ込んだ。禄兵衛は、銭さえ払えば必ず逃がしてくれる男を紹介すると言うが──涙あり、笑いあり、手に汗を握るシーンあり、大きく深い感動ありのノンストップエンターテインメント時代小説、ここに開幕!(解説 吉田伸子)
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二年前から南町奉行所に出仕している見習同心・長月菊太郎。父は、同奉行所の隠密廻り同心で、鬼隼人と恐れられる直心影流の遣い手・長月隼人である。そんな父子のもとに、日本橋の両替屋に押し込みが入り、二千両が奪われ、奉公人五人が惨殺されたとの報が入った。三月ほど前に別の両替屋を襲ったのと同じ賊による所業と睨み、さっそく動き出した隼人について、菊太郎も探索に加わることとなる。幼いころから父の背中を見て剣術の腕を磨いてきた菊太郎は、父と共に、慣れない仕事に体当たりで挑んでいく!「剣客同心親子舟」シリーズ、堂々の第一作。
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夫が賄を受けたという、いわれのない咎で西国の藩を追われ、親子三人で江戸に出てきて十四年、夫が亡くなってから十三年。その間、真沙女は息子・夢之丞の仕官だけを頼みに、地道に生きてきた。しかし元奉公人のお久米と偶然にも再会し、一緒にお袋の味のお惣菜とお茶漬けの店をはじめることに。母親の変わり様に出入師の夢之丞はとまどいながらも、生き生きとしている母の姿を見て、陰ながら店を助けるが……。“母子燕”が自ら幸せを切り拓く、待望の新シリーズ、ここに誕生。
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フェキンハウゼン男爵たる父から疎まれた若き騎士ルドガーは、ドイツ北辺の村へ代官として赴いた。反抗的な村民の統治に加え、村を襲う浮浪兵と闘うルドガーの前に現れた「泉の精」を名乗る美少女レーズ。彼女の助力により、浮浪兵を撃退したルドガーたちは、「レーズスフェント」という町を創設し、新たな街道を開いて発展への一歩を踏み出していく。だがレーズの正体は遥か過去に地球に飛来した宇宙生命体だった。十四世紀の神聖ローマ帝国辺境で、人知れず果たされたファーストコンタクトから始まった運命の変遷を描く長篇歴史SF。
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「ちと、面白いことがござりました」――人気狂言作者・並木五瓶の弟子・拍子郎は、”町のうわさ”を集め、師匠のうちに報告にくるのが日課だ。大店の不義密通事件、出合茶屋の幽霊騒動、金貸しの老婆の首吊り事件……拍子郎は、遭遇する事件の真相を、五瓶とその妻の小でん、料理茶屋のおあさ、拍子郎の兄で北町奉行所に勤めている惣一郎などを巻き込んで、次々と明らかにしていく――。江戸の四季と人の心の機微が織りなす、粋でいなせな捕物帳の傑作シリーズ第一弾!(解説・細谷正充)
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