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本書は日野市を中心に多摩の歴史に詳しい谷春雄氏が、大空智明氏との対談によってライフワークである新選組と土方歳三に調査研究の成果を、分かり易く語った貴重な記録です。
谷氏は「新選組が好きで」調査をはじめてから四十数年になります。その間に日野市域は勿論、多摩から関東、果ては京都、北海道まで、史料調査や関係史跡を尋ねて、史実の究明に努めており、今や新選組の研究では、第一人者です。
その研究成果の一部は、すでに「日野市史」や「新選組のふるさと日野」（日野市ふるさと博物館）等に収録されており、新選組の歴史の概要はこれによって知ることができます。しかし、未だ究明の不十分な箇所もあり、補足すべき点も見受けられます。
本書はこうした点を配慮しながら、新選組の歩みや土方歳三の実像を明らかにしていこうとしたものであり、聞き上手な大空氏によって、学殖豊かな谷氏の見解を、話題とともに興味深く展開させています。
本書の監修は、児玉幸多学習院大学名誉教授にして頂きました。背景は谷春雄氏が日野市史編集委員時代に、その責任者が児玉名誉教授だったことから実現したものです。
新選組に関しては公的な史料がなく、土方歳三や近藤勇など日野の後援者に出した手紙などの史料で事実確認するしかありません。その点、日本史の大家である児玉名誉教授の監修は「土方歳三に関する教科書」と位置づけられるのではないかと考えております。