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『哲学、筑摩選書、1001円~(実用、文芸・小説)』の電子書籍一覧

1 ~60件目/全62件

  • 今こそ語られる、映画の希望

    映画は人間の認識に何をもたらしたのか。映画とともに誕生した思考とは何であるのか。こうした問題を、ほかのどの国にもまして考察しつづけ、思想的系譜として育んできたのがフランスにほかならない。本書では、ジャン・パンルヴェからジル・ドゥルーズまでを貫くその歴史を、“自動性”の概念を軸に再構成し、映画の力による世界への信と希望の可能性を考える。
  • 1960年代からポストモダンの時代を通じ岩波書店で多彩な出版活動を展開した大塚信一に、同じく編集者だった堀切和雅が問う――脱魔術化され、人間の精神が寄る辺をなくした近代において学問や芸術は何と格闘してきたのか。河合隼雄・中村雄二郎・大江健三郎・山口昌男・宇沢弘文・木田元・磯崎新らとの仕事を組織しつつ、何を理解しようとしてきたのか。近代の思考もまた新手の魔術だったのではないか。我々はなぜ地球的破局に向かう終着点にいるのか――人類の思想史を対話でたどる。 【目次】はじめに 堀切和雅/第1章 「敗戦」のアンビバレンス/第2章 「近代」という問題群をまるごと問う/第3章 日本近世・準備された逆説/第4章 言語と「場」、そして意識/第5章 「主体」の観念、以前/第6章 「心」──変性するもの/第7章 ポストモダン思想の淵源/第8章 リアリズム・ニヒリズム・ファンタジー/第9章 トポスと人物/第10章 思考空間としての社会/第11章 「場所」から考える/第12章 脱魔術化と再魔術化/第13章 生・ロマン・崇高/終章 いま、破局に至るのか/あとがき 大塚信一/人名索引
  • 1,925(税込)
    著者:
    渡辺浩
    レーベル: 筑摩選書
    出版社: 筑摩書房

    私たちは、私たちの文化と言語とを形成してきた永い歴史を受けて、その流れの中で、感じ、思い、考えている。では、過去にどのようなことがあったために、いま私たちはこのように感じ、思い、考えるのか。そして、その過去に気づくことによって私たちは何を得られるのか――そうした日本思想史と現在の関わりについての問題を研究してきた著者が、これまでに様々な機会に発表してきた短い考察を集成。碩学による「日本」をめぐる長年の思想史探究を集成した、驚きと刺戟に満ちた珠玉の小文集。 【目次】はじめに/I その通念に異議を唱える/II 日本思想史で考える/III 面白い本をお勧めする/IV 思想史を楽しむ/V 丸山眞男を紹介する/VI 挨拶と宣伝/索引
  • 中世の大ベストセラー『痴愚神礼讃』の名を知る人は多いだろう。ヨーロッパ文化への貢献者に与えられる栄えある賞に今もその名を残す、西洋知性の粋、デジデリウス・エラスムス。宗教改革をはじめ、世俗権力と教会の対立が顕在化し、争いが絶えなかった狂乱の時代を生きた彼は、つねに学問に打ち込み、「何者にもその道を譲らない」という自らの信条が揺るぐことはなかった。派閥に属さない知性的な態度や人間味あふれる魅力的な人柄、「世界市民」としての生き方を、西欧文化を知悉する著者が憧憬をこめて描き出す傑作評伝。 【目次】まえがき/第1章 我、何者にも譲らず/第2章 不信の時代/第3章 変革への底流/第4章 古代へのめざめ/第5章 ふたつの友情/第6章 イタリアへの旅/第7章 ヴェネツィアの印刷業者/第8章 ゆっくり急げ/第9章 『痴愚神礼讃』/第10章 宗教改革の嵐/第11章 嵐のなかの生涯/第12章 自由意志論争/第13章 栄光ある孤立/はしがき
  • 「AIは言葉の意味を理解している」――2020年に行われた調査で、回答者の半数近くがこのように回答した。2022年に公開されたChatGPTは、当時よりいっそう自然な受け答えが可能だ。はたして現在のAIは言葉の意味を理解しているのだろうか。そもそも意味を理解するとはいかなることなのか――。AIの開発史をたどりながら、現在のAIを支える大規模言語モデルのメカニズムを解き明かし、深い霧に包まれた「意味理解」の正体に一歩ずつ迫る。哲学者によるスリリングなAI入門! 【目次】序章 哲学者、大規模言語モデルに興味を持つ/第一章 AIの歴史──心の哲学を補助線として/1 ダートマス会議にはじまる/2 第一次AIブーム──「一人で立てたよ!」/3 AIの冬(1)──「時バエは矢を好む」?/4 第二次AIブーム──「知識には力が宿っている」/5 AIの冬(2)──「あなたたち人工知能研究者はいつもそうやって嘘をつく」/6 第三次AIブーム──「私たちはずっと正しかったのだ」/7 1980年代のコネクショニズム批判/8 残された疑問──ニューラルネットワークは自然言語を扱えるのか?/第二章 自然言語処理の現在──言語哲学を補助線として/1 AIは言葉の意味を理解すると思いますか?/2 意味に対する伝統的アプローチ/3 真理条件意味論に対する疑い/4 コネクショニズム化する自然言語処理/5 分布意味論の批判的検討/6 大規模言語モデルと言葉の意味理解/7 意味と意味理解についてわかったこと、まだわかっていないこと/終章 機械に心は宿るのか?
  • 現代聖書学については「二十世紀で最も進んでいる学問は原子物理学と聖書学であるといわれるほど発達した」(山本七平)とされる。イエスの実像に迫るには、マルコ・マタイ・ルカ・ヨハネの四つの正典福音書が典拠となる。その分析から導き出されたのは、イエスの風貌とユーモアが、寅さんの世界に類似しているとの意外な発見であった。読者が一気に読破できるように、大きな反響を呼んだロングセラーの表現や論理をより明確化。寅さんとイエスの風貌がより生き生きと見えてくる、待望の改訂新版。
  • 冷戦、高度経済成長、持家社会、革新自治体、バブル経済、アジア戦後賠償、農地の宅地化、東日本大震災……終戦から21世紀の現在まで、戦後の日本の都市・近郊空間はさまざまな出来事を経験し、大きく変容してきた。本書では、その戦後のあゆみを建築や都市の研究者が、社会や世界情勢、歴史的事件を含めて多角的に検討する。変質しながらも生き続ける戦後を思考する画期的試み。
  • 戦後を代表する知識人である丸山眞男と加藤周一は、いかにしてその思想を育んだのか? ともに青少年期に戦争を体験し、その時代の空気の中で「日本人のものの考え方とはいかなるものか」という問題意識を深めてきた。当時の政治や文化の動向を丹念に追い、その思索や行動の跡を示すノートやメモ等の豊富な資料とともに、出生から敗戦まで二人の自己形成過程を比較対照し、20世紀の日本に生まれた知的風土の根源に迫る。
  • パンデミックにおける行動制限から肥満対策、健康格差や自己責任論、健康増進にかかわるナッジの問題点に至るまで。健康をめぐる社会のしくみは、人々の自由をどのように変えるのか。選択すべきは介入か、それとも個人の自律か──。高度化する健康管理の技術を注意深く読み解きながら、健康を守る社会の仕組みと個人の生き方の複雑な関係をめぐる問いにじっくり向き合う。自分自身で考え、共に生きるための倫理学。
  • 哲学は学説ではなく、活動である

    哲学の役割は物事を丸ごと説明するテーゼを提示することではない。ウィトゲンシュタインはぼやけた物の見方を論理的に明確化し、世界や人生のディテイルから目を逸らさぬようにと、私たちをガイドする──。20世紀最大の哲学書『論理哲学論考』とはどのような本なのか。独特の概念を一つずつ押さえ、難解かつ複雑に枝分かれした『論考』の議論をわかりやすく読み解くとともに、世界的な解釈論争にも分け入り、後期哲学への連続性も視野に、ウィトゲンシュタインの思考を生き生きと描き出す。
  • 究極の禁忌と欲望

    キリスト教において、神の顔は、死後の救済の瞬間まで見ることは叶わないとされる。偶像禁止と、ひと目その姿を拝みたいという欲望との狭間で、「人の手によらない」という奇跡の像は生み落とされた。そのイメージは反復・伝播し、東西キリスト教世界で独自の変容を遂げていく。表象不可能なものの表象――ここに紛れもなく西洋のイメージの源流がある。有名無名の芸術家たちはいかにしてこの逆説を乗り越えたのか。神秘のヴェールを取り払い、西洋世界2000年にわたる壮大なイメージの歴史をたどり直す。イメージ人類学、期待の新鋭による新たな挑戦。
  • 正しさのパラドクス

    数学は音楽に似ている。論理と感性、理性と直観等、対立するもののように思われがちだが、音楽も数学も古来、天上へつづくかのような調和の美しさで人を魅了してきた。ところが数学者たちはやがて気づく。数の世界に潜む見えない数、無限、そして緻密な論理が孕むパラドクスの深淵。しかしそこに、数学が自由に飛翔するための契機があった──。古代文明から現代まで四千年にわたる数学の歴史をたどり、人間にとって正しさとは何かを問いなおす。
  • ニーチェは一般のイメージとは異なり、「強い」価値や精神を否定していた。ニーチェの言う「超人」とは、「弱い」方向へと疾駆する、人間の生んだ「高い価値」とは無縁な総合的人間である。超人のなかでは、無数の他者やものやことが闘争しており、その過程で偶発的に生まれる〈あいだのいのち〉を感受して生きること(=アニマシー)こそニーチェが目指したものだった。世界哲学の視点からニーチェを読み直すことではじめて見えてくる生命力あふれる人間像に、混迷の時代を生き抜く新しい力を見出す。
  • 溢れる生の息吹

    合理主義と功利主義を基調とする近代。ゴッホ、ニーチェ、ボードレールから岡本太郎、三島由紀夫まで――、彼らは時代の趨勢に齟齬を覚えつつ、魂の声に引き寄せられ、思策と表現を行った。曖昧で無限定な概念でありながら、人々を揺り動かしてきた「魂」とはいったい何か。人間の内部と外部を通わせるその働きに、著者は現代人が見失ってしまったものを看取する。近代の異端者を通して生の息吹に触れる異色の思想史。
  • 1,650(税込)
    著者:
    中田考
    レーベル: 筑摩選書
    出版社: 筑摩書房

    イスラームと向き合おう!

    現代世界が直面しているテロの背景には、やむを得ない実力行使の側面がある。けれど、そもそもイスラームは本当に好戦的なのか。激しい攻撃にさらされてもなお、信仰者を増やし続ける魅力はどこにあるか。イスラームを貧困と暴政に陥れた“真犯人”は誰なのか。日本人がイスラームを理解することはできるのか―。日本人研究者、信仰者としてイスラームを30年以上見つめてきた第一人者が、イスラームの深奥を明らかにする。異文化を知ることは、自文化を知ることである。そこに立ち現れる日本の姿とは。【電子書籍オリジナルまえがき付き】
  • 地域を跨ぐ、地域をつなぐ地域学

    現在は島根県東部の一地方である「出雲」の名を冠した地名や神社が、列島各地に存在するのはなぜなのか。出雲の謎とは、この国の成り立ちにかかわる問いである。各地に広がる出雲信仰の足跡や伝承、郷土史を丹念に播き、見えづらくなった古来の地域と地域とのつながりを再構成。一つの中心から勢力を拡大していく従来の国家像や近代的な中央集権国家の観念にとらわれない、もうひとつの日本の成り立ちを鮮やかに描き出す。
  • あなたは鬼か、人間か?

    『鬼滅の刃』(吾峠呼世晴)が訴えかける問いを総ざらい。分断が進む現代社会において多くの人の心をつかみ熱くさせた物語は、人間の弱さ、家族の絆、仇討ちの是非、自己犠牲のあり方……生きるうえでぶつかる数々の課題に目を背けることなく正面から向き合い、胸に刺さる言葉で描き出す。古今東西の作品と思想を総動員しながら、本作が包含する現代人が取り戻すべき重要な価値観〈?の精神〉に迫る。
  • 歴史の謎を追うジャーナリストである著者は官修『日清戦史』の草稿を読み解き、不都合な事実を隠蔽、改竄して陸軍が戦史を編纂していたことを見つけ出した。隠蔽は戦争の根幹部分に及び、編纂方針はその後の戦史でも踏襲され、戦争の実態は国民の目から遠ざけられた。『坂の上の雲』が描いた日露戦争の姿に多くの日本人が驚いたのもそのためであった。隠された事実とは何だったのか。埋もれていた歴史を掘り起こし一二〇余年の歳月を超え日清戦争の実像に迫り、日本人の歴史観のあり方を問いなおす。
  • 開国から終戦まで

    丸山眞男は日本人の歴史意識の古層として「つぎつぎになりゆくいきほひ」を指摘した。「なりゆく」この「勢」の思想を最初に打ち出したのが頼山陽である。主体的能動的に「勢」の変化を制御していこうとする山陽の「天下の大勢」をめぐる思想は、日本近代史をいかに動かしていったか。幕末の老中・阿部正弘と堀田正睦、勝海舟、木戸孝允、徳富蘇峰、原敬の「大勢」認識から、三国同盟の「バスに乗り遅れるな」、終戦の詔勅の「世界ノ大勢亦我ニ利アラス」まで、「天下の大勢」思想の航跡をたどる。
  • 「歴史の終わり」を一歩踏み出せ!

    今、「自己」は大きな岐路に立たされている。「自己」が最も輝いていた近代(モダン)は終焉し、危険を孕みつつ必要とされた青年期もその役割を終えた。「自己」はこの先、どこへ向かうのだろうか。心や意識の起源に遡り、言語や神話の意味を読み解きながら、メランコリー、スキゾフレニアなど臨床での知見を踏まえ、深い思考を紡いで到達したポストモダンの精神病理学。
  • 世界的に長い歴史と波を持つ運動であるポピュリズムは、いかにして日本に現れたのか。世界のポピュリズムの流れとの比較から、1990年代の「改革派首長」(橋本大二郎、北川正恭、田中康夫ら)や小泉改革などに現代日本のポピュリズムの淵源を求め、「橋下劇場」「小池劇場」と呼ばれる「劇場型政治家」が地方政治に現れた政治力学を分析。今後日本でも国政レベルでポピュリズム政党が台頭する可能性があるのか、そうなった場合の危険性や対処法をリベラル・デモクラシー擁護の観点から幅広く論じる。
  • 1,540(税込)
    著者:
    土田健次郎
    レーベル: 筑摩選書
    出版社: 筑摩書房

    学問が時代に与えたもの

    中国・南宋の朱熹の思想、朱子学は江戸時代においていかなる機能を果たしたのか――。受容とともに新たな思考が生まれてゆくさまは、従来の体制教学という理解を一面的なものとせずにはいない。とりわけ、朱子学と反朱子学の応酬は結果としてこの時代の思想表現を豊かなものにし、日本の近代化への足掛かりをも作った。本書では、朱子学の骨格から江戸時代における展開、近代化に及ぼした作用までを論じ、日本近世の知的状況を眺望する。
  • 1,595(税込)
    著者:
    森村進
    レーベル: 筑摩選書
    出版社: 筑摩書房

    法と正義を根本から考える

    法哲学とは、“法と法学の諸問題を根本的・原理的なレベルに遡って考察する学問”である。それは法学だけに留まらず、倫理学・政治哲学・経済学・歴史学といった領域とも交わる。法概念論や正義論をはじめ、法哲学における中心的議論はどのような性格を持っているのか。ケルゼン、ハート、ドゥオーキンなど代表的法哲学者への批判を行いつつ、明快に要点を解説。各章末には文献解題を付す。今日望みうる最良の法哲学概論。
  • 日常においてはいつも素通りされている豊かな経験の世界がある――。“自明”であるがゆえに眼を向けられることのないこの経験の世界を現象学は精査し、われわれにとっての「現実」が成立する構造を明るみに出す。創始者フッサール以来続く哲学的営為の核心にあるものは何か。そしていまだ汲みつくせないその可能性とは。本書は粘り強い思索の手触りとともに、読者を生と世界を見つけなおす新たな思考へと誘う。
  • 1,540(税込)
    著者:
    慎改康之
    レーベル: 筑摩選書
    出版社: 筑摩書房

    その言説のほぼすべてが出揃った今こそ、読み直さねばならない──。ミシェル・フーコーの探究は、知・権力・自己との関係という三つを軸に、多様性と絶え間ない変貌によって特徴づけられる。そうした彼の言説群を貫いて存続する「フーコー的」なものがあるとすれば、それはいったい何か。前史ともいえる50年代のテクストから『性の歴史』第四巻『肉の告白』まで、精確な読解によって思考の全貌が明らかにされる。フーコー研究・翻訳の第一人者による待望の書。
  • 資本主義の「魔法」を解く

    いくらモノを買っても幸福感は訪れず、世界各地で経済格差が広がり、環境危機が深刻化する――。資本主義社会が直面するこれらの問題を乗り越えるには何が必要か? 身の回りのモノを捨て、最小限のモノで暮らすミニマリズムには、資本主義の支配力に抗して新たな文化を生み出す「脱資本主義の精神」に通じる回路があるという。今も圧倒的な支配力をもつ資本主義の「魔法」から抜け出すべく、「消費ミニマリズム」を多角的に検証し、その可能性を論じた画期的な思想書である。
  • 2021年で結党100年を迎える中国共産党。現在、約9200万の党員を擁する超巨大政権党だ。結党から30年足らずで中華人民共和国を建国し、70年以上にわたってこの国を統治してきた。「党がすべてを決定」「絶対服従」「鉄の規律」といった組織原理はいかにして形成され、最高指導者・毛沢東は、この党にどのような影響を与えたのか。世界史的な展開を視野に収めつつ、今日に至るまでの中国共産党の歩みを多角的に浮かび上がらせた最良の通史である。
  • 人間の生はいかに支えられるか

    “連帯”という言葉はすでに有効性を失っているのだろうか――。人間一人ひとりは欠如を抱えているが、複数人が結合すると一人では不可能な過剰が生まれる。この欠如と過剰を往還するなかでわれわれの日々の生は形づくられる。本書は、連帯の定義・分類・歴史から始まり、経済や宗教との関わり、そして連帯それ自体が持つ困難について包括的に考察した初の論考。人間の存在構造として連帯を捉え、その可能性をいま一度問いなおす。
  • 西洋文化を旺盛に摂取しつつ繁栄を遂げてきた近代日本は、昭和期に入ると急速に「日本回帰」へと旋回する。そのうねりのなかで文学者や思想家たちもまた、ときにそうした運動の主導者となっていった。和辻による日本古典美の称揚、保田らの「日本浪曼派」、北原白秋や斎藤茂吉の戦争詩歌、そして三木の東亜協同体論や京都学派の「世界史の哲学」――。戦後タブー視されがちであったこれらの作品を、当時の時代状況や彼らの内的論理に注目しつつ読み解き、「日本的なもの」の核心に迫る意欲作。
  • アウグスティヌスからトマス・アクィナスに至って完成した知の体系は、ドゥンス・スコトゥスとオッカムのウィリアムにより解体される。すると、エラスムスやルターが人文主義やプロテスタンティズムを興隆させる。ロックらが近代哲学の基礎を築き、カントとヘーゲルが思想体系を完成させるも、やがてマルクスの社会思想やフォイエルバッハの人間学などで解体される――このように理性と霊性の総合から解体への転換期に新思想が創造されるというダイナミズムに注目し、ヨーロッパ思想史全体を描き出す野心的試み。
  • 「地獄」と「極楽」を描き出した『往生要集』は、現代の宇宙論の常識をはるかに超えた無限の時空間において、人間の悲惨と絶望を超える道を見いだした。著者源信は、人間の心底を流れる真実を求める強い願いを明らかにしようとしたのだ。法然と親鸞が揺るぎなきものとした浄土仏教の源流となる世界観を、やわらかに案内する。不条理や問題に直面し、それを解決、納得しようともがきながら生きている私たちにとって示唆に富む決定版入門書である。
  • それは危機の中から、生まれる!

    なにが知的創造を可能にするのか? 批判的読書や「問い」の発見などの方法論を示す。それだけではない。社会のデジタル化が進み、知識が断片化し、大学をはじめ社会全般で知的創造のための社会的条件が弱体化する現在、各人の知的創造を支える図書館や大学、デジタルアーカイブといった社会的基盤はどうあるべきか。AIによる知的労働の代替など、ディストピア状況が到来する可能性が高まるなか、知的創造をいかにして奪還するか――。知的創造の条件を、多角的かつ原理的に論じ切った渾身の書!
  • 保守の本懐は自由主義にあり!

    一般的に、保守思想と自由主義(リベラリズム)は水と油のように相容れないとみなされる。しかし本来、正しい「保守」であれば自由主義を擁護するし、本物のリベラルであれば「保守」たらざるをえない。本書では、デヴィッド・ヒューム、福澤諭吉、フランク・ナイトという三つの偉大な知性を召喚し、歴史の転回点に立った彼らが、近現代世界の黎明期に見出した共通の主題「保守的自由主義」を抽出する。彼らが追究した思考を追体験することで、同じく歴史の転回点に立つ私たちが、二元論に惑わされずに保守思想の本質にたどり着くための道筋をさぐる。
  • 生まれてきたのは、間違いなのか?

    「生まれてこないほうがよかった」という思想は、人類2500年の歴史をもつ。本書では、古代ギリシアの文学、古代インドの宗教哲学、ブッダの原始仏教、ゲーテやショーペンハウアー、ニーチェなど近代の文学と哲学、そして「誕生害悪論」を説くベネターら現代の分析哲学を取り上げ、徹底的に考察。人間がこの世に生まれてくることは誤りであり、生まれてこないようにしたほうがよいとする反出生主義を世界思想史の中に位置づけ、その超克の道を探っていく。反出生主義の全体像が分かる本邦初の書である。
  • 哲学の可能性はここにある!

    哲学は、「根源的真理」を問うものではない。その最大の目的は、一人ひとりの生き方と社会のあり方をよりよくすることであり、その方法は、プラトンが描くソクラテスにはじまり、フッサールの現象学にて真価を発揮した「対話」である。そうしてお互いが納得しうる「共通了解」をつくりだす哲学の営みは、分断が極まった現代において、人びとをつなぐ大きな可能性を秘めている。渾身の力を込めて、いま哲学の課題、目的、方法を問いなおす。
  • 増殖する、怪異。

    ヨーロッパ中世末期。魔女狩りが激烈をきわめる中、各地で怪物、凶兆、天罰等々、怪異現象が大増殖した。前代未聞の規模で押し寄せる「異なるもの」に対して、人々は恐れおののきながらも、その異形に魅せられていく。畏怖と好奇心の交錯するなかから、いかにして近代的精神は立ち現れてくるのか。そこにどのような人間的本性が見えてくるのか――。ヨーロッパ中世怪異を丹念にたどり、近代的思考の誕生を切り出す。
  • 1,595(税込)
    著者:
    嵯峨隆
    レーベル: 筑摩選書
    出版社: 筑摩書房

    江戸中期~明治期日本に起源を持つアジア主義は、中国などアジア諸国と連帯して西洋列強に抵抗し、アジア解放を目指すものだった。それは1930年代以降の日本のアジア侵略に名目を与えてしまった。だが大東亜共栄圏の思想は興亜論に形を借りた脱亜論であり、決してアジア主義ではない。戦前の中国のアジア主義や、現代日本の「東アジア共同体論」などに形を変えた左右両極のアジア主義的言説にも注目。真のアジア共生への道を探るべくアジア主義の全貌を描き、その再評価を試みる。
  • 母はなぜわが子を殺したか

    イタリア・フィレンツェ郊外の小さな美術館で出会った一つの謎めいた板絵。それは死んだはずの赤ん坊をよみがえらせた聖人の奇跡を描いたものだった。この「嬰児復活の奇跡」と、その上位テーマたる「狂気の母」が、著者を思索の旅に招き入れる。聖餐・聖遺物といったキリスト教文化圏特有の信仰形態や、遡って古代エジプト、ギリシア、ケルト文化にも見られる「死と復活」の主題。これら多くの図像や史料を読み解きながら西洋精神の根幹を成す「死と復活」の思想の本質と、キリスト教の深層に肉薄する。
  • 戦前、多くの日本人が「国体」思想に飲み込まれ、戦争に動員されていった。なぜ日本人は、この流れに抗えなかったのか? 総力戦に敗北した後、天皇は連合国軍最高司令官に「従属」する形となった。実際にはアメリカ大権となっているにもかかわらず、鋭敏な知識人ですら、それを直視できずにいるのはなぜか? 戦時期に教育の場で広く読まれ、国民に深甚な影響を与えた『國體の本義』の解読をとおして、戦前・戦後を貫流する日本人の精神の「無意識」を問う。ふたたび日本が内閉しようとしている今、来し方行く末を考えるに際し、必読の書!
  • 世俗の権力の及ばない避難所、聖なる別天地としてのアジールは、人々を魅了し歴史の中で大きな役割を果たしてきた。比叡山、高野山、東大寺などは、個人支配者を持たないまま、国家権力と鋭く対峙する存在であった。また、天皇を超える権威を仏神に認めた彼らは、時には内裏にまで押し入って自らの要求を押し通した。寺社勢力を中心に無名の大衆の実力を探る。日本中世を舞台に、アジールの在り方と意義、盛衰を跡付ける一冊。
  • 現実観が一変する!

    「現われの学」としての現象学と、「同じさの数学」としての圏論がひとつになる。思考と生、その両方に関わる根本原理を追究した画期的試論。
  • 歴史にifはないと言われる。そうだろうか?「もしもあの時、~だったなら」というifの思考は、ある時代を生きた人々の、実現しなかった願望、失敗に終わった計画など、「ありえたかもしれない未来」の把握を可能にする。歴史に埋もれた「敗者」を救い出し、「未来」への視角を開く「歴史のif」。SFのP.K.ディック、歴史学のファーガソン、哲学のベンヤミン、社会学の大澤真幸らを取り上げその思考を検討し、「歴史のif」の可能性を指し示す。
  • 内村という試金石

    戦争と震災。この二つの危機に対し、内村鑑三はどのように立ち向かったのか。彼の戦争論はいかに変転し、震災論はどこへ行きついたか。本書は、聖書学の視点から、内村の聖書研究に基づく現実との格闘を、厖大な文章や数々の足跡に寄り添いながら追っていく。そこから浮き上がる思想的可能性と現代的射程とはいかなるものか。近代日本を代表するキリスト者の地歩を明らかにした、碩学畢生の書。
  • 落魄のなかの矜持

    大正教養主義の代表者・阿部次郎。その著『三太郎の日記』は自己の確立を追求した思索の書として、大正・昭和期の学生に熱烈に迎えられた。だが、彼の人生は、そこをピークに波乱と翳りに包まれていく──。本書は、同時代の知識人たちとの関係や教育制度から、阿部次郎の生涯に迫った社会史的評伝である。彼の掲げた人格主義とはいかなるものであったのか。落魄のなかでも失われなかった精神の輝きに、「教養」の可能性を探る。
  • 誰かが得をしている?

    他人に対して冷淡で不機嫌な社会──。それが今の日本だ。世代間、地域間、性別間、所得階層間それぞれの対立が激化し、私たちは、バラバラな存在へと追いやられている。永続的な経済成長をあてにする勤労国家レジームが、こうした状況を生み出した。本書は分断社会を終わらせるべく、すべての人の基礎的ニーズを満たすという「必要原理」に基づく財政戦略を提唱。暮らしの安心の実現が、格差是正と経済成長を実現させることを説く。来るべき未来を構想する、希望の書である。
  • 1,540(税込)
    著者:
    内田樹
    レーベル: 筑摩選書
    出版社: 筑摩書房

    武道の極意は他者との共生にあり

    「いのちがけ」の事態を想定し、高度な殺傷術として洗練されてきた日本の武道。幕末以来、武道はさまざまな歴史的淘汰にさらされ、それに耐え、そのつど「変身」を遂げつつ生き延びてきた。本来の意味は失われても、「心身の感知能力を高め、潜在可能性を開花させるための技法の体系」である武道には、今こそ見るべき叡智が満ちている。達見の武道論。
  • 「安全・安心」論のループを超えて

    日本の反原発運動は、毛沢東理論の「誤読」による近代科学批判が大きな転機となった。それが「1968年」を媒介にニューエイジ・サイエンスやエコロジーと結びつき、工作舎や「宝島文化」を背景にしたサブカルチャーの浸透によって次第に大衆的な基盤をもつようになったのである。複雑に交差する反核運動や「原子力の平和利用」などの論点から戦後の思想と運動を俯瞰し、「後退りしながら未来へ進む」道筋を考える。
  • むふふ。

    『荘子』はすこぶる面白い。読んでいると、世の中の「常識」という桎梏から解放される。二千年以上前から伝わるこの本は、今に生きる「心の自由」のための哲学なのだ。そしてその思想は、禅の考え方にも深く沁み込んでいる。……あらゆる価値や尺度からまったき自由を獲得した稀代の思想家の、非常識で魅力的な言語世界を味わい、「遊」の世界へ読者をいざなう。
  • 終わりなき〈外部〉の追究

    自己の実存感覚に発する犀利な文芸批評に始まり、やがてシステムの外部へと目を向け、新たな交換様式論をベースに世界史の構造を探究するに至る──。日本の戦後思想においてたぐいまれな軌跡を残し続けている思想家・柄谷行人の核心を、本書は初めて析出し、その思想史的位置づけを試みる。〈他者〉をめぐる思考は果たしてどこへ辿り着くのか。画期的モノグラフがついに誕生!
  • 2011年3月11日に東日本を襲った大地震と大津波、それにともなう福島の原発事故は、実際上の問題だけでなく、公共哲学という“善き公正な社会を追求し、現下の公共的問題を考える”学問にも様々な問いを投げかけることとなった。それらに今どのように応えるのがふさわしいのか。日本における第一人者が、議論の手がかりとなる有力な学説を紹介しながら、3・11以降の社会を考えるための羅針盤を提示する。
  • 一般に、心理学の研究対象となっている「プライド」。しかしそれに、社会学的に接近することも可能ではないか。自分に「誇り」をもつことは、まさに自他=社会関係のなかで生起する出来事であるから。プライドをもって生きることは、たえず「理想の自己」をデザインすることに等しい。わたしたちにとってそれは、夢か、はたまた悪夢か。プライド──この厄介な生の原動力に、10の主題を通して迫る社会学の冒険。
  • 日本でも犯罪不安が高まり、監視が強化されている。幸福な人生への私たちの欲望が、こうした社会を生み出した。しかしそこでは、言われなき差別が助長されかねない。ならば、どのような社会が望ましいのか? この問いに応えるべく、本書はまず「個人」の自律性が夢見られた一九世紀システムにまで遡り、それが機能不全を起こし、個人の能力不足を社会システムが補うようになった二〇世紀の苦闘と幻滅を描き出す。「自由」と「幸福」という両立し難い価値のうち、私たちは、どちらをどのような理由で優先させるべきなのか。二一世紀の〈あり得べき社会〉を、正義という観点から構想した社会哲学の書である。
  • 1,540(税込)
    著者:
    前田英樹
    レーベル: 筑摩選書
    出版社: 筑摩書房

    「日本の思想」、再発見!

    日本人は宗教心がないとよく言われる。だが、私たちの心の底流には古来、アジア的な生産生活の秩序に根ざした、この上なく純粋で普遍的な信仰心が脈々と息づいている──。この土地に生きた人々の静かな祈りに満ちた「信仰のくらし」とはいかなるものか。保田與重郎、本居宣長、柳田國男らの思想や、列島の文化・民俗をめぐる考察を通じ、“大和心”の古層をどこまでも深く掘りおこす。
  • 1,430(税込)
    著者:
    森岡正博
    著者:
    山折哲雄
    レーベル: 筑摩選書
    出版社: 筑摩書房

    生と死、そして救い──。

    いま、この時代にあって「救い」とは何か、果たしてそれは可能なのか? この世に生をうけ、やがては死にゆくことを、どう受け止めればいいのか? 信仰をもつ宗教学者と、宗教をもたない哲学者が、こうした根本問題をめぐり、鋭く言葉を交わす。「世界全体の幸福」と「個人の幸福」、親鸞の「一人」の思想、宮澤賢治の『銀河鉄道の夜』など話題は多岐にわたり、問いが深められていく。この時代の「生と死」について、透徹した視座を提供する対話の記録である。
  • 悪への対抗

    この世の悪は、一人ひとりがその行いを改めれば払拭できるものだろうか? 自然災害に見舞われ、多くの人が苦しめられているとき、そこに悪の問題はないのだろうか? 孔子や孟子、荘子、荀子などの中国古代の思想家たちも、悪という問題に直面し、格闘してきた。清代にいたるまでの、そうした悪をめぐる哲学的思考を辿りなおし、その可能性と限界を描き出す。悪にあらがい、その残酷さを引き受け、乗り越えるための方途を探る哲学の書である。
  • 20世紀最高の知性

    今日のコンピュータの礎を築いたジョン・フォン・ノイマン、不完全性定理で数学・論理学の歴史を根底から変えたクルト・ゲーデル、思考する機械への道を拓いたアラン・チューリング。いずれも今日の科学と哲学に多大な影響をもたらした天才たちである。同時代に生きた彼らは、互いに触発され、時に議論し、相互に意識しながら実に多くの業績を残した。比類なき頭脳と個性をもった三人は、いかに関わり、何を考え、どう生きたか。それは今日の世界にいかなる意味を持つのか。彼ら自身の言葉からその思想の本質に迫る。
  • 世界を学び直すことを 学び直す!

    哲学は断じて浮世離れした学問などではない。これこそ、現実と切結び、それを新たなまなざしでとらえかえすための最高の道具なのだ。ニーチェの思想“パースペクティズム”を軸にして、私たちが一見自明に思っている「文化」のあり方、「わたし」の存在を徹底して問い直す。世界が生成する有様を描きながらも、なぜ多くの哲学が「絶対の罠」に取り込まれていったのかもあわせて論じる。新しいタイプの哲学入門書。
  • 川越、祇園、白川郷……。不自然なまでに「和風」に統一された風景。その実態は、本当の意味における風景の経験を閉ざす「和風テーマパーク」にすぎない。本書では、「風景を眺めるとは何をすることなのか?」という問いを、西洋精神史をたどりながら、哲学的な観点から考える。美しいだけの絶景を求めていても、風景の秘密には到達できない。風景に出会い、風景の秘密に到達する道をひらく。
  • プラグマティズムの最重要な思想家として、いま再び注目を集めるリチャード・ローティ。その政治的・社会的言説は、『哲学と自然の鏡』等の論著が提示する近現代哲学批判と通底している。彼の哲学は、絶対的真理にすがろうとする「客観性志向」を思考停止として疑問視し、自らを乗り越えていくための力として言語を捉え直した。ローティ個人と最も密接に交流のあった著者が、多面的な思想を平易明快に解説し、哲学史の系譜のなかで一つの筋へと繋げて見せる、決定版解説書。
  • 1,705(税込)
    著者:
    中山元
    レーベル: 筑摩選書
    出版社: 筑摩書房

    エディプス・コンプレックス、リビドー、欲動論、夢判断…。フロイトは新たな概念を編み出し、「こころ」の広大な闇に挑んだ。その思想革命の生成と展開を読み解く! 「無意識」の発見・「精神分析」という科学の誕生。

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