『政治、ミリタリー、学問、ちくま新書(新書)』の電子書籍一覧
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私たちは、かつて何をしたのか
アジア・太平洋戦争において、後景に退きがちな大陸や東南アジアでの戦闘。激戦や苛酷な統治が繰り広げられたその場所で暮らす人びとは、当時をどう語り継いでいるのか。そもそも私たちは、かつて日本軍がしたことをどれだけ知っているだろうか。シンガポールにおける大検証と粛清、「戦場にかける橋」で出会った元英兵捕虜、バターン死の行進、帰国できなかった中国残留孤児……。長年アジアに残る戦争の記憶に耳を傾けてきた地理学者が、日本人がけっして忘れてはいけないことを明らかにする。 -
核開発の舞台裏、挑発の意図とは
日本を敵視する独裁国家が核武装したことで我が国の安全保障環境は劇的に変わった。北朝鮮の核開発の動機は米韓への対抗、金王朝の維持にあったが、繰り返されるミサイル発射の挑発が不測の事態につながる可能性はないか。北朝鮮が核を使うとしたらどのようなシナリオが考えられるのか。北朝鮮の兵器開発を支えるヒト、金と技術の世界ネットワーク、背後に見え隠れする中国とロシア。米朝交渉の舞台裏。すぐ隣に誕生した新興核保有国の虚実交えた生き残り戦略を読み解き、核兵器使用をいかに封じていくか考察する。 -
「あなたたちは国連を終わりにするのか。いいえと言うならただちに行動すべきだ」。2022年4月5日、ウクライナのゼレンスキー大統領は、国連安全保障理事会でのオンライン演説で訴えた。安全保障理事会で拒否権を持つ五つの常任理事国の一国であるロシアによるウクライナ侵攻は、安保理の機能を停止させ、国際秩序の根幹を揺るがしている。たった五つの国にだけ拒否権という特権を認める歪な仕組みはなぜ生まれ、温存されてきたのか。その誕生からウクライナ侵攻を巡る攻防まで、国連安全保障理事会の真実を描く。
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いま世界で何が起きているのか
急増する移民・難民、各地で台頭する自国中心主義や排外主義、そしてますます拡大する経済格差……。ヒトやモノ、カネ、情報の国境を越えた移動を基礎に飛躍的な発展を遂げたはずの現代世界で、いったい何が起きているのか。本書では、現代をグローバリゼーションの時代と捉え、国民国家や国民経済といった近代社会の前提とされてきた枠組みを、移動という視点から再検討していく。グローバリゼーションと国家との逆説的な関係を解きほぐし、現代世界の深層に鋭く迫る。 -
雪解けが近づいたこともあった。しかし現在、ロシアとの交渉には冷たい氷の壁が立ちふさがり、「固有の領土」はまた遠ざかってしまった。戦後、歴代総理や官僚たちが使命感のために、政治的レガシーのために、あるいは野心や功名心に突き動かされて、この困難に挑み続けてきた。そして、ゆっくりとであっても前進していた交渉は、安倍対露外交で明らかに後退してしまったのだ。その舞台裏で何が起こっていたのか。国家の根幹をなす北方領土問題を、当時のインサイダー情報も交えて子細に辿りながら、外交交渉の要諦を抽出する。
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2021年2月1日、ミャンマー国軍がクーデターを起こし、アウンサンスーチー国家顧問らを拘束した。民主化に舵を切ったとみられていた国で起きた突然の政変は、世界に衝撃を与えた。民政移管後もなお大きな力を維持していた国軍が、なぜ今クーデターに踏み切ったのか。その背景にあるのが、ビルマ人ナショナリズムに基づく国軍、スーチー率いる民主派NLD、国内に100以上存在するとされる少数民族の因縁だ。現地取材をもとに三者のもつれた関係をひもとき、クーデターの深層を探る。
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約三〇年前、ソ連・東欧の社会主義政治体制は崩壊した。議会制=ソヴェト制の外観の下、一党制または事実上の単一政党制を採用していた国々は、複数政党制を前提とする新しい政治体制への転換を迫られた。以来現在まで、これらの国々では幾度となく政治体制の変更が行われ、それは時に暴力を伴う。この政治体制のダイナミックな変化を理解する鍵となるのが、ポスト社会主義圏に多く見られる「準大統領制」というシステムである。地政学的対立とポピュリズムに翻弄されたソ連崩壊後の三〇年を、大統領・議会・首相の関係から読み解く。
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近代日本の根本をさぐる
1889年に公布され、敗戦後にいたるまで国家の基本法としてこの国のかたちを規定した大日本帝国憲法(明治憲法)。民意の支えにより政党が力を獲得することを警戒した藩閥勢力の手になるこの憲法は、天皇大権が強く、議会権限の弱いものであった。そうした法の特質が、無謀な戦争の回避を困難にしたとして批判される。だが他方、この明治憲法体制のもとで、戦後憲法の時代にも劣らぬデモクラシーの実践がさまざまに花開いたことも事実だ。私たちはいま、明治憲法の時代をどう再評価すべきか。近代日本の歩みを根本からよみなおす。 -
対米従属はなぜやめられないのか
米日の支配・従属関係の原型は、太平洋戦争の勝者と敗者との上下・優劣関係のなかで形成された。米国主導のこの「日米非対称システム」が生んだ天皇制温存、新憲法、旧・新安保条約が戦後日本にとって何を意味するかを分析。米国優位を許す弱者日本独自の理由を考察する。また冷戦後の安保条約変容を検証。中国台頭・米国後退の中、政治的自立を欠く日本を厳しく見据える視点から、相応の軍事的負担を担いつつ民主主義を確たるものにするため、いま日本国民が何をすべきかを問う。 -
細分化されたアイデンティティ集団の近視眼的政治利用がリベラルの包容力を自壊させ、あまりに理想的に設定されたリベラルな価値からこぼれ落ちる生身の人々の憤りがポピュリズムを肥大化させる。グローバリズムとアルゴリズムの波は、個人の自律のみならず国家の自律をも脅かす。AI時代において国家と個人の自律を貫く具体策とは? ナショナル・アイデンティティによる包摂、そして「人の支配」から「法の支配」への脱却を斬新に提言する、気鋭の法律家によるリベラル再生に向けた挑戦状。
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1920年代の日本は、国際連盟の常任理事国に選ばれ、不戦条約にも調印し国際平和をリードする大国として世界の期待を集めていた。だが、30年代になると日本は一転して国際協調を捨て、戦争への道を歩んでいく。当時、戦争を避ける選択はありえなかったのだろうか。日米関係を中心に長年研究を積み重ねてきた碩学が、その最新の知見を、従来の日本近代史の豊富な実証研究の蓄積へと接合。20年代日本にとって本当は存在していた「戦争を避ける道」の可能性を掘り起こす。
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戦略の古典に学ぶ日本軍敗北の教訓
『失敗の本質』は、日本陸海軍の戦略・作戦の失態を鋭く分析した組織論研究の古典的存在とされている。だが、今も日本ではその教訓が十分に学ばれているとは言い難い。戦略思考の源流は、古代の『孫子』に始まり、19世紀のクラウゼヴィッツの『戦争論』で深化され、現代でも米国・中国の各軍大学校において真剣に学習されている。これら戦略古典でもって『失敗の本質』に採り上げられた例も含め日本陸海軍の戦いを再検討し、現代日本の賢慮なる戦略思考の活性化を図りたい。 -
改革開放の開始から四〇年。いま中国経済は重大な転機を迎えている。アメリカとの貿易戦争と成長の鈍化。習近平や李克強の指導する現政権下では、富強と効率と公正という三つの原理のトリレンマにより、改革が踏み惑っている。今後、中国はさらに飛躍を遂げ、国民統合と社会の安定が進むのか、それとも各種の社会経済的矛盾が激化して社会の混乱や政情不安をもたらすのか。長年にわたって中国経済を見つめてきた著者が、矛盾に満ちた経済発展史と今後進むべき道筋を解説する。
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東京裁判は「勝者の裁き」であり、インド代表パル判事とオランダ代表レーリンク判事の反対意見は、その欺瞞を暴き出すものだとの論が日本の国内論議で長くみられた。だが、パルやレーリンク意見には重大な誤謬と恣意性があり、東京裁判の功績と問題点の歴史的・法理学的理解を大きく歪めている。東京裁判研究者の戸谷と国際法の大家コーエンが、従来見過ごされてきたウェブ裁判長による判決書草稿を読み解き、東京裁判の過程を再検証。判決から70周年を迎えた今、知られざる真相を解明する。
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太平洋戦争の対日諜報戦で、捕獲した日本軍文書の翻訳、暗号解読、捕虜の尋問、プロパガンダ活動等に携わった言語官たち。終戦後は連合国軍の一員として戦犯裁判や、GHQの占領政策実施で不可欠な役割を果たした。米国、英国、オーストラリア、カナダは、語学兵をどのように動員したか。早い時期から重要性を認識して準備した国と、終戦間際になって慌てた国の違いは何だったのか。各国の言語官養成の実際、戦地での活躍、二世たちの葛藤……。貴重な記録から、日本語諜報の実像に迫る。
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